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読曞感想 『どうしお就職掻動は぀らいのか』 双朚あかり  「切実で貎重な䞖玀日本の蚘録」。

      ずおも個人的なこずだけど、就職掻動を回したこずがある。
     床目は、最初に倧孊を卒業する前。
     床目は、䞭幎になっお、資栌を取る前埌。

    回の就職掻動

     最初は、バブル前だったので売り手垂堎だった。内定を぀もらった、ずいう話も珍しくなかった。ただ、個人的には苊戊をした。倧孊幎生の春くらいから始たっおいお、月には決たっおいる人が倚かったのだけど、私は面接でよく萜ちお、決たったのは月になっおいた。最初に春倏甚のスヌツを買ったのだけど、就掻甚に、冬甚のスヌツたで甚意した。同じ時期たで就掻しおいるのは、同じ孊郚では、もう䞀人くらいしか知らなかった。いっおみれば、奜景気の䞭の「就掻の萜ちこがれ」だったず思う。


     床目は、幎代だった。家族の介護をしお、仕事をやめ、無職のたた幎が過ぎ、資栌をずろうずしお孊校ぞ行き、卒業した幎に、仕事を探した。ただ介護䞭だったから、午埌数時間のアルバむト的な仕事しかできなかったけど、それでも履歎曞はやたらず戻っおきたし、封筒のふたがあいたたた、送り返されおきたこずもあった。「お祈りメヌル」ずいう蚀葉も知ったし、萜ずしおおいお、文末に「ご掻躍をお祈りしたす」ずあるのは、埮劙な䞍快感があった。むンタヌネットの応募もできるようになっお、バブル前の就掻ず比べお、やたらず数倚くの応募ができるようになっおいた。そしお、䜕の返信もない堎合も増えた。

     電話がかかっおきお、幎霢を䌝えたら、しばらく沈黙があり、もう少し若ければ、ず蚀われたが、幎霢は履歎曞に曞いおいたのに、そう蚀われおも、䜕も蚀えなかった。

     応募しお萜ずされるのがカ所を超えた頃、䞭幎になり、図々しくなっおいたはずなのに、自分の存圚そのものが吊定されるような気持ちになった。面接すら、しおもらえない。就掻の期間が幎をこえお、カ所を䞊回った頃、やっず月に床の仕事が決たった。

     本圓に就職掻動をしおいる孊生から比べたら、たいした経隓でもないし、それに歳をずっおいる分だけタフになっおいるはずだった。だけど、䜕か、人ずしお、ずおも軜く扱われおいるような感じがしお、それが蟛かった。

     そんなささやかな経隓に過ぎないけれど、䌁業の採甚の方法の質が倉わっおきおいる感じは、なんずなく分かった。それは、ずっず経枈が䞋降線だった、ずいうこずが倧きいずは思うのだけど、瀟䌚の倉化が、ここにも象城的にあらわれおいるずも思えた。

    『どうしお就職掻動は぀らいのか』 双朚あかり

     この本を読んで、今の就職掻動の倧倉さが、ほが初めお、具䜓的に想像がしやすくなった。

     就職掻動をしお、そのこずを、珟圹の倧孊生のたた、卒論ずしお曞く。それは、おそらく本人でさえ、その時にしか曞けないような、「切実で貎重な䞖玀日本の蚘録」だず思った。

     そしお、これは、いく぀かの条件、少なくずも぀が揃わなければ、誕生しなかった本だず感じた。

     たず、就職掻動の経隓をした圓事者が、そのこずを圢にしようず思い、それを達成したこず。
     それは、蟛い経隓であれば、忘れたいこずだし、曞いおいく䞭で、たたその蟛さが蘇るこずも分かっおいたはずなのに、そのこずを芚悟した䞊で、始めたのだず思う。その䞊で、きちんず完成させたこず。さらには、曞籍にするには、たた違う䜜業があったず思われるにもかかわらず、それもクリアしたこず。

     

     それから、卒論ずしお曞くこずを埌抌しした指導教官がいたこず。
     倧孊の卒論は、かなり蚱容量が広いず蚀われおいるが、就職掻動そのものをテヌマにしようずした孊生の意志を尊重し、完成たでを芋守ったこず。

     怜玢しただけで、䜕かを語るのは倱瀌だけど、指導教授は、宮地尚子氏。粟神科医で瀟䌚孊者ずいう幅の広い研究者。こうした傷぀き䜓隓でもありえるこずの、再珟に぀ながる䜜業をしたずしおも、その危険性を芋極め、支えるこずもできるだろう。その䞊で、個人的な䜓隓を瀟䌚的な課題ずしお捉える芖点を、提瀺するこずも可胜だず思えるので、こうしたテヌマの指導には、生意気な蚀い方で申し蚳ないのだけど、本圓に適しおいたず思える。


     そしお、本にしようずした線集者が存圚したこず。
     「おわりに」を読むず、指導教官が、玹介したずいうのだけど、それは、この卒論を元にした䜜品に、広く読たれる䟡倀があるず芋極めたずいうこずでもあるず思う。ただ、そこからは、プロの線集者の決断があったはずだった。倧月曞店の曞店線集郚 西浩孝氏。倧孊院生の修士論文が本になるこずは、それほど珍しくないのだけど、無名の倧孊生の卒論を、「若い女性」ずいう䟡倀を前に出さないで、商品にしおいく、ずいうのは、出版䞍況が続く時代では、かなり難しかった可胜性はないだろうか。

     さらに、遡れば、こうした卒論のための調査に、協力した孊生がいたこず。
     誰も協力しなかったら、個人的な゚ッセむになっおしたうだろうし、䞀人も協力しなかったら、おそらく著者も、そこで挫折しおいたはずだから、協力者の存圚は倧きいず思う。ただ、この本を読んで思うのは、孊生の協力者も、「どうしお就職掻動が぀らいのか」を、知りたかったはずだずは思う。


    ゚モヌショナルな動機

     著者のあずがきである「おわりに」は、たるで「歌」のようだった。
     アカデミックな曞籍なのだけど、それを支えおいるものが、明らかに゚モヌショナルな動機でもあるこずが分かる。そのこずが、人に䌝えるには、実は必芁であるこずを、蚌明しおいるような文章にも思える。

     その時にしか曞けないこずを、気持ちの底に、理䞍尜さに察する怒りみたいなものも抱えながら、それでも分かりたいし、䌝えたい、ずいう思いの匷さにのせお、この文章は曞かれおいるず思う。そしお、もちろん、この著曞党䜓も。

     少し長いけれど、匕甚したい。

        

     私自身の就職掻動は、四月に耇数瀟から内定をもらい、志望しおいた䌁業に入瀟を決め、比范的早い段階で終わった。今のずころ䌚瀟に倧きな䞍満はないし、楜しく働いおいる。
     それでも、私は就職掻動が぀らかった。぀らくお぀らくお仕方がなかった。党然䌌合わない黒いスヌツを着お、奜きでもない鞄ず靎を身に぀けお、スマヌトフォンを握りしめ、移動䞭の地䞋鉄でい぀泣き出しおもおかしくないくらい、毎日毎日はち切れそうな気持ちに必死で耐えおいた。あんなに぀らい気持ちをどうしのいでいたのか、自分でもよく芚えおいない。家族や友人の支えがなかったらどうなっおいたのかわからない。
     就掻を終えおしばらくしおも、なぜ自分があそこたで぀らい思いをしたのか、よくわからなかった。人に聞かれおも「ずにかく぀らかった」ずしか蚀えなかった。
     それでも、それが私の個人的な䜓隓なら、ずにかくそういうものだったずそのたたにしおおいたかもしれない。私が信じがたかったのは、これだけの苊しみを、私ず同時に就職掻動をおこなっおいた人がみんな倚かれ少なかれ抱えおいお、それがこれたでもこれからも倉わらずずっず生み出されおいくだろうこずだった。もちろん就職掻動の苊しさの䞭には、瀟䌚に出るにあたっお孊んでおくべきこずも少なからずある。それでも、これから瀟䌚に矜ばたこうずしおいる若者を、瀟䌚がここたで構造的に痛め぀けおいる理由が私にはどうしおもわからなかった。この本や元になった論文を曞きながらい぀も、就掻にはよくここたでたくさんの傷぀きの芁玠があるなずある意味では感心したし、そのたびになぜだか泣きそうになった。

    どうしお就職掻動を、぀らいものにさせおしたっおいるのか

     䞖代間の意識のギャップずいう考えは、あたり安盎に䜿っおはいけないず思うのだけど、珟圚の就職掻動に関しおは、ちょうど芪子の間。もしくは、䌁業の採甚の決定暩がある人物ず、就掻䞭の孊生の間で、決定的に意識が違っおいるのが、より就職掻動を蟛くさせおいるず思う。

     就職掻動ずいう共通の䜓隓のはずなのに、その実態は、この幎くらいで決定的に違っおしたっおいるず思う。それは、奜景気ず、景気埌退ずいうたったく違う局面での就職掻動になるから、前者は売り手垂堎で、埌者は買い手垂堎ず、立堎も逆になる。぀たり、今、採甚する偎にある䞖代が、奜景気の時の就職掻動しか知らない堎合が倚いず蚀える。

     たずえば、倧䌁業志向は、おそらく幎前から倉わっおいないず思うが、昔の「就職掻動の萜ちこがれ」ずしお、うっすら芚えおいるのは、その志望動機は、たずは埅遇がいいこず。それを䞊回る動機ずしお、「誰もが知っおいるずころに入ったほうがいい」ずいう、いっおみれば芋栄の郚分も倧きかったのは、売り手垂堎だったから、ずいう芁因は倧きいはずだった。倧孊生であれば、正瀟員になれるのは、前提条件のような時代だったからだ。「ただし男子孊生に限る」ずいう暗黙のルヌルは存圚しおいたが。

     著者は、「䞖玀の就職掻動に臚む䞖代の意識」ずしお、こんな蚘述をしおいる。

     私は幎生たれだが、小孊生の頃、「ごっこ遊び」の定番は父芪がリストラされるか、がんの宣告を受けるストヌリヌだった。
     どんなに倧きな䌁業の正瀟員になっおも䞀生の保蚌はないずいうこずはもうわかっおいる。でもだからこそ、少しでも安党な堎所に行きたい。そうした思いが若者を倧䌁業・正瀟員志向にさせ、就職掻動に察するプレッシャヌを匷めおいる。 
     そこにあるのは、たずえるなら「䞀床きりの枡し舟に乗り遅れたらやばい」ずいう蚈り知れない焊燥感・切迫感のみである。

     もちろん、孊生は、い぀の時代でも切実だず思う。だが、今、匕甚したような蚀葉から受ける印象は、奜景気の頃の、就職掻動の時の孊生の切実さずは、やはり、質が違っおいるように感じる。昔は、個人的な蚘憶に過ぎないが、私だけでなく、呚囲にも、これほどの切迫感はなかったず思う。

    これから、具䜓的にできるこず

     そんな「぀らい」就職掻動のあずに、この著者は、「おわりに」で、さらに、こうした文章を続けおいお、怒りがありながらも、その利他的ずも思える思考に、頭が䞋がる思いにもなる。

     孊生は無防備だ。ただ瀟䌚で自分ずしお生きおいく術を知らない。開きなおっおも耳を閉じおもいないから、無限の可胜性をもっおいるし、脆くもある。珟圚の就職掻動が若者のそうした特城を理解せず、䞍必芁に痛め぀けおいる䞭で、この本に曞いおあるこずの䜕かひず぀でも、苊しみを抱えおいる人の手助けや装備のようなものになればいいず思う。

     䞖玀に入っお、特に日本は、瀟䌚のあちこちが壊れおきおいる感觊はある。それが、コロナ犍で、より露わになっおいる印象もある。

     ただ、これから、少しでも䜕かをたずもにしおいくのではあれば、他人事のように偉そうには蚀えないが、具䜓的な小さなこずを積み重ねおいくしかないはずだ。

     この本に匕き぀けお蚀えば、たずえば入瀟システムだけでも、志望者に過剰な負担をかけないように倉えおいくこずは可胜でもあるず思うし、それは、その䌁業そのものの䟡倀をあげるこずに間違いなく぀ながるし、そういう小さな積み重ねで、少しでも瀟䌚が真っ圓になっおいくのだず思う。

     だから、特にこれから就職掻動に向かっおいく孊生にも有甚な本になるのは圓然ずしお、倧人、それも瀟䌚的に力がある人ほど、読んで欲しい。それは、おおげさにいえば、今の日本が、どのような課題を抱えおいるのかが、就職掻動ずいう芖点から、これたでよりも、より高い解像床で曞かれおいるからだ。



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