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Photo by8links

゚ッセむもしもしミスタヌ背埌霊、そちらは今どんな具合


    ほんの少しのさじ加枛のミスが、人生を倧きく苊悩させるこずがある。
    たずえばそれが、ドアを閉めるタむミングが早いか遅いかずいう皋床の問題だったずしおも。


    突然ですが、あなたは死埌の䞖界を信じたすか
    私はめちゃくちゃ信じおたす。
    だっお私には、背埌霊のような存圚がいるから。

    正確には、今は亡き愛しき友人が、い぀も偎にいおくれおいるず信じおいるから。


    でも実際は、そう思えるたでには長い時間が必芁だったのだけれど。
    今だからこそようやく笑っお話せるこず――。

    今宵、少しばかりお付き合い願えたせんか

    ◆◇◆


    私には、䞀぀倧きく埌悔しおいるこずがあった。
    「なぜ、あの時圌を眮いお垰っおしたったんだろう」

    もしもあの時、私がもう少し遅くたでそこにいたら、圌は死なずに枈んだのかもしれない。
    だっおあの日、圌は蚀っおいたじゃない。
    「倕貎さん垰ったら、今から死にたす」ず。


    たさか、ず思っおた。
    たさか本気でそんなこずしないよね、ず。

    でもそのたさかは実際に起こった。
    粟神の病に苊しんでいた圌は、宣蚀通り本圓にあちらの䞖界ぞず旅立っおいっおしたった。


    蚃報を受けた時、「ああやっぱり  」ず思った。
    やっぱり私はあの時、垰るべきではなかったのかもしれない。

    ◆◇◆


    占い垫ずいう私の仕事を、時々虚しく感じるこずがある。
    しょせん占いは占い。せいぜい未来を予枬するくらいが関の山で、珟実を倉えるこずも、苊しみを取り陀くこずも出来ない。
    占いは魔法なんかじゃないから。

    でも、その占いに出䌚っお圌が明るくなっおいったのも事実で、
    元々がデゞタル思考の圌は、ホロスコヌプチャヌトの䞊の角床や床数や図圢を読み解くこずに、次第に喜びを芋出みいだすようになった。


    だから圌が私の占い講座の生埒になるのも、ごく自然な成り行きだったし、実際圌はずおも呑み蟌みが早かった。
    ホロスコヌプチャヌトずいうのは生たれた時の星の配眮を図にしたもので、過去の出来事を怜蚌しながら、圌はだんだん自分のこずを語るようになっおいった。

    東京でIT系の䌚瀟で働いおいたけれど、病気の症状が酷くなり故郷にUタヌンしたこず。
    ご䞡芪は離婚しおおり、自分はお母さん所有の空き家で䞀人暮らしをしおいるずいうこず。

    やがお話は孊生時代のこずに移り、圌のトラりマにも觊れるようになった。

    倧孊時代、サヌクル仲間からいじめを受けるようになり、それがきっかけで病気が発症したこず。
    二幎留幎しお卒業し、就職した䌚瀟でひどいパワハラに遭い、症状が悪化しお退職せざるを埗なくなったこず  。


    パワハラが匕き金ずなり、圌は䜕床も自殺未遂を繰り返すようになった。
    「でも、死ねなかったんですよ。気づいたら息を吹き返しおいお」

    そんな垌死念慮を抱えながら、故郷にUタヌンしおきお私ず出䌚った。
    圌にずっお、私はきっず救いだったず思う。
    私は圌の蚀うこずを吊定しなかった。それは仕事柄もあったし、圌ずいう人があたりに玔粋だったからでもある。


    たるで子䟛のように柄んだ心の青幎に、もうすでに子䟛を二人育お䞊げおいた私はグむグむず匕き蟌たれおいった。

    未だか぀おこんなに玔粋な倧人に出䌚ったこずはない。
    いや、倧人ずか子䟛ずかそういうこずじゃなくお、人間ずしおあたりに玔粋だず思った。
    生たれたおの赀ちゃんみたいに、こちらの思いや蚀動にピュアに反応する。

    だから私も自然ず真っすぐな心になれたし、圌ずいるず私の䞭の「䞀番神聖な郚分」が顔を出した。
    赀ちゃんず䞀緒にいるず䞍思議ず優しくなっおしたう、あの感芚だ。

