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Photo byrei143

🔵企画作品|生と死

    #シロクマ文芸部

    前編(477文字)


     ぼくが生まれた日、誰かが死んだ。

     誰かとは、誰だろう。いつの日か、ぼくが死ぬときまでにその誰かとは、会えるだろうか。

     ぼくには決まりきった家族というものがなく、その時その時で異なる形をした何かを、とりあえず家族と呼ぶことにしていた。

     十五歳になるとぼくは親戚の経営する清掃会社で働くようになり、学校には行かなかったけれど、十六歳で大学入学資格試験に合格した。

    ***

     ぼくは大きな病院の清掃を受け持っていた。

     病院の夜間清掃は不思議なことがたくさん起きる。急患も運ばれてくるし、深夜勤のナースはぼくが泣いていると必ず抱きしめてくれた。

     先生と出会ったのもその病院だ。ぼくの恩人であり、家族と呼べるものを与えたくれた人だ。ぼくが医者になれたのは先生が支援してくれたからだ。

    ***

     誰かが死んで、誰かが生まれる。たったそれだけのことなのに、そこには不思議な力がある。先生が死んだときそう思った。

     ぼくは小さな女の子に聴診器を当てながら、ああもしかしたらこの子が大きくなって、死ぬときに、ぼくという者が初めてこの世に生まれるのかもしれない。そんなふうに思った。


    後編(496文字)

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