メインコンテンツへスキップ
見出し画像

【緊急速報】分離不安は伝染する!? 多頭飼いの苦難🎸💦

    我が家は多頭飼いである。

    リンが来るまでは、ココもフクも留守番の時間をそれなりに静かに過ごしていた。もちろん犬なので多少は鳴くし、物音に反応することもあったが、それでも「まあ犬だしな」で済む範囲だった。家を出るときも、こちらが「行ってくるよ」と言えば、どこか納得したような顔で見送ってくれていた。

    リンが来てから、我が家の留守番事情は一変した。リンは分離不安症だった。飼い主の外出を、ただの外出として受け止めない。「ちょっとスーパーへ行ってくる」が、リンにとっては今生の別れくらいの重みになる。

    【分離不安症感染源:リン】安定のセンター🎤


    パパがカバンを持ち、鍵を探し、靴を履く。たったそれだけで、リンの耳がぴくっと動く。次に尻尾が忙しく揺れ、最後に喉の奥から細い声が漏れる。

    \キュゥゥゥゥゥゥゥン!!!!!/

    これが開演の合図である。

    家族が出かける気配を察知したリンが、玄関の前で悲劇のヒロインのように鳴く。

    「置いていかないで」
    「どこへ行くの」
    「なぜ私を連れていかないの」

    言葉にはならないが、だいたいそんな顔をしている。こちらも胸が痛む。痛むのだが、ゴミ出しにも病院にも買い物にも行かなければならない。人間には人間の都合というものがある。

    【分離不安症 感染経路:ココ】一緒に吠えてみた🤭


    しばらくすると異変が起きた。ココが参加し始めたのである。

    ココはもともと、そこまで繊細なタイプではない。甘えん坊ではあるが、どちらかといえばノリで生きている犬だ。リンが鳴いていても、最初は「なんかやってるな」くらいの顔をしていた。それがある日、リンの鳴き声に釣られるようにワンワン吠え出した。

    たぶん意味は分かっていない。

    リンが悲しみの歌を歌っている横で、ココは合いの手を入れているだけである。盆踊りで隣の人が手を叩いたから、自分も何となく叩いてみた、くらいの感覚だろう。しかし、飼い主からすれば大問題である。悲劇のソロライブだったものが、突然デュエットになったのだ。

    【分離不安症 感染拡大:フク】ノリで参加🥁


    さらに困ったことに、フクまで反応し始めた。

    一番おとなしかったチワワのフクが、玄関近くで小刻みに震えながら鳴くようになった。リンがボーカル、ココがコーラスなら、フクはさしずめタンバリン担当である。

    小さな体を震わせながら、場の不安に参加している。もはや我が家の留守番は、犬たちによる不安の合奏になっていた。

    【ライブ会場=留守番中】犬たちは大騒ぎ🪇


    分離不安は伝染するのか。

    医学的にどうかは知らない。ただ、少なくとも我が家では、リンの不安が空気を通じてココに移り、ココの勢いがフクを巻き込み、最終的に家全体が落ち着かない空間になった。犬同士は人間が思う以上に、互いの感情を拾っているのだろう。誰かが不安になれば、ほかの犬も「これは不安になる場面なのかもしれない」と学習する。犬社会の情報共有は、回覧板より早い。

    留守番中の被害もなかなかだった。

    帰宅して玄関を開けると、まず聞こえてくるのは犬たちの鳴き声である。まるで玄関ドアの向こうで小規模なロックフェスが開催されているようだった。ドアを開けた瞬間、リンは興奮状態で駆け寄ってくる。ココも便乗して跳ね回る。フクは震えながら存在感を出している。

    そして部屋を見ると、クッションの中身がふわふわと舞っていた。

    スリッパは変な方向へ転がり、ぬいぐるみは原型をとどめていない。ココが噛みちぎったのか、リンが掘ったのか、フクが精神的に参加しただけなのか、犯人の特定は難しい。現場はいつも複数犯の様相を呈している。刑事ドラマなら、鑑識が首をひねるところである。

    「お前ら、ロックバンドでも結成したのか」

    リンはボーカル担当。ココはドラム担当。フクはタンバリン担当。誰も頼んでいないのに、我が家には共鳴型分離不安バンドが誕生していた。

    【終演後コメント】多頭飼いは大変💦


    多頭飼いというものは、楽しい。犬同士で遊び、寄り添い、互いに刺激し合う。人間ひとりでは見られない関係性がそこにある。ただし、良いことだけが伝わるわけではない。嬉しさも伝われば、不安も伝わる。甘えも伝われば、悪いノリも伝わる。

    リンが来たことで、我が家は確かに賑やかになった。静かな留守番は失われた。クッションもいくつか失われた。スリッパも何足か犠牲になった。

    それでも、帰宅した瞬間に全力で迎えに来る犬たちを見ていると、怒る気力は少しずつ削られていく。困ったものだと思いながら、どこかで笑ってしまう。大変なのに、かわいい。迷惑なのに、愛しい。多頭飼いとは、そういう矛盾を毎日抱える暮らしなのだ。

    今日も我が家では、誰かが外出準備を始めるだけで、リンの耳が動く。ココがそれを見て身構える。フクが空気を読んで震え出す。

    そしてまた、あのバンドのリハーサルが始まる。

    🗯️ココのアンサー回はこちら:ココのつぶやき #04🐶
    ↩️ 前話はこちら:第三話|リンはストーカー👀
    ➡️ 次話はこちら:第五話|大脱走💨

    この記事が参加している募集

     
     
    大阪産🐯→沖縄で独立🌺→娘の進学で上京🏙️ 犬🐶たちと一緒に日常のモヤモヤをエッセイっぽく雑筆中📖 人生を見つめ返しながらぼやき🗣️ ……いや、書き散らかしてるかも🫢 「なんでやねん」があれば、だいたい一本書ける。 ......知らんけど(≖ᴗ≖ )フフフ…✨

    あなたへのおすすめ