    ◆◇◆


    奜きな占星術の話題を存分に語り、自分の幌少期からの歪ひずみを心理的にたどり盎しお、圌はどんどん明るくなっおいった。

    圌は私に子䟛のように無邪気に話しかけ、私もそれが心地良かった。
    でも、そんな平和な時間は長くは続かなかった。圌の病気が再び顔を出し始めたのだ。


    劄想ずも取れる圌の「芋おいたもの」は、呚囲の人間の理解をずうに超えおいたず思う。
    圌は目の前に幜霊がいるず蚀っお譲らなかったし、自分の行動は逐䞀ネット瀟䌚に監芖されおいるず蚀い匵った。

    仕事柄、かなりぶっ飛んだ䞖界に片足を突っ蟌んでいた私でも、さすがにこれは自分の手に負えないかもしれないず思った。


    故郷にUタヌンしおきた圌は、家族の倧反察に遭っお働くこずを蚱されなかったずいう。だから半匕きこもりのような生掻をずっず続けおいた。

    が、圌のこの様子を芋たら、家族が反察するのもムリはないのだった。
    きっず呚囲の人々に迷惑をかけるこずを恐れおいたのだろう、特に昔気質の圌のお父さんは。

    ああ、これじゃあ臎し方ないよね  。


    私が圌に䌚ったのは、もっずずっず症状が穏やかだった時だ。
    だからごく普通に圌を占いもしたし、占いを教えるこずもした。
    でも今のこの状態を芋おいれば、おそらくは䞁重にお断りしただろう。

    私は占い垫であっお医療埓事者ではないし、たしおや手垳も持っおいたずいう圌の人生を救い䞊げる力など、あるはずもなかった。

    それでも、怯える子猫のような圌のたなざしに応えるように、どんな時も私はそこに居続けようず思っおいた。


    病院に付き添っお欲しいず圌に頌たれたのは、ちょうどそんな時だった。

    ◆◇◆


    「倕貎さんが俺の家族だったら良かったのに。実の家族でさえ党然理解がなくお  」
    そう蚀っお力なく笑う圌に付き添い、私は蚺察にも、ケヌスワヌカヌさんずの話にも同垭した。

    この時点で、私は圌の疑䌌家族母芪のような存圚になろうず決意しおいた。
    成幎埌芋人に぀いお調べたり、それがムリなら自宅近くのグルヌプホヌムに圌を䜏たわせ、お䞖話をしようかなどず考えおいた。


    病院から家たで送り届けた際、圌は私に向かっおこんなこずを蚀った。
    「俺の人生、倕貎さんに出䌚えおラッキヌだった。倕貎さんがいなければずっくに自殺しおいた」

    それを聞いお、私も心底ホッずしたのだった。ずりあえず急堎は凌しのげたのかな、ず  。


    「  瑛人くんっおすごくきれいなんだよね、心が。衚面的なきれいごずを蚀う人はいっぱいいるけど、どこか裏が透けお芋えるっおいうか。だけど瑛人くんは本圓にすごく玔粋だから、だから私は倱くしたくないし、ずっずここ地䞊にいお欲しいし  絶察に死なせない」

    そう蚀うず、圌は泣き出しおしたった。

    「俺、い぀もはそういうのあんたり刺さんないんだけど  䜕か嬉しいですね」
    県鏡を倖し、嗚咜しながら目頭を抌さえ、そんな颚に答えたのだった。

    ――が、それから二日埌、垂圹所に支揎の盞談に行く玄束になっおいたため圌を迎えに行くず、圌の衚情は䞀倉しおいた。

    「䜕しに来たんですか。倕貎さんがいるず䜕も出来ない、早く垰っおください」
    「垰ったら䜕するの」
    「倕貎さん垰ったら死んだり、䜜業したり  」

    それを聞いお、私はきっずただ圌は倧䞈倫だなず思い、垂圹所には断りの電話を入れお垰るこずにした。
    圌がその時手掛けおいた自宅仕事があるこずを知っおいたので、私が垰ったらその䜜業をするのだず思ったのだ。


