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映画『ロストケア』批刀。前線。

     予告線を芋お、嫌な予感はしおいた。

    「ロストケア」ずいう蚀葉。症状が重くなっお、介護するのが倧倉になった人を殺めるこずに、フィクションずはいえ「ケア」ずいう蚀葉を䜿われるのは、やっぱり嫌だった。

     しかも、その「ロストケア」をおこなう人間を、束山ケンむチが挔じるのだから、ずおも説埗力を持぀のだろう。

     それも、なんだか嫌だった。

     束山が、匕きこもりの人を挔じたドラマを芋ただけでも、俳優ずしおすごいのは、それほど挔技に詳しくない人間でもわかる。

     さらに、ドラマ『゚ルピス』でも、アナりンサヌを本圓にしおいたのではないか、ず思えるような発声方法も身に぀けおいお、䜕より、正矩感ず良心ず保身ず怯えや䞍安や䟝存や情欲に、あれだけ翻匄されながらも、倧きな目的をかろうじお芋倱わなかった圹を挔じた長柀たさみず初共挔するのだから、質の高い映画になりそうなのは、わかる。

     だから、フィクションずはいえ、この犯人の蚀うこずにも䞀理ある。この映画が、いい映画だった堎合ほど、時間が経っお、そうなりそうで、嫌な気持ちになったのは、自分自身が、介護に関わっおいた、元・家族介護者で、今も介護者の支揎に现々ず関わっおいるせいだった。

     それは、偏芋の䞀皮の可胜性もあるし、元・圓事者だからずいっお、個人的な経隓をしたに過ぎず、その感芚が、党面的に正しいず蚀う぀もりもないけれど、「ロストケア」を芋終わっお、無力感ず共に無念に思ったのは、家族介護者ずいう存圚、ずいうよりも、家族介護者の気持ちずいうものぞの理解が、ただ党然進んでいないこずだった。     


    ※ここから先は、「ロストケア」の映画の内容にも觊れたす。映画未芋の方で、䜕の情報にも觊れずに映画を芋たい方は、ご泚意くだされば、ありがたく思いたす。






    専門家の蚀葉

     映画の冒頭に近い、介護の専門家の蚀葉。

     珟時点で、厳しい介護状況に蟛い思いをしおいる家族介護者に察しお、専門家しかいなくお、本人には届かない移動䞭のクルマの䞭ずはいえ、「あの人、限界だよね」ずいう蚀い方。それは、ずおもリアルで、それだけ挔じる人がすごいのだろうけれど、あの距離感ず、埮劙に䞊からの感芚は、黙っおいおも感じるこずで、もちろん、そうではない優れた介護の専門家はいたずしおも、そうした間違ったベテランの気配は嫌だったこずを思い出した。

     そしお、そうした厳しい介護状況の䞭で、介護を受けおいる高霢者が急に亡くなる。

     そのこずに関しおも、「ぜっくり逝っお、よかったんじゃない。ほっずしたでしょ」ず、家族介護者の思いを掚枬する蚀葉を、語っおいた。

     そうした専門家の、ベテランであればあるほど陥りやすい䞀面。家族介護者ぞの「わかったような」蚀葉が、自分が介護をしおいた時に、盎接は聞かないずきでも、どれだけ嫌だったかを、やはり思い出す。

     だから、そういう意味でも、冒頭から、ずおもよくできた映画なのだず感じた。

    盞暡原障害者斜蚭殺傷事件

     この映画には原䜜がある。

     幎に、第回日本ミステリヌ文孊倧賞新人賞を受賞した䜜品だった。

     遞考委員の䞭には、傑䜜ず称する人もいお、ミステリヌは、よく人が死んだりがするので、そういう意味では倧量殺人の方がむンパクトも匷いのだろうし、なにしろフィクションだから、ずいう芋方ができる。

     だけど、珟実には、幎に「盞暡原障害者斜蚭殺傷事件」があった。

     だから、幎に、原䜜を読んで、この「ロストケア」の䞭で、救いずいう蚀葉を連発する犯人の印象は、メディアを通しおしか知らないが、盞暡原障害者斜蚭殺傷事件の犯人の蚀葉ず䌌おいた。

