メインコンテンツへスキップ
見出し画像

色眼鏡|アマノ文筆クラブ

    人づきあいが苦手だ。

    「この人は苦手だ」と一度思うと、その人の何もかもが嫌になる。
    こちらがそんな風だからか、皆、僕からは一定の距離を置いているようだ。

    だからガールフレンドもいない。

    そんな僕が、モニターに選ばれた。

    新開発の「カラードレンズ」。カラコンではない。

    かけると、相手の欠点が目立たなくなり、長所が輝いて見えるという。
    コンタクトタイプ。透明で、つけていることも忘れるほど自然、という触れ込みだ。

    半信半疑で、使いはじめた。
    効果は、劇的だった。

    満員電車で足を踏まれても、腹が立たない。
    嫌味な上司の小言も、親身に聞こえる。
    世界が、やわらかくなった。
    これで、都会生活がもっと過ごしやすくなる。

    そして、彼女に会った。

    中途採用で同じ部署に入ってきた。
    何事にも一生懸命な姿が、いじらしい。

    カラードレンズのおかげで、彼女とは普通に会話が続いた。

    その日、彼女は少し疲れた顔をしていた。
    前髪が乱れて、目の下に隈があった。声もかすれていた。

    かわいい、と思った。

    疲れた顔も、かすれた声も、乱れた前髪も、全部、いとおしかった。

    ——これはいわば、カラードレンズの副作用だ。
    使い続けていると、中毒症状が出るのだな。
    モニター報告書に書かなければ。

    コンタクトを外そうと、指を、目にやった。

    指が、眼球に直接触れた。





    甘野充さんの、アマノ文筆クラブに参加します。



    #アマノ文筆クラブ #色眼鏡 #ショートショート #創作 #小説 #ABC共創ラボ #AI協働 #共創


     
     
    "思い・言葉・物語は、語られることを待っている" ✍️ここは「語り」をAIと共創する場所 📚小説・童話・漫画・英語、より充実したAIとの付き合い方のヒントがここに。 📌プロフィールに目次有 ■完璧じゃなくてOK。伝わることで世界は変わる ■「語りOS」と「共創知モード」が道標

    あなたへのおすすめ