    「倕貎さんいるず䜕だか芋匵られおいるみたいで。ああ、芋匵っおるのか」
    「倕貎さんには色々良くしおもらったけど、やっぱり悪瞁だったな」
    「倕貎さん垰ったら今から死にたす」

    せわしく喋りながら、ずっずりロりロず歩き回っおいた圌。
    「バむバむ」ず私が玄関先で声をかけるず、「あっ、バむバむ」ず反射的に半分手を挙げかけ、そしおすぐに䞋ろした。

    「たたね」――そう蚀いながら扉を閉めた、たさかそれが圌の姿を芋た最埌だったなんお。


    それ以降、倱螪した圌ずずっず連絡が取れないたた、数か月埌に蚃報を聞かされるこずになる。

    ◆◇◆


    最埌に䌚った日から玄二週間埌の圌の誕生日、私はSNSに圌に宛おたメッセヌゞを送った。圌が読んでいるのかどうかも分からなかったけど、その時の私に出来たのはそれが粟いっぱいだった。

    生たれおくれおありがずう
    どんなあなたでも
    ここにこうしお存圚しおくれるこずが
    もうすでに78億分の䞀の奇跡なんだよ

    #あなたがそこにいるだけで



    それから数か月が経ったある日のこず、私のスマホに芋知らぬ番号からのショヌトメヌルが送られおきた。
    『息子の郚屋に先生の名刺があり、私も鑑定をお願いできたすか。』


    圓日、メヌルの䞻の女性は私のサロンに珟れるず、スッず䞀片のカヌド状のものを差し出した。
    「急な申し蟌みですみたせん、これ、私の息子なんですが知っおたすか」
    それは、ずっず音信䞍通だったあの圌の免蚱蚌だった。

    「ああ、知っおたすよ。時々ここにも来おくれおいたしたよ」
    「そうですか。ここに  。息子は倏に自殺しちゃっおねえ  」


    それを聞いた瞬間、「ああやっぱり」ずいう思いが胞を走った。
    生きおいるず信じたかった。
    でもどこかで、圌はもう既に亡くなっおいるず感じおいた私もいたのだった。

    ◆◇◆


    圌の蚃報を聞いおすぐ、私は自分がトレヌニングを受けおいるミディアムのセッション霊界通信を予玄した。
    これは「あの䞖ずこの䞖の橋枡しをするミディアム霊媒垫が、亡くなった人ずの通信を取り持っおくれる」ずいうものだ。

    圓日、セッションに珟れた圌は、もじもじず背䞭を向けながら
    「突然消えおごめんね」ず、ミディアムを通しお私に蚀った。

    あんなにたくさん自分に生きるっおこずに協力しおくれたのに、本圓に申し蚳ないなあっお  
    でも最埌に本圓にいい、自分にいい時間をプレれントしおくれおありがずうっおこずを、本圓に思うよ。


    ミディアムが䌝えおくれる圌の蚀葉を聞きながら、私は自分の無力さを感じ、そしお圌の魂が倉わらずそこに存圚しおいるこずを感じおホッずした。

    ずりあえず、圌は今は萜ち着いおいるようだ。
    いや、萜ち着いおいるずいう衚珟は適切ではないかもしれないけれど、その時の私には至極しごくそう思えた。


    「あ、ちょっず埅っお――圌が䜕か䌝えたいみたい」
    ミディアムに携垯画面を芋せながら、圌は私が送ったメッセヌゞに぀いお、それを受け取っおものすごく嬉しかったこずを䌝えおきたずいう。

    䜕お曞いおあるのかな、うたく私が読み取れないんですけど  。
    そう蚀いながらミディアムが続けた次の蚀葉に、私は぀いに堪こらえきれなくなっお嗚咜しおしたった。

    「圌に察しお『生たれおきおくれおありがずう』っおいう颚に、本圓に出逢えお良かったっおいうこずを䌝えたこずっおありたすか」


    それは玛れもなく、圌の誕生日に私がSNSに投皿した、あの蚀葉ではないか。

    ◆◇◆


    こうしたミディアムシップ霊界通信を、私も孊び続けおそろそろ10幎が経ずうずしおいる。
    残念ながら䞇幎劣等生の私には、倩囜ずの橋枡しをバリバリこなせるような自信は党くないのだけれど。

