
十五夜に|シロクマ文芸部
「月を見ることができたら、いいのにね」
そう言う私に、若い友人が、答えた。
「本当に、そうですね」
せっかくの十五夜は、予報では、雨らしい。
「なかなか、思い通りには、いかないもんだね」
「ええ、僕なんか、ここんところ、絶不調で。マージャンも、パチンコも、負け続きで……」
なんだか、噛み合わない会話に気づいて、二人で笑い合った。
彼は運の意味で、「つき」を聞いていたらしい。
あれっ、でも、「つき」って、漢字は、ないのかな?
普段は、「つき」「ツキ」と読み書きしている。
二人で調べてみた。
諸説あるが、「付き」「憑き」が、もともとだ、ということらしい。
幸運が付く。神がかりになる。——その意味合いが、博打を中心に、「ツキ」という表現に、定着した、ということだ。
*
今年の十五夜は、月も見られず。
彼のツキもなさそうだ。
でも——二人とも、一つ賢くなった。
勘違いから見直すことになった、月とツキ。
ひょっとしたら、ついているのかもしれない