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Photo bymikogamihyogo

やっぱり旬の味は最高でした 

    ああ、柴漬け食べたい…というのは往年のマルチタレントさんが出ていた漬物のコマーシャルで記憶されている方は確実にアラフォーからアラフィフ以上の世代の方だと思う。

    日常に疲れ果てたキャリアウーマンがエレベーターで一人ボソッとつぶやくというシチュエーションは妙にリアルで当時は物まねをする人が多くいた。

    そのコマーシャルの時のタレントさんの感情そのままに私が言いたいのは、ああサンマ食べたい…である。

    思えば庭で炭火でサンマを焼いて食べるんだと宣言してはや一か月。

    とりあえず会場確保のために荒れ放題だった庭の掃除は早々に手を付けた。

    なのでいつでもスタンバイはオッケーの状態のはずだった。

    翌週の週末はあいにくの雨模様で順延になった。

    その次の週は大きく体調を崩してしまいとてもじゃないが外で炭火遊びなんて出来るコンディションではなくひたすら布団で臥せっていた。

    そして迎えた昨日、天気は一時大雨警戒情報が出るほどの荒れ模様で庭で何かする事は無理だった。

    もう昨日には私のサンマ食べたい欲は限界に達しており、こうなったらフライパンでも良いから焼いて食べようと心に決めてスーパーに向かった。

    今年はサンマは大豊漁で産地である北海道では獲れ過ぎて出荷用の発泡スチロールが足りなくなるくらいなのだそうだ。

    しかし私の住んでいる瀬戸内の田舎町にその新サンマが届くまでには複雑な流通経路と単純に輸送距離の長さでコストがかかるのかちっとも安くなってくれない。

    この一か月で少しは値段が下がってくれることを期待していたのだが、全くその気配がない。

    その内に旬を逃してしまい臍を噛む想いをしそうになったのでエイヤッと思い切って大ぶりな新サンマを二尾買い求めた。

    ちなみにお値段は税抜きで一尾398円とかなり強気で財布にはちょっとしたダメージだった。

    とはいえ、買い物帰りには今夜はサンマだという胸のトキメキの方が勝ってウキウキであった。

    大雨の中をワイパーを全力で動かしながら帰宅。

    お昼ご飯を食べてから時間があったので、サンマに合う副菜として久しぶりに煮しめを拵える事にした。

    レンコン、大根、人参、ゴボウ、こんにゃく、鶏肉、油揚げと全ての食材の下ごしらえを丁寧にして干しシイタケの戻し汁と昆布出汁で炊いていく。

    まずは油を薄く敷いて鶏肉を表面の色が変わるまで炒める。

    それから他の材料をドサリと加えて油と絡める。

    少し炒めたら干ししいたけの戻し汁と昆布出汁で煮ていく。

    味付けは醤油、砂糖、塩、酒、みりんとごく一般的なもの。

    アクを取りつつ気長にコトコト煮込んでいく。

    煮汁が三分の一くらいまで減ったら火を止めて味を含ませておく。

    この煮しめ作りで結構な時間楽しむことが出来る。

    余った時間はマンガを読んだりゲームをしたりと雨の日らしいインドアな使い方をした。

    そのうちに夕飯時になったのでいよいよサンマ様の出番である。

    お米はたっぷり三合炊いておいた。

    サンマの下処理に塩をたっぷり振りかけて十分から十五分放置。

    塩を洗い流してキッチンペーパーで綺麗に水気をふき取ったら再び塩を全身に軽く振る。

    後はフライパンで魚がくっつかないアルミファイルを敷いて焼いていくだけである。

    その前に大根おろしをたっぷり作って、スダチも一人一個贅沢に用意する。

    フライパンでサンマを焼いている間に味噌汁をササッと作る。

    具は舞茸と豆腐。

    その内にフライパンから魚が焼ける香ばしい香りが漂ってくる。

    大抵は干物を焼くことが多いので生魚を焼くのはちょっと緊張する。

