
【イラスト】クリスタの下塗りで同じレイヤーに塗ってしまったときの挽回方法
イラストや漫画の下塗りをしているとき、ぼーっとしていて、本来は別々のレイヤーに塗るはずのものを同じレイヤーに塗ってしまった——そんな経験はありませんか。
自分はつい先日やりました。漫画の作業中、キャラの肌と髪を同じレイヤーに塗っていたんです。

一見すると普通に塗れているように見えます。問題はレイヤー構成のほうでした。

本来なら肌は肌、髪は髪で分けておきたいところです。分けておかないと、あとから髪色だけ変えたり、肌だけに影を落としたりするのが一気に面倒になります。塗り始めてしばらく経ってから気づいたので、正直「これ全部塗り直しか…」と一瞬固まりました。
でも大丈夫でした。クリスタには、塗った色を基準に選択範囲を作る機能があります。今回はそれで無事に救出できたので、手順を残しておきます。
使うのは「色域選択」という機能
使ったのは[色域選択]という機能です。クリックした色と近い色を、キャンバス全体から一括で拾ってくれます。CLIP STUDIO PAINTのPRO/EXに入っている機能です。
すでに知っている方も多い機能だと思います。ただ、自分にとっては完全に盲点で、今回のことがあるまで存在すら意識していませんでした。同じように知らないまま塗り直しを覚悟している人がいるかもしれないので、備忘も兼ねて残しておきます。
場所は上部メニューの [選択範囲]→[色域選択] です。

これを選ぶと小さなダイアログが出てくるので、あとはキャンバス上で「拾いたい色」をクリックするだけです。今回の場合は、肌の部分をクリックしました。

ポイントになるのが、ダイアログにある [色の許容誤差] です。この数値が小さいとほぼ完全に同じ色だけを拾い、大きくすると近い色まで含めて拾ってくれます。上の画像では10.00になっていますが、うまく拾えないときはここを上下させて調整してみてください。
もうひとつ、[複数参照] のチェックとその横のドロップダウンも大事です。どのレイヤーを見て色を判断するかの設定で、画像では「参照レイヤー」になっています。ここを「すべてのレイヤー」などに切り替えると、複数のレイヤーをまとめて見て色を拾ってくれます。ちなみに、非表示になっているレイヤーは対象外になります。
結果がこちらです。離れた場所に点在している肌も、まとめて拾えました。

「その色以外」を選びたいときは
逆に「この色だけ除きたい」という場面もあります。そのときは、いったん除きたい色を色域選択で拾ってから、[選択範囲]→[選択範囲を反転](Ctrl+Shift+I)を実行します。これで「指定した色以外」が選択された状態になります。
除きたい色が複数あるときは、少し手順が変わります。まず`Ctrl+A`でキャンバス全体を選択しておき、そのうえで色域選択を開きます。ダイアログの [選択タイプ] を[選択から削除]に切り替えてから、除きたい色を順番にクリックしていく。これで「全体から、指定した色たちを引いた範囲」が残ります。選択タイプはダイアログの中央に3つ並んでいるアイコンで切り替えられます。
選択したあと、どうやって分けるか
選択範囲を作っただけでは、レイヤーは分かれてくれません。選択できたら、次の操作で別レイヤーに切り出します。
肌と髪が同居しているレイヤーを選んだ状態で、[編集]→[切り取り](Ctrl+X)。続けて [編集]→[貼り付け](Ctrl+V)を実行します。クリスタでは貼り付けたものが新しいレイヤーとして、しかも元と同じ位置に配置されるので、これだけで肌だけのレイヤーが独立します。あとはレイヤー名を分かりやすく変えておけば完了です。
なお、色域選択で「すべてのレイヤー」を参照して選択範囲を作った場合でも、実際に切り取りや色変更が行われるのは、いま選んでいる編集レイヤーだけです。意図しないレイヤーを削ってしまわないよう、実行前にどのレイヤーを選んでいるか確認しておくと安心です。
つまずきやすいところ
最後に、実際にやってみて気づいた点をいくつか。
いちばん引っかかりやすいのは、線画との境目です。アンチエイリアス(輪郭を滑らかにする処理)がかかっていると、境界部分は肌色と線の色が混ざった中間色になっています。そこは許容誤差の値だけでは拾いきれないことがあります。そういうときは、選択範囲を作ったあとに[選択範囲]→[選択範囲を拡張]で1〜2px広げてやると、隙間が目立ちにくくなります。
それから、当然ですがそもそもの色が近すぎると分離できません。今回は肌と髪の色がはっきり違ったのでうまくいきましたが、似た色同士だと一緒に拾われてしまいます。逆に言えば、下塗りの段階でパーツごとに思い切り違う色を置いておくと、後からいくらでも分離できる、ということでもあります。実際、塗り分け前提で原色のような色を置いていく人がいるのは、たぶんこういう理由なんだろうなと、今回やってみて腑に落ちました。
ミスっても、だいたい取り返せる
下塗りでレイヤーを分け忘れる、というのは地味にやりがちなミスだと思います。でも、気づいた時点で塗り直しを覚悟する必要はありません。色さえ違っていれば、あとからでも分けられます。
デジタルのいいところは、大抵のことが後から取り返せる点だと思っています。塗り直しを覚悟した数分後に全部解決したときの、あの安堵はなかなかのものでした。同じところで固まっている人がいたら、まず色域選択を試してみてください。