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【美術館レポ#031】春の江戸絵画まつり 長沢蘆雪(前期・後期)

    会場:府中市美術館
    撮影:全編不可

    18世紀後半の京都の画家、長沢蘆雪。当館ではこれまで様々な作品を紹介してきました。ファンタスティックで不思議な風景、かわいい動物や子供。師の円山応挙に迫る凄腕の絵もあれば、その正反対のへそまがりで愉快な絵もあります。また、禅の世界や仏の教えのもとに生きた画家でもありました。東京で64年ぶりとなるこの蘆雪展では、色々な角度から魅力に迫ります。

    https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/tenrankai/kikakutenkaisai/2025_nagasawa_rosetsu.html

    感想

     恒例企画!春の江戸絵画、今年は長沢蘆雪。
     時に応挙と比較しながら蘆雪の作品を観た。何とも言えない気持ちになる。何かを大切に思い、愛したくなる。彼が描く子犬や子供たちにはそんな力があるように思った。

    前期(2026年3月21日 投稿)

    長沢蘆雪『鍾馗・蝦蟇図』
     鐘馗よりもカエルが良い味を出してる。普通に座ってるだけなのに、偉そうな雰囲気のカエル。ポイントとなる目や口ははっきりした線で描き、体は墨の滲みを利用している。明瞭な線で描かれた鐘馗とは対になる。

    円山応挙『時雨狗子図』
    35歳の応挙の犬。中国感があって、毛並みもちゃんと描いててリアルさある。

    円山応挙『雪中狗子図』
    46歳の応挙の犬。35歳の時よりデフォルメされていてマスコット感が強い。52歳の時よりはリアル感は無く、35歳の時よりも丸っこくて可愛らしい。

    円山応挙『雪中狗子図』
    52歳の応挙の犬。35歳の時と比べると毛並みの繊細さは明らか。リアルさと可愛らしさの均衡が取れている。後ろ姿の子はデフォルメされていて、そのギャップも年の功の賜物かも。

    長沢蘆雪『木蓮狗子図』、長沢蘆雪『狗子図』、長沢蘆雪『狗児図』
    こちらに背を向けた犬の崩した足が可愛らしい。蘆雪はこの体制の子犬を何度も描いているので本当に好きなんだな〜と。背を向けた犬の構図は、鑑賞者の視点を気にしていない感じがしていてそこに子犬の自由さ・無邪気さも感じる。表情も豊かで、彼にとって子犬は子供と同じ感じだったかも。

    長沢蘆雪『十二支図』
    十二支の動物が描かれた中で、虎の尻尾で遊ぶ2匹の子犬。それだけで画面が和む。

    後期(2026年5月5日 投稿)

     メインは無量寺の『竜虎図』。8枚の障子に竜と虎が描かれてる。大きさ的な迫力はあるけど描かれている虎や竜自体には覇気よりかは可愛らしさを感じた。無量寺は臨済宗という禅宗のお寺だからか、「怖い虎」「怖い竜」という人間の固まった価値観から解放された竜虎を描いたようだ。
     また、竜を描いた作品で「実際に竜が現れたらこんな感じだよね」というような作品が2点あり、なかなかに面白かった。竜の顔のみがヌッと出ていて実在しないのにリアルさがあると思った。

    長沢蘆雪『真向竜之図』
     雲の合間から龍がヌッと顔を出している。本当に龍が現れたら?という設定で描いたのかも。モヤモヤと表された雲の隙間から大きくてイカつい顔だけを覗かせているのが何とも言えない不気味さはあるものの、瞳孔は大きめなのでキャラクター感がある。131の方が龍の攻撃性的なところを感じる。

    長沢蘆雪『雲中潜竜図』
     こちらも実際に龍が現れたら?みたいな状況。雲が扇風機みたいにぶわぁとたなびき、地上の松は風に煽られていて、黒い雲を背景に龍の顔だけがヌッと現れている。確かに、実際出てくるってなったら全身ドーン!って感じより顔から出てきた方が恐ろしさがあるかも。132.133合わせてリアルさのある龍図。

    長沢蘆雪『竜虎図襖』
     虎の顔が襖一枚にドーンと、描かれる。色がついているところと白抜きのところ、どう描き分けた?耳がないし口が閉じてるから可愛らしさもありつつ、座った時に顔と同じ高さになるからずっと虎と目が合う。体のシマの描き方も、稲光みたいになってる。虎の裏には同じ構図で猫が描かれているらしく、猫も可愛い。尻尾の先がくるんと巻いているのもリズムが生まれる。
     龍に関してはあまりおどろおどろしい感じはない。角や腕は岩山みたいにゴツゴツ尖っている。『龍虎図』よりは可愛らしさというかキャラクター感が強い。虎よりも勢いをつけて描かれたように思う。

     
     
    つれづれなるままに、展示を見て心に浮かびし事をそこはかとなく書きつくる。

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