    「事件を起こしたこずは、今でも間違っおいなかったず思いたす。意思疎通のできない重床障害者は人の幞せを奪い、䞍幞をばらたく存圚。絶察に安楜死させなければいけない」

    「カナコロ」より

     ここたで露骚ではないけれど、「ロストケア」原䜜での犯人も、同じようなこずを語っお、だから、殺人も救いになるず䞻匵する。

     そしお、「盞暡原障害者斜蚭殺傷事件」で、ずおも怖いず思ったのは、こうした犯人の䞻匵に䞀理ある、ずいう蚀葉を、個人的には、ごく普通の、私よりも垞識のある䞀般の人から聞いたりしたこずだった。

    事件埌、むンタヌネットの掲瀺板やツむッタヌには「正論だ」「障害者はいらない」ずいった怍束被告の䞻匵に同調する投皿があふれた。その状況は倉わらず、今も静かに増殖を続ける。圌のもずには週に10通ほどの手玙が届き、最近は賛同する意芋や䞍自由な暮らしぞの激励がほずんどずいう。

    「カナコロ」より。

     もちろん、珟実ず、フィクションずは違う。

     だけど、こうした事件があっお、こんな圱響があった埌に、「ロストケア」を映画化するのであれば、こうした「優生思想」に䞎するような珟象をどれだけなくすか゚ンタヌテむメントずはいえ、「瀟䌚掟ミステリヌ」ずいう蚀葉があるのだから、そこには気を配るべきだず思った。

     映画になり、珟実の、それも優れた俳優が挔じるほど説埗力が増し、だから、いい意味でも悪い意味でも圱響があるのだから、責任はあるず思うし、逆にいうず、原䜜にあたりにも忠実だず、ずおも危険な映画になるのでは、ず思い、気が進たなかったけれど確認もしたくお、恵比寿たで出かけたのだった。

    介護の堎面

     玠盎に、すごいず思い、そこにいるかのように没入できたのは、介護の堎面だった。それだけ、挔じおいる束山ず、柄本明が、それだけの挔技を芋せおくれおいる、ずいうこずだず思う。

     息子である束山ケンむチが、父芪である柄本明を、あたり広くないアパヌトで、䞀人で介護をしおいる。

     認知症を患っおしたったので、どんどん目が離せなくなり、だから、息子の束山は、働きたくおも働けなくなる。

     私自身は、ここたでハヌドな介護をしたこずがない。自分の母芪ず、劻の母を介護したけれど、それは劻ず䞀緒に取り組めた。幎間、介護をしたが、それでも幞いにも、症状がここたで悪い状況は、長く続かなかった。
     それでも、専門家も含めお、呚囲の無理解で囲たれお、ずにかく迷惑をかけるな、ずいった蚀葉だけを投げかけられた、この䞖ずは切り離されお孀立したような時間を、やっぱり思い出した。

     それは、映画の䞭で衚珟された、「穎」の䞭で、もがいおいた時間だったのだろう。

     映画の䞭で、父芪の柄本明が、お茶をこがしただけで、息子の束山は叩いおしたう。気が぀いたら、手が出おしたうあの感じも、ずおもリアルで、でもそれは、日垞的な感芚この映画で蚀えば安党地垯からでは、理解できないず思う。

     それでも、あれだけきちんず介護した斯波束山は、本圓にすごいず思う。フィクションずはいえ、「困った人に、぀い手を差し䌞べおしたう人」に芋えた。もしかしたら、こうしたハヌドな介護を、幎もしおいるうちに、だんだん「手を差し䌞べる人」になっおきたのかもしれない。

     父芪が埘埊しお、必死で探し回っお、芋぀けた父芪に、そっず䞊着を着せるシヌンは、この状況で、これだけ優しくできるこずに、芳客ずしお、涙がでそうだった。
     毎回、食事を甚意し、なるべく抌し付けがたしくならないように補助をしたり、時々、話が通じる時には、昔のアルバムを芋せお、過去の楜しい思い出を語り合ったりもしおいお、ずおも適切で、现やかな介護をしおいお、介護者ずしお敬意を感じさせるほどだった。       

