
未確認飛行パンプキン|毎週ショートショートnote
参加させていただきました。
が、410字という条件を見落としていて1600字程度書いてしまっております。
条件合っていないですがよければご覧ください。
今日はハロウィン。
家の周りでは、子供が練り歩きお菓子をもらいに行くというイベントが開催される。
お母さんから「たくさんお菓子もらってきなさいね」と、かぼちゃの顔がペイントされたプラスチックの入れ物を渡された。
「行ってきます!」ととんがり帽子を被り玄関を飛び出し、一番近い友達の家から向かう。
ピンポン、とインターホンを押すと、友達のお母さんが大量にお菓子を持って出てくる。
数軒回ると、かぼちゃの入れ物は丁度口まであふれかえりそうなくらいでいっぱいになった。
いつも遊ぶ公園の前を通ると、同じクラスの男子が数人駆け寄ってきた。
「まだハロウィンとか言ってるの!!子供じゃん!!」
男子はゲラゲラ笑い、私からかぼちゃを取り上げるとお菓子を鷲掴みにして空にした。
かぼちゃの顔は、悲しそうな顔をしているように見えた。
私はやめて、と叫んだが聞く耳を持たず、遂にはかぼちゃをサッカーボールのように蹴り上げた。
「シュート!!!!!」
かぼちゃの入れ物は軽々と空中を飛び、塀を越えて家の庭に入ってしまった。
「ねえ」
私は振り返るが、男子たちはあっという間に公園から逃げてしまった。
どうしよう、しかも公園の隣の家は怖い人が住んでいるという噂を学校で聞いたことがある。
私はその場で震えあがってしまった。
私がしたことではないはずなのに、何か悪いことをやってしまった気分になり、涙が出てきそうになった。
しかしかぼちゃの入れ物を救出しなくては。
私は頭をぶんぶんと振り、気合を入れて家に向かった。
隣の家はとても大きな和風の家だった。
ピンポンを押すと、家の主なのか着物を着たお爺さんがガラッと出てきた。
話に聞いていた通りかなり強面のお爺さんで、着物を着ていることによって怖さが数倍増しになっている。
怒られる。言い訳は通じないだろう。
そう確信した私は、すぐに帽子を脱いで「ごめんなさい」と何度も謝った。
ごめんなさいと言えば言うほど、目から涙がぼろぼろと落ちる。
帽子はぎゅっと握られて原型を留めていない。
お爺さんは、私の様子を見て何かを察したのか、家の中ではなく庭に案内した。
庭にはかぼちゃの入れ物と、中にすっぽり収まっている猫。
呆気に取られて眺めていると、横にお爺さんが並んだ。
「かぼちゃが飛んできて、すぐに猫が入ってしまってな。気に入ってしまったようで君に返せなくなってしまったんだ」
だからそこまで気にしなくて良いと、ぽんと私の頭を撫でた。
そこで心が安心したのか、涙は止まらず遂には嗚咽まで出るようになった。
「お菓子もあるから持っていきなさい」
お爺さんは縁側から部屋に上がり、袋に大量のお菓子を入れて戻ってくると私の前にかがんだ。
「お菓子を用意しているんだが、どうもみんな怖がってしまってね。毎年大量に余ってしまうんだ」
「学校でみんな怖いって言ってた…」
思ったことをそのまま口に出してしまい、思わず口を覆った。
お爺さんはははっと笑い、困ったような笑顔で顔を触った。
「そうか。この顔がいけないんだな。参ったな」
その様子を見た私は、涙を袖でぐいと拭いお爺さんに提案をした。
「友達たくさん連れてくる!そのときかぼちゃ取りに来るから」
「それは嬉しいなぁ。沢山お友達連れておいで」
お爺さんは目の下に皺を作り微笑んだ。
休み明けの学校で、お爺さんの家にお菓子をもらいに行こうと女子たちを誘ってみた。
最初みんな驚いた顔をしていたが、行こう行こうと賛成してくれた。
放課後、大人数で行ってみるとお爺さんはとても喜んでくれて、みんなにお菓子を振舞ってくれた。
かぼちゃには相変わらず猫が収まっていて、みんなで猫を取り囲んで戯れていた。
お爺さんはその様子を見て、またいつでも遊びに来なさいと言ってくれた。
それからしばらくの間、猫からかぼちゃを返してもらうまでお爺さんの家に遊びに行った。
返してもらったときには、クリスマスが終わろうとしていた。