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Photo byseana428

【妄想note】星に願いを│七夕タイムカプセル

    今日は七夕。
    わたしは友だちのよりちゃんと学校帰り、地元の七夕祭りに来ていた。

    駅前の商店街には笹飾りがゆれていて、
    「○○がうまくいきますように」とか、「彼女ができますように」とか、
    思い思いの願い事を、ところ狭しとぶらさげられている笹は、みんなの願いを一身に背負ってすごく重たそうだ。

    「がんばれよぉ」つい笹に声をかけてしまう。

    「笹に話しかけてる人、はじめて見た。……返事とか、くれるの?」 
    すかさずよりちゃんからの冷静なツッコミとともに、少しだけ気の毒な人を見るような視線がとんできた。いつものことだ。

    「…そうだね。『しんどいです』って言ってるよ」
    本気とも嘘ともわからない口調で、私も返す。それもいつもどおり。

    「それにしてもあっついね!かき氷食べてもう帰ろうよ」
    たいして私の返事に関心もない様子で!よりちゃんは話題を変えた。


    今夜は1年に1度、願いが空に届く夜…のはずだけど、
    空は街の明かりに負けて、ぼんやりとグレー。学校から何度となく空を見上げてみたけれど、ずっと、ずっとグレー。今日だけは見たかったんだけどな。

    「そうだよね…星も見えないしね」
    小さくため息をついて、私もかき氷屋を探しはじめた。

    そんな私をじっと見つめるよりちゃんが、じゃあさ…「うち来る?マンションだし星、もしかしたら見えるかもよ」
    優しく笑って提案してくれた。
    いいの?



    「…あんま変わんないかぁ。
    最上階だしここ高台だし、いいと思ったんだけどな」

    よりちゃんが、ベランダから空を見上げて言う。
    なまぬるい風が、なぐさめるように私の頬を撫でた。

    「うん、月とか明るい星ならかろうじて、ね。天の川見たかったな」
    「あんた…天の川とか期待されても、そりゃ無理だわ」
    天文台か、ど田舎いかないと。

    「知ってるもん。見られる場所が限られていることくらい」
    私はコップの氷がカラカラと音をてるのを聞きながら、口を尖らせた。
    「叶わないとわかっていても、願いたくなるのが七夕でしょ」
    今日だけは、今年だけは願い事を聞いてもらいたかったのだ。


    「……よりちゃんみたいに遠くに行けば……天の川、見られるのかな」
    とうとうがまんできない言葉が、ためらいながらぽろりとこぼれ落ちる。
    しまった。

    「…やっぱりそれか…仕方ないでしょ」
    よりちゃんは、やれやれと言わんばかりに、小さくため息をついた。
    彼女は来年この街を出て、遠くの大学に進学することを決めてしまった。
    ずっと一緒にはいられない。そんなこと私にだってわかってる。
    でも大好きなよりちゃんが、とうとう遠くに行ってしまう。
    天の川でもなんでも願いたくなってしまうのだ。

    「…ごめんね。あきらめが悪くて」
    「ほんとだよ。進学先は変わらないからね」
    「知ってるよ。さみしいだけだもん。わかってるよ」
    「今生の別れじゃないでしょ」
    「そうなんないように、天の川にお願いしときたかったの」

    なるほどねぇ…よりちゃんがそう言いながら、静かに夜景を見渡す。
    あと何回、この横顔を見ることができるのだろう。

    そのとき、よりちゃんがなにかに気がついたような顔をして、私をみた。
    「でもさ」
    そう言って、遠くの道路を指差す。

    「ほら、あれ。あそこの道路。車のテールランプが天の川みたいじゃない?」
    視線の先には、たくさんの赤い光の列がゆっくりとカーブを描いて、街の端へと流れていた。幹線道路の脇に広がる街の明かりは、夜空にちりばめられた星のようだ。

    「……うん。まるで地上の天の川みたい」
    きれい…
    その言葉は、口の中で苦くひっかかる。
    地上に広がる天の川の流れが、まるでとどまることをゆるさない、時の流れのように儚くうつる。

    「ずっと一緒にいたかったよ」
    また、心の中の言葉がこぼれてしまう。

    よりちゃんは私を見て、ちょっとだけ笑った。
    「……ばかね。そう簡単にかわるわけないでしょ」
    「そうかな」
    「そうだよ、あんたの執念深さは、昔っから知ってるからね」
    よりちゃんはベランダの手すりに肘をかけて、横目で私を見ながら茶化すように言った。

    「あっ!ひっどーい!」
    つられて私も笑ってしまう。
    笑い声だけでも、空には届いただろうか。

    こんな七夕の夜に、私の願いはただひとつ

    今の関係が来年もその先も、ずっとずっと続きますように

    空でも地上でもかまわない。
    どうか、星に願いを。

    🎋



    音羽しーなさんの投稿で、ロマンチックなトップ画像を見てしまったその時から、ロマンチックな妄想が止まりませんでした。
    音羽しーなさん。トップ画像お借りしました。ありがとう!


    ことばとさんの企画に私も参加してみたいと思います。

    締切は、7/7午前中!!ギリギリセーフ!?でしょうか。
    私の願いはもちろん
    今の関係noteが来年もその先も、ずっとずっと続きますように🎋

    ことばとさん、楽しい企画を作ってくださりありがとうこざいます。



    #七夕タイムカプセル

     
     
    小さな病院の外来看護師 毎日を楽しく過ごすために、noteに書いて残しています。 ※このくいたろうの、 X、インスタのアカウントはありませんよ。 最近は#夏休みの小さなおとぎ話を作っています

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