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⭐️きゅうりさんの、【初企画】🎃 あなたのキャラは、ハロウィンの夜に何を見る?|短編ハロウィンゲート④

    こちらの企画、参加しました。
    短編ハロウィンゲート④です。

    きゅうりさん、ありがとうございます。


    ハロウィンゲート④

    茶トラの猫は、私の肩から飛び降りた。
    私は申し訳なくて、下ばかり見ていた。

    茶トラの猫はため息をしてから、私の足元を何度もまわった。
    それが何を意味するのか、私にはわかった。
    さよなら、だった。
    いつだって、別れは、突然にやってくる。
    そして、私はいつも、どうすることもできない。

    茶トラの猫は、私の脚に身をすり寄せ、喉の奥からニャー、と低く鳴いた。
    潤んだ褐色の瞳が、私を見上げた。
    私はゆっくりと頷く。

    茶トラの猫の目が丸くなった。
    諦めきれずに、探しに行こうとしている。
    「その銀色の羽、どこで見失いました?」
    と早口で言った。
    「あの、一番端の街頭のあたり、、」
    茶トラの猫と出会った場所を指差した。
    茶トラの猫は、もう走り出していた。
    私は一瞬、遅れて追いかけた。

    「シャッワー、シャワ」
    大きな音が響いた。
    列車のエンジンが再始動したのだ。
    私は茶トラの猫の背に
    「もうすぐ、出発? ねぇ、乗らないとぉ」
    走る私の声は、揺れて途切れた。

    茶トラの猫は小路に入っては、出てきて、また次の小路へ飛び込んで行く。
    私は、通りの真ん中で立っていた。
    茶トラの猫は懸命に足先を伸ばして先を急ぐ。
    私の目に涙が溜まった。
    瞳を閉じれば、溢れた涙が頬に降りてきた。

    茶トラの猫が息を切らして帰ってきた。
    「もう、時間がないです」
    「うん」
    茶トラの猫が肩にのった。
    首の付け根に、肉球を感じる。
    「あっ、いたっ」
    私は手で左耳を抑えた。
    茶トラの猫が私の耳を噛んだのだ。
    私は地面にうずくまった。
    痛いじゃないのぉ、と言おうとした。
    でも、実際は、ニャーと叫んだだけだった。
    その時、私はもう猫になっていたのだ。

    茶トラの猫が駅へ走っていく。
    私は夢中で追いかけた。
    待って、と言っても、「ニャ」と短く鳴いただけだった。
    改札を飛び越え、茶トラの猫は列車に飛び乗った。
    すぐに発車のベルが聞こえ、列車のドアが閉まった。

    私は列車の床に鼻をしたたかに打ちつけ、転がっていた。
    「あはは、下手だなぁ。すごい一回転だよ」
    茶トラの猫は、目を潤ませて私の側にきた。
    私は体を起こして、座った。見れば、私の毛は象牙色だった。
    茶トラの猫は、
    「綺麗な、色だなぁ」
    と呟いてから、
    私の耳をペロリと舐めた。
    「ごめんね、痛かった?」
    私は怒ったように、鼻の穴を思いきり膨らませるが、
    その茶トラの猫の愛撫があまりにも優しくて、顔が笑ってしまっていた。
    「こっちだよ」
    茶トラの猫は尻尾をあげた。
    私を振り返り、何度も確かめる。
    私は茶トラの猫の後ろを歩いた。
    美味しそうな匂いがする。
    食器のぶつかる音、フォークでグラスを鳴らす音も聞こえてきた。
    笑い声が、至る所に満ちていた。
    そこは、食堂車だった。

    (つづく)


     
     
    初めまして。 4コマ漫画「万作さん」や「万作劇場」、エッセイ・物語、俳句などを投稿しています。 エッセイ、漫画、小説で、味わいの違う作品が並んでいます。気分に合わせて、お好きな時間をお過ごしください。 よろしくお願いいたします。