
⭐️きゅうりさんの、【初企画】🎃 あなたのキャラは、ハロウィンの夜に何を見る?|短編ハロウィンゲート①
算術01さんの記事から
✨きゅうりさんの、【初企画】🎃 あなたのキャラは、ハロウィンの夜に何を見る?✨
出会いました。
☝️私も参加します。プロンプトにより、あらすじを頂きましたので、そこから、短篇を作りたいと思います。一気読みには少し長いので、分割掲載します。どうか、お付き合いくださいませ。
___________
短編 ハロウィンゲート①
ハロウィンの仮装をした観客たちが拳を上げた。それに合わせたように、アーティストが雄叫びし、ステージダイブした。
盛り上がりが頂点に達する。次のバンドが出てくる前に、
私は観客の隙間へ体を潜り込ませ、上流へさかのぼるようにして、やっと外へ出た。
一匹の魚が海原に解き放たれた気分だった。
重低音が体の芯に残っている。首が痛い。二時間以上、頭を振り続けてしまった。
メタルフェスの会場へ、新しい客が吸い込まれるように入っていくのが見える。
歩道を歩きながら、手の中にある、チョコの包み紙をくるりと剥いた。
「あぁ、楽しかった」
一人歩きの呟きだ。
秋風が額の汗ばみを乾かしていく。
上半分がピンク色の、四角いチョコだった。
口に入れると、苺味とミルクチョコが口で混ざった。
「ハロウィン、メタルフェス
」の出口には、黒ピエロの衣装を着た、小太りの男が立っていた。帰り際、たくさんのチョコが入った器を客に差し出してくる。私は素直にその一つを貰ってきていた。食べながら、もう一個、貰ってくればよかったなぁ、と思ったりした。
「あ、12時を過ぎてる」
ビルの外壁の時計を見上げた。
その時、うっかり、指先を緩めてしまったのだろう。チョコの包み紙が手から離れていった。それは、銀色の蝶の羽のようだった。街灯の灯りの中、空中に舞う。
好きなバンドの音楽で高揚していた私は、その包み紙に遊び心を起こしてしまった。
私は腕を伸ばし、後を追った。
掴めそうで、すり抜けていく。今度はぎっちり手の中に入れるつもりで少し飛び上がってみた。すると、夜風が包み紙を小路に追い立ててしまった。
「民謡酒場」の錆びた看板を通り過ぎる。その辺りから、自分の足音ばかりが気になった。
霧が立ち込め、湿りの冷気に身震いする。
男の声がした。
「こちらへ…」
耳穴に息を吹きかけるような声だった。
霧で周りが見えない。路地裏の空間に当たりをつけ、立ち止まった。これ以上は、進むのが怖い。
霧の這う地面のすれすれに茶色の革靴の先が見えた気がした。
ザリっと靴音が聞こえる。この先に人の気配がある。私は、誰かの袖に触れて、安心したかった。もう、戻る道すらわからない。革靴の微かな音だけを頼りに歩いた。
霧が薄くなり、途切れてきた。
「リンリンリン、リン、シャワ、シャワ」
陶酔を誘うような音がする。 私は口を半開きにしたまま、目を見開いて、その闇の先にあるものを見ようとした。
(つづく)