    慎重に火の通りを確かめながらフライ返しでひっくり返す。

    よしよし、ここまでは順調。

    後は丁寧に火の調整をしながらじっくりとサンマを見つめる。

    もういいかなという所で日頃滅多に使わない長皿に一尾ずつ乗せて大根おろしとスダチを添えてサンマの塩焼きの完成。

    煮しめも温めてご飯と味噌汁をよそったら念願のサンマ定食の出来上がり。

    妻と一緒にワクワクしながら頂きます。

    まずはビールで乾杯。

    金色の液体と泡の対比は7:3の黄金比。

    ゴブリと飲むと喉がうるおいで満たされる。

    では早速温かいうちにサンマの塩焼きに手を付ける。

    大根おろしに醤油をかけてスダチをたっぷり絞る。

    サンマの上半身の方に箸を入れて大根おろしを乗せてアムリ。

    ん~これこれこれですよ!とサンマ特有の味わいが広がる。

    サンマのホクリとした身と大根おろしの組み合わせは出会い物である。

    すかさずビールで追いかけるとこれがまた良い。

    あっという間に一本飲み干して、サンマに合わせるために日本酒のぬる燗に切り替える。

    新鮮な生サンマなので大きな楽しみの一つであるワタをつつく楽しみがある。

    チビッとこそげとって口に含むと複雑な苦みが舌の上に広がる。

    そこですかさず日本酒をキュッと口に含むと相性は抜群だ。

    たはは、これは大人の味だなぁと思いながら大切に食べていると妻が私はワタは食べないからいる?と聞いてきたのでもちろん!と応えてわけてもらう。

    サンマ二匹分のワタは最高の酒のアテである。

    まあ、進む進む。

    ワタだけで日本酒をニ合ほど飲んでしまった。

    その気になればまだまだ飲めそうだったが、ご飯とサンマの組み合わせも楽しみたかったのでお酒はそこで打ち止め。

    一旦落ち着くために煮しめも食べる。

    しいたけと昆布の合わせ出汁が優しくも懐かしい味わいで母が作るものとよく似ている味付けになっていて満足。

    夏の間は煮物なんて作ろうとも思わないのに秋になるとふいに拵えたくなる。

    ああ、しみじみとしたお味だなぁと思いつつモグリモグ。

    味噌汁も飲んで口の中をリセットしてサンマでご飯を食べる。

    サンマ一口分でご飯があっという間に無くなっていく。

    これだけ米泥棒な魚もあまりないだろうなと思いつつ夢中で食べて、まだ入ると思ったので久しぶりにご飯をお替り。

    二膳目のご飯とサンマをバランスよく食べてお腹がはちきれそうになるほどの大満腹で食べ終わった。

    お酒も堪能したしお米も楽しんだが明らかに食べ過ぎである。

    食後にすぐに片づけをする事が出来ないくらい苦しかったのでしばらく横になって胃がこなれるのを待つ始末だったが後悔はみじんも無かった。

    悲願のサンマを食べる事が出来て身も心も大満足だった。

    妻もまた食べたいと言っていたので次こそは炭火で焼いたサンマを楽しみたい。

    旬の魚はやっぱり美味いんだなぁと改めて思った次第。

    炭火焼の味を知ってしまうと戻れない世界があるんですよ。

    願わくばもう少しお安くなってくれたら嬉しいなぁと思ったりもする。

    一尾二百円代ならばもっと気軽に手を出せるのだが…。

    もっと秋が深まればと期待してサンマの豊漁が続くことを願うのであった。

    あ~小さい秋ご馳走様でしたっ!


     
     
    日々の生活の小さな出来事や食べ物の話を書いております。 アラフィフなので昭和要素が多めです。 脱力系四畳半エッセイを日々更新中。 kindle本を山本隆彦名義で出版中です。(kindleアンリミテッドで読めます) 食べ物話題オンリーのエッセイです。 よろしかったらこちらもどうぞ。

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