メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

なぜ私は「月芋」に匱いのか――月芋ビッグマックを倢芋お

     秋が来るず、卵が月を名乗り始める。ハンバヌガヌに挟たれ、牛䞌の䞊に据えられ、ピザの䞭倮に座を占め、悠然ず「月芋」を称するのである。毎幎のこずゆえ気にも留めおいなかったが、今幎もたた店先に月芋商品の広告が䞊び始めた。

     吉野家にお牛䞌を泚文し、生卵を添えようかず倀を芋れば、「スヌパヌなら十個で250円ほど」ずいう思いが胞をよぎる。牛䞌そのものには迷いなく金を払う身でありながら、玉子108円皎抜ずなるず「今回は芋合わせたしょう」ず皟議を差し戻しおくるのである。

    画像


     びっくりドンキヌにあっおも、事情は倉わらない。ハンバヌグの䞊に卵を乗せるか、チヌズを乗せるかず問われれば、私はチヌズバヌグディッシュを遞ぶ。限られた懐から誰か䞀人を䌎えず蚀われれば、チヌズず旅立぀。その皋床の情である。

     ずころが九月に入るや、この間柄はにわかに芪密さを増す。「月芋」ずいう二文字が添えられるず、私の財垃は口を開く。
     マクドナルドで月芋バヌガヌが発売されるや、初日に「チヌチヌ倍月芋バヌガヌ」ず「月芋パむ」を買った。それだけでは飜き足らず、隣のケンタッキヌぞ赎き、「ずろ〜り月芋和颚カツバヌガヌ」たで携えお垰宅した。そしお、食卓に䞉぀を䞊べ、ひずり月芋食べ比べ倧䌚を開催したのである。

    画像


     もちろん、「月芋バヌガヌは゜ヌスが違う」ず蚀われれば、その通り。

     ただ仮に、い぀ものビッグマックぞ卵を䞀枚挟み、「月芋ビッグマック」ず名付けられれば、私は買う。発売日たで確かめお埅぀だろう。

     吉野家では玉子䞀個の倀を芋お、財垃の䞭身を数えたはずの指が、月芋のポスタヌを前にするず迷いもなく小銭を䞊べおいる。癟円の䟡倀は、先週も今週も倉わっおいない。倉わったのは、卵の呌び名である。

     黄なる円が䞀぀乗るのみで、あらゆる食べ物に俄にわかに颚情が生ずる。春であれば桜の花びらを散らさねば生たれそうにない季節の趣を、秋は卵䞀぀で成り立たせおしたう。
     卵に薄すすきが生えおいるわけでもなく、黄身の裡うちに兎が棲たうわけでもないずいうのに。

     そもそも私には、月芋らしい月芋をした蚘憶がほずんど無い。瞁偎に薄を食り、団子を䟛え、十五倜の月を眺める。そのような颚流な宵を過ごした芚えは無く、仮に今それを詊みたずお、䞉分埌にはもうスマホを匄っおいるであろう。
     倜空に浮かぶ本物にはさほどの興を瀺さぬずいうに、月芋バヌガヌの発売日は知っおいる。

     さお私は、いったい䜕を買っおいるのだろうか。この時の私は、月芋を月芋たらしめおいるものなど、結局は卵䞀぀であろうず思っおいた。

     そう思いながら、この秋に口ぞ運んだ月を数えおみた。

     月芋祭りをした翌日、コメダ珈琲店で皿からはみ出しかねないほどの「お月芋フルムヌンバヌガヌ」にかぶり぀き、食埌は「お月芋シロノワヌル」で口盎しをした。

    画像


     ロヌ゜ンで月芋フェアが始たれば、店を梯子しながら月を棚から拟い、雪芋だいふくが「お月芋仕立お」ず名乗れば、それもカゎぞ入れた。

     ここたで来るず、もはや月を眺めおいるのではない。食べ歩きである。

     しかも、マクドナルドだけでなく、月芋ずあれば、他所のハンバヌガヌ屋にも足を䌞ばしおいる。未だ日䞭は汗ばむほどの陜気であるのに、月芋バヌガヌの写真を目にすれば、秋の予感に肌が粟立぀。朚々は未だ緑のたたで、蝉の声もどこかに残っおいる。それでも私の内なる暊は、貌り玙䞀枚で頁ペヌゞを繰めくっおしたう。

     列に䞊びながら、傍らの貌り玙をもう䞀床眺めた。期間限定、月芋の二文字。ただその取り合わせに、財垃を開く指たでも䞊んでいる。

    画像


     昔ながらの月芋ずは、ずいぶんず姿が倉わった。倜空を仰ぐ代わりにメニュヌの板を仰ぎ、団子の代わりにハンバヌガヌを手にし、薄すすきの代わりにポテトが暪たわる。それでも毎幎同じ頃、同じ物を埅ち䟘び、袋を提げお店を出た埌、「秋やな」ず独りごちる自分がいる。

     どうやら私が欲しおいたのは、卵ではなかった。秋を、䞀個ず぀持ち垰っおいたらしい。

     もっずも、「月芋」ずあれば䜕でもよいわけでもない。月芋そばには心が動かず、吉野家の「月芋牛ずじ」やピザ屋の「月芋ピザ」にも財垃は開かなかった。私なりに、持ち垰る月は遞んでいる。

     振り返れば、最初の問いは卵ばかりを芋おいた。「なぜ卵が䞀぀乗ったくらいで、こんな食べたなんねん」。あの劄想の䞭の「月芋ビッグマック」は、ずうに片手の裡うちに収たっおいる。蝉の声する通りを、私はただ歩く。

     先だっお、モスバヌガヌの前を通った時、「月芋フォカッチャ」の貌り玙を芋かけた。ずろりずした黄なるチヌズが、満月の぀もりで、悠然ず䞭倮に玍たっおいる。倀を芋れば、なかなかに高い。

    画像


     だが、店先にこの月が昇るのは䞀幎に䞀床である。財垃の皟議は、あっさり通った。

     さお、この秋、月芋に費やした金で、スヌパヌの卵はいったい䜕個買えたのであろうか。

     吉野家の玉子108円には、あれほど枋ったずいうのに。

    この蚘事が参加しおいる募集

     
     
    倧阪産🐯→沖瞄で独立🌺→嚘の進孊で䞊京🏙 犬🐶たちず䞀緒に日垞のモダモダを゚ッセむっぜく雑筆䞭📖 人生を芋぀め返しながらがやき🗣   いや、曞き散らかしおるかも🫢 「なんでやねん」があれば、だいたい䞀本曞ける。 ......知らんけど(≖ᮗ≖ ) ✚

    あなたぞのおすすめ