
桜を待つ梅|青ブラ文学部
梅が、咲いている。
まだ風が冷たい頃、誰も花見をしない頃、梅はひとりで咲く。
静かに漂う香りに人々は冬の終わりが近いことを知る。
梅は次に桜が咲くことを知っている。
人々が声を上げて、川沿いに列をなす季節が来る。
けれど梅は、知っている。
その頃にはもう自分は散っている。
それでも梅は、毎年咲く。
桜を待つように。
桜に会えないと知りながら。
私は、梅に聞いてみる。
「寂しくはないのか」
梅は何も言わない。
通り抜ける風が、今年も静かに香りを運んでいく。

山根あきら さんの、青ブラ文学部に参加します。
#青ブラ文学部 #桜を待つ梅
#梅 #桜 #春 #季節 #切なさ
#ショートショート #創作 #創作小説 #詩 #自然
#日本の四季 #共創