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実家の天井

    先日久々に実家へ泊まった。
    今の住まいからは車で20分ほどの場所なので、行っても日帰りばかりで宿泊は数年していなかった。

    実家は小学生の頃に引っ越してきて約20年暮らしていたので、まさに人生の半分を生活していた場所だ。

    当時は四畳半の部屋に青春を詰め込んで過ごしていた。
    2段ベットの下のスペースに秘密基地的に机を仕込んでみたり、アルミラックにCD3枚入るaiwaのコンポを組んだり、赤マル(マルボロ)の箱をやたらと積み上げてみたりと、振り返ればなんとも香ばしい。

    昔から収集癖があるようで雑誌やCD、ゲームなどが溢れるように部屋を占領していて、しかもその大半を手に入れる事で満足してしまう悪い癖があった。

    実家を出る時には物凄い量の処分をせざるを得なくて、処分直前になって今まで未開封、未使用だったそれらを急にいじくり出すという奇行に走っていた。一体何の為に買い集めてたんだろう。

    案の定引っ越しは難航して、かなり時間を要したのは言うまでもない。
    今思えば買う事であの時の将来への不安やストレスを発散していたのだろう。

    しかし現在ではその部屋もあの頃の面影は皆無で、本当に何も残って無く懐かしさすら感じないレベルにまで変貌している。
    まあそれも仕方ない。この部屋を出て何年も経つし、これも時の流れなんだろう。

    ノスタルジーに浸りながら実家で過ごしていると、母親から風呂が沸いたとの知らせが。
    「ありがてえありがてえ」
    そう思える様になったのは、実家を出て母親のありがたみを認識したからであろう。

    最近見なくなった深めのステンレスの浴槽は上と下の温度差がやたらと激しいもんで、しっかり掻き回さないと入れたもんじゃない。
    おもむろに手に取ったコレも30年モノだったと感動しながら湯船に浸かった。

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    風呂を出て元自分の部屋の布団に寝転がる。
    やっぱり当時のアイテムは何も残っていなくて、全然知らない家に泊まりに来たような気分だ。
    見上げた天井に何かを剥がしたような跡があった。
    「ん??なんだアレ?」
    見覚えの無いその跡がやたらと気になってしまい記憶を探っていたら目が冴えてしまった。

    しばらく考え込んでいたら蘇る中二の記憶‥‥‥




    「アレ、好きなグラビアアイドルのポスター貼ってたテープ跡だ!」
    おそらくあの時は鈴木紗理奈、深田恭子、はたまた永作博美のポスターを貼っていた様な気がする。

    「天井にポスター貼れば寝る時にずっと眺めながら眠れるし、一緒に寝てる感覚になれるじゃん!」
    おぉ怖い怖い。厨二の自分の感覚に狂気を覚えた。

    もう何も当時のアイテムは残っていなかった実家の元自分の部屋だったが、天井のテープ跡だけは唯一の俺が住んでいた証となり、お陰で当時を振り返るきっかけになれた。

    また天井にポスター貼ってみようかな。

     
     
    眼鏡珈琲と申します。 44歳工場勤務、妻子持ち・住宅ローン有り、生活も収入も普通。 壮年ノンフィクションと銘打ち、普通だからこその視点で壮年期のリアルを綴ります。

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