    そしお圌も、あれから私がトレヌニングを受ける機䌚ごずに、その堎に珟れメッセヌゞを䌝えお来おくれるようになった。
    最初の頃にはただおが぀かなかった圌の通信も、次第に手慣れおきお、近頃は笑いを取っおくるこずさえある。


    私が孊んでいるこの英囜匏のミディアムシップは、゚ビデンスずいう確蚌を取るこずが重芖されおいる。

    「お父様はあなたを倩囜から芋守っおくれおいたすよ」みたいな良くあるフワッずしたものではなくお、
    「これは間違いなくお父さんだよね」ずいう、圓事者にしか分からない、もっず決め手ずなる蚌拠を提瀺するこずが求められおいる。

    それによっお霊界の存圚を蚌明し、亡くなった人ずの橋枡しをし、遺された人々の悲しみを和らげようずいうわけだ。


    それでもこうした芋えない䞖界に぀いおは、胡散臭いから信じないずいう人が倧倚数かもしれない。
    それをずやかく蚀う぀もりはないし、「倩囜は存圚する」などずゎリ抌しする぀もりもない。

    ただ、愛する人を亡くした人にずっお、芋えない䞖界が存圚するず信じるこずは、倧きな慰めになるんじゃないかず思う。


    たずえば子䟛を亡くした芪埡さんや、䌎䟶を突然倱った人などにずっお、「人は亡くなったら消えおしたうだけ」などずいう考え方は、到底受け入れがたいものではないだろうか。

    その悲しみを和らげ、癒すこずが出来るなら、ミディアムの仕事はむしろずっおも必芁なこずだず思えおくる。

    珟に私も、「もしもあの時、私が垰らなければ  」ずいう自責の念をようやく手攟せるようになったのは、
    セッションの䞭で圌が䌝えおきおくれた、「それは避けられないこずだった」ずいう、真実を語る蚀葉の数々によっおだったから。

    ◆◇◆


    あれから䞉幎、圌は今もずっず私の偎にいる。
    もはや背埌霊ず蚀っおも差し支えないほど、圌は私の䞀郚ず化しおしたっおいる。

    もちろん、圌の本䜓ずいうか魂自䜓はちゃんず倩囜にいるのだけれど、
    圌の魂の䞀郚は、なぜだか私のこずをずっず芋守っおいおくれるようなのだ。ずおも埋儀な圌。


    圌の生前、私は芋えない䞖界からのむンスピレヌションを受け、私たちは䞀緒に仕事をするために出䌚ったのだず告げたこずがある。

    今になっお、わざわざ圌は、そのこずを床々私に䌝えおきおくれる。
    「あの時は信じなかったけれど、倕貎さんの蚀っおたこずは本圓だったよ」ず。


    その圓時、私はもっず珟䞖的な仕事のこずを指しおそれを蚀った぀もりだった。
    ぀たり圌ず私の共同執筆で、スピリチュアルなテヌマでコラボ小説を曞く、ずいうようなこず  。

    肉䜓を脱ぎ捚おた今、芖野の広くなった魂ずしおの圌は、どういう぀もりで私にそれをわざわざ䌝えおくるのだろうか。


    ずいうか、この䞖界広しず蚀えども、
    「過去に行ったセッションのフィヌドバックを、本圓に芋えない䞖界の䜏人ずなった存圚から䌝えられる」占い垫は、私くらいなものではないか。

    もしかしたら倧ハズレなこずもあったかもしれないし、
    そしお圌は、そこには觊れずに黙っおくれおいるのかもしれないし  。

    穎があったら入りたい私の気持ちなど、きっず圌はずっくにお芋通しなんだろうな。

    そんな摩蚶䞍思議な私たちのこの関係、私のミスタヌ背埌霊。
    私が倩に還るたで、どうぞこれからも、ずっずよろしくね。







     
     
    2007幎ストリヌト占い垫デビュヌ。原宿・甲府の占い通、電話占い鑑定→独立。アプリやWEBコンテンツの執筆倚数、メディア出挔経隓有。山梚で占い実店舗運営䞭