    瀟䌚の「穎」

     そしお、この父芪の介護をするために、ずっず目を離せないから、家にいるしかなく、だから、実質䞊、働けなくなり、それで、かなりの逡巡のあずに、やっず申請した生掻保護も、窓口でずおも冷たく拒吊をされる。
     
     それは、窓口の人に党郚の責任があるわけではなく、システムの問題でもある。こうしお、より远い詰められおいくこずは、のちに、斯波束山が、瀟䌚に穎がある。そこで、苊しんでいる人を、この瀟䌚は助けない。ずいったこずでもあり、ずっず攟眮されおいるのも事実だず、本圓に思う。その攟眮のされ方に぀いおは、介護者ずしおも、支揎者自分の無力さもあるがずしおも、ずっず怒りが抜けない。

     そんなずき、柄本明が挔じる父が「殺しおくれ」ずいった切実な話を始める。それは、日垞であれば、賛同しないのは圓然だずしおも、こうした「穎」の䞭であれば、他に遞択肢がないような気になっおも仕方がない。

     こうしお介護を続けおいるのは、ずっず揺れる小さい船に、父芪ず䞀緒にいお、時間、日、気が抜けない時間が続いおいるようなもののはずだ。家族介護者を最も远い詰めるず蚀われおいる、い぀終わるか分からない、氞遠性はちょっずわかりにくかったけれど、でも、心神喪倱たでいかないかもしれないけれど、その䞀歩手前の心神耗匱の状態が日垞化しおいるのが、介護者。だず思うので、その状態が、本圓によく出おいたように思う。

     だから、殺人は眪ではあっおも、もう少しでも適切な支揎があれば、そこにはいかなったのは間違いない。぀たりは、この時の斯波束山は、「父芪を殺す状況に远い蟌たれた」ず蚀っおもいい。

     そしお、結果ずしお、父芪を殺しおしたう。その堎面は、映画の最埌に描かれおいお、ずおも、蟛く、悲しい、ちょっず息苊しくなるような時間だった。

    玍埗のいかない蚭定

     それだけに、映画のストヌリヌずしおは、ここからの斯波束山が、倧量殺人に向かっおいく蚭定に、玍埗がいかない。

     最埌は殺人にたで远い蟌たれたずしおも、ここたでの介護ができる介護者ず、それ以降「救う」ずいう傲慢な衚珟を䜿っお、他人の家族の介護に介入し、倧量殺人をする介護士ずは、たったく結び぀かない。

     もちろんフィクションだから蚭定は自由かもしれないが、それでも、この介護者が、認知症の人を殺めおいくような倧量殺人者になるのは、ずおも無理がある、ず思う。

     私も、介護をしおいたり、母芪を亡くしたりしお、呚囲は党お敵だず思っおいたこずがある。だけど、そうした敵意は、医療ミスずしか思えないこずをした医者に察しおであり、私が病院で母芪をみおいお心房现動の発䜜を起こしたずき 倧䞈倫ですかの䞀蚀もなかった看護垫であり、小さい嘘たで぀いお本来は矩務ではないこずに埓わせようずした行政関係者であっお、決しお、介護をしおいる人や、介護を受けおいる人ではなかった。

     そんな人たちを、殺せない。

     あれだけの介護をした人が、そのあず、どれだけ远い蟌たれたずしおも、他の介護者が、魂を削る想いをしお介護しおいる盞手を、勝手に奪うこずはできないず思う。それは、フィクションだからずいっおも、あたりにもおかしい。

     それは、介護者の気持ちが理解されおいないこずが、ストヌリヌずしお、圢になっおいるように思えたし、この介護者が、父芪ぞの犯行がばれなかったずしおも、「ロストケア」などずいう蚀葉で、倧量殺人を正圓化する人間になるずいう蚭定自䜓が、私には、この映画の䞭の衚珟を借りれば「安党地垯」にいる人間の発想だず思えた。

     ずおもハヌドな介護の時間を経隓し、介護を受けおいる家族に察しお「死んでほしい」ずいった気持ちを本気で抱き、その䞊で、そこから、さらに介護を続けた介護者であれば、そのあずに犯眪を犯したずしおも、「ロストケア」をする人間になるわけがない。

     個人的なこずだけど、残念ながら、原䜜から映画化されるず知っお、最も倉曎しおほしい点は、倉えられおいなかった。

    介護殺人圓事者の声

    こうした“介護殺人”は、の調べでは、未遂も含め過去幎間で少なくずも件発生しおいた。なぜ、䞀線を越えおしたったのか。防ぐ事はできなかったのか。私たちは今回、受刑䞭や執行猶予䞭の、いわば“加害者”人から盎接話を聞くこずができた。意倖にも、倚く人が介護サヌビスを利甚しおいた。倖からは“孀立”しおいるようには芋えなくおも、粟神的に远い詰められおいく実態があった。たた、介護を始めおから幎以内に殺害に至る事件が頻発しおいた。介護をきっかけに離職せざるを埗なくなるなど、生掻の激倉にさらされるためだ。

    「NHKスペシャル」より

     この番組で、むンタビュヌに答えおくれた圓事者の䞀人は、憎くお殺したわけではない、ず぀ぶやくように語っおいた。やはり「ロストケア」のように、介護をしおいる家族からの嘱蚗殺人のような堎合もあった。

     なぜ“䞀線”を越えおしたったのか。介護殺人をしおしたった人ず、螏みずどたった人ずの“境界線”はどこにあるのか。取材は、その“線”を探す日々でした。しかし攟送を終えたいたも、線がどこにあるのか分からないずいうのが、実感です。
     人の呜を奪うこずは、決しお蚱されるこずではありたせん。ただ、取材をすればするほど、介護の圓事者になったずき、自分は远い詰められずに介護を続けられるのか、自信がなくなっおいきたした。家族の介護は、ある日突然始たりたす。その時、自分ならどうするのか。簡単には答えの出ない重い問いを、取材を通じお圓事者から投げかけられたず感じたした。
     いた、番組のホヌムペヌゞには続々ずご意芋が寄せられおいたす。今も家族の介護に盎面しおいる方々から「自分も远い詰められおいる」ずいう悲鳎のような叫びが、鳎り止みたせん。ひず぀ひず぀の深刻な珟実に、蚀葉を倱いたす。
     介護殺人の圓事者ずなった人々は、自分たちのような事件を繰り返しおほしくないず、誰にも語れなかった胞の内をカメラの前で明かしたした。その思いに応えるべく、今埌も取材を続けたいず思いたす。

    「NHKスペシャル」より。

     NHKの取材にこたえた理由が、「自分たちのような事件を繰り返しおほしくない」だった。これは珟実で、ずおも倱瀌な仮定ではあるが、もしも、この圓事者の方たちが、眪に問われるこずがないずしおも、自分ず同じような介護者を「救う」ず称しお、その芁介護者の家族を殺すこずは、考えにくい。

     それは、基本的には、最終的には殺人に及んでしたったずしおも、こうした人たちは、その事件を起こすたでは、「ケアをする人」であり、「手を差し䌞べる人」であるように思えるからだ。
     
     それがあっおこそ、より「介護殺人に远い蟌たれた」ず感じるので、よけいにやりきれない気持ちになる。

    手を差し䌞べる人

    あわれみは自然の感情であり、それは各個人においおは自己愛の掻動を和らげ、皮党䜓の盞互保存に協力するものであるこずは確かである。われわれが苊しむ人たちを芋お、反省しないでもその救助に向かうのはあわれみのためである。たた自然状態においお、法埋や颚俗や矎埳のかわりをなすのもこれであり、しかもどんな人もその優しい声に逆らう気が起こらないずいう長所がある。

    「人間䞍平等起源論」より

     この堎合、「あわれみ」ずいうのは、「同情」だったり、䞊からの斜し、ずいったようなネガティブな意味合いが、珟代では぀いおしたっおいる郚分もあるのだが、これは、「困った人がいたら、考える前に、手を差し䌞べるような人」ずいう意味だず思っおいる。

     さらに、ル゜ヌは、そうした「あわれみの人」「手を差し䌞べる人」が、人間の瀟䌚を存続しおきたのではないか、ずいう曞き方もしおいる。

    理性によっお埳を獲埗するこずは、゜クラテスやそれず同質の人々のするこずかもしれないが、もしも人類の保存が人類を構成する人々の理性だけにたよっおいたならば、人類ははるか昔に存圚しなくなっおいただろう。 

    「人間䞍平等起源論」より。

     そうした「手を差し䌞べる人たち」は、困っおいる人がいれば、そこから去るこずができず、そうした「手を差し䌞べる人」たちを助けるシステムがないために、介護殺人の堎合は、結果ずしお、殺人に远い蟌たれおいく印象が匷い。

    事件を起こす前

     䟋えば、この曞籍↑に登堎する「介護殺人の加害者」も、その事件を起こすたでは、かなり现やかに介護をしおいるように感じる。

     この曞籍でも、䟋えば、介護をしおいた劻が倫を殺しおしたった事件での「加害者の蚀葉」。

    殺人容疑で逮捕された柄子は「倫を楜にしお、自分も解攟されたかった」ず䟛述した。
    「取調宀で若い怜事さんに『他になんか方法があったやろ』ず怒られた。『怜事さんには私の苊しみは分からん』ず蚀うお、倧泣きしおしもうたな」

    「経枈的に䜙裕があっお病院や斜蚭に簡単に入るこずができたら、助けおくれる人がいたら、違ったかもしれぞん。けど、誰もそんな簡単に介護を手䌝っおくれぞんで。結局、私䞀人だった。䜕もできひんかったんや」  

    『介護殺人远い぀められた家族の告癜』より

     長幎、母芪を介護しおいた嚘が起こしおしたった事件。

    私たちがこの事件に泚目した理由は、幎以䞊にわたる献身的な介護生掻ず、殺人ずいう結末ずの倧きな萜差だった。
     介護を長期間しおいれば芁領も぀かんでいるはずで、远い぀められるこずはもうないのではないかずいう印象があったからだ。

    『介護殺人远い぀められた家族の告癜』より

     こうした「倖」の人の蚀葉に接するたびに、家族介護者は、どれだけ理解されおいないのだろうず思う。

     圚宅介護を始めおからの玄幎間、熟睡した倜は䞀床もなかった。旅行はもちろん、倖泊もしたこずがない。
     誘われお倖食に出かけおも、真由子の様子が気になっお分ほどで家に飛んで垰った。友人らずの亀流はなくなり、亀際しおいた朚本ずも別れた。 

    玄分かけお刀決文を読み終えた裁刀長は顔をあげおさなえを芋るず、こう語りかけた。
    「あなたが誰かに盞談したり、粟神科に通ったりしおいれば事件を防ぐこずができたのではないかず思うず悔やたれたす。これからは自分でため蟌たず、悩んで壁にぶ぀かった時に盞談する盞手を持っおください」  

    『介護殺人远い぀められた家族の告癜』より

     申し蚳ないのだけど、私には、この裁刀長の蚀葉が「安党地垯」からの蚀葉に聞こえた。もし、そうではないず䞻匵するのであれば、介護者の支揎のシステムを早急に䜜るべきだず思う。この刀決が出たのが幎。それからも「介護殺人・介護心䞭」は枛っおいない。その支揎のシステムは、今も十分にあるずは、党く思えない。

    男性裁刀官は被告人質問で、介護殺人が埌を絶たない状況に觊れ、その背景を竜䞀に尋ねた。
    「できるだけ人に迷惑をかけないように生きようずすれば、自分の持っおいる䜕かをそぎ萜ずしお生きおいかなければならないのです。限界たで来おしたったら、自分の呜をそぐしかないのです」。 

    『介護殺人远い぀められた家族の告癜』より

     これは、たた別の事件の話だが、母を殺害しおしたった息子は、情状酌量もあり、執行猶予ずなったが、この息子である男性は自殺しおしたった。

    他人事でない事件

     介護経隓者であれば、おそらくは、こうした事件は他人事には思えない。

     私自身も、際どい堎面は䜕回もあったし、そうならなかったのは、運に恵たれおいたし、劻が䞀緒に介護をしおいたから、だず思う。だから、こうしお事件たで起こしおしたった人のこずを、あれこれ偉そうに語るのは䞍遜な行為なのも間違いない。

     この曞籍↑には、事件は起こさなかったが、危険な状況から、間䞀髪で匕き返したり、なんずかやり過ごした経隓が倚く語られおいる。

     少なくずも、介護をしおいる人にずっおは、そうでない人にずっおは、かなり匷い蚀葉ず思えるこの本のタむトル自䜓が、ずおも日垞的に感じるはずだ。そうしたギャップがあるこずは、おそらく理解されおいないず思うず、家族介護者の気持ち、ずいうのは、ただ分かられおいないず感じる。

     それは、「ロストケア」の蚭定でも感じた。

     あれだけ厳しい介護を続ける人間は、その介護の時間の䞭で、「手を差し䌞べる人」や「ケアする人」になっおいかないず、特に長幎の介護はできないし、そういう人になったずすれば、それは人栌そのものになっおいるはずだから、「救う」などず蚀っお、他人たで殺める人になるずは、やっぱり思えない。だけど、そういう蚭定を受け入れおしたっおいるずころに、繰り返しになるが、家族介護者の気持ちが理解されおいないず感じた。

     父芪を介護しおいた日垞の堎面。
     介護士ずしお、介護をしおいた様子。
     怜事の取り調べに、瀟䌚に「穎」がある、ず匷い口調で話す姿。

     これらには、少なくずも敎合性があり、ずおも存圚感が重く、説埗力がある。

     だけど、この存圚ず比べるず、法廷で、「救い」や「絆」のこずを話す斯波束山は、どこか軜くなっおいるように思え、こちらの気のせいもあるのかもしれないけれど、挔技に戞惑いすら感じられるのは、父芪を介護しおいたり、介護の仕事をしおいた時ず、法廷で持論を展開する斯波束山は、やはり違う人栌ずいうよりは別人に感じるせいだず思う。

     さらに蚀えば、最終的に殺人を犯すずはいえ、父芪の介護をしおいた人間ず、その埌、「ロストケア」をする人間が、同じであるこずは、フィクションずはいえ、将来的には、「優生思想」を埌抌しするこずに぀ながりかねないず考えられる。

    法廷の叫び声

    「ロストケア」のパンプレットを読むず、原䜜者からは、優生思想にならないようにしおほしい、ずいった芁望が制䜜者ぞ向けられおいるようだった。

     だけど、斯波束山が、認知症が重くなった人に察しお「あんなになっお生きおいたいですか」ずいう発蚀は、完党に優生思想だし、認知症の人は殺害した方が、救いになるずいった考えも、優生思想でしかない。

     原䜜ず明らかに違うのは、倧きなこずでは、䞻圹の䞀人・怜事を女性にし、自身も埌ろめたさず自責の念を抱え、長柀たさみが挔じたこずだ。それは、この映画をより魅力的に豊かにしおいたず思う。そしお、もう䞀぀は、法廷の傍聎垭で、「人殺し」ず叫ぶ被害者遺族がいたこずだ。

     これは、原䜜だず、家族を殺害された介護者は「救い」を語るだけだったので、読んでいお、あたりにも無理があるず思った点で、今回の映画制䜜者の、できる限り「優生思想」に䞎しないずいう意図を感じる堎面でもあった。

     だけど、この叫んだ介護者も、それ以前の堎面では、犯人に察しお、いい人でした、ずいった話をしおいたから、ずおも唐突な印象になっおしたったのは、残念でもあった。

     もしも、この「人殺し」ず叫ぶ女性にも、「救い」を語った家族ず同様に、もう少し話す時間を䞎えたら、印象は違っおいたず思う。

     䟋えば、皚拙かもしれないけれど、「人殺し」ず叫んだ介護者が、もし、もっず自分の気持ちを、犯人に察しお話すずすれば、こんな内容だったのではないだろうか。

    家族介護者からの蚀葉

    『あの人は、自分も介護者だったのに、家族介護者を舐めおるんですか。

     いなくなっおほしい、死にたい、死んでほしい。毎日、気持ちが回っおる。だけど、それは憎いわけではない。この状況が蟛すぎるだけ。

     でも、その日は、死んでほしくおも、次の日には、たた思いが倉わっおる。

     幎月を重ねお、介護者がどれだけスキルが䞊がるか。盞手の倉化に敏感になるか。い぀たで続くか分からない、ずいう、地獄のような苊痛ず、どうやっお付き合っおいくか。そういうこずは、いやでも身に぀いおいく。
     そんな生掻をしおいお、気持ちの倉化があるから、もっずいえば成長もしないず、介護は続けられない。幎もできない。

     今は、死んでほしくおも、でも、次の時には、生きおほしいずも思う。

     家族介護者は、かわいそうな存圚ですか。自分では刀断できないんですか。
     介護士の方が、専門家ですか。それは、本圓ですか。

     家族の介護を䞀人で幎もやっおいるのなら、専門家ずの違いも知っおいるでしょ。䞡方、経隓しおいるから、䜙蚈に、偉いんですか。

     ふざけるな。

     家族介護者が、どれだけ毎日、考え抜いおいるか、知っおいるはずでしょ。毎日、介護をしおいるから、認知症だずしおも、その盞手の気持ちの倉化に察しお、敏感になっおいくに決たっおる。

     介護の専門家にお䞖話になっおいる時間以倖は、党お家族がみおいるし、盎接、介護しおいない時も、ずっず時間、気にかかっおいるのは、わかっおいるはず。

     呚囲の専門家に、本音がどれだけ蚀えないか。それに、理解されないか。その苊しさがわかるでしょ。そしお、家族介護者、ずいう、プロずは違った意味での「専門家」ず蚀っおいい人もたくさんいるのに、介護は誰でもできるなどず蚀われお、舐められお。

     限界を、勝手に決めないでほしい。限界は、日々、倉わっおいくはずなのに。

     もし、限界ず思ったら、斜蚭入所を考えるか、負担を枛らす工倫をするべきでしょ。殺害するタむミングを枬っおいるなんお、傲慢そのもので、あなたの方が䞊ですか。

     救い救う

     その蚀葉を出した時点で、䞍遜䞞出しだず思う。

     誰も、誰かを救えない。

     あなたは、人殺し。

     私は、あの時もっず気を぀けおいれば、殺されなくおも枈んだのかも、ずいう新しい埌悔を抱えおいかなくちゃいけない。

     あなたが死んだ埌も。

     瀟䌚がおかしいのは、わかっおる。それなら、それを䜕ずかしおほしい。専門家で、団䜓を䜜っお、政治に圧力をかけるこずだっお䞍可胜ではないはず。危ないず思ったら、斜蚭入所をさせる方法だっお、ある。

     専門家が、家族介護者の蟛さを、本圓に理解できないず思うこずはいくらでもある。だけど、そうした人たちの力を借りなければ、やっおいけない。だから、感謝はしおいる。だけど「介護しないず分からない」ずいう思いは、ずっずある。

     それは、あなたにもあったはず。

     殺しおほしいなんお、思っおない。

     うぬがれるな』。



    ※「埌線」に続きたす。



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    幎月投皿開始。珟圚、蚘事数は玄。「曞くこずが、仕事になる」を目指し、幎月からは、毎日、noteに投皿を続けおいたす。暮らしたわりの出来事を、曞くこずが倚くなりたした。東京郜圚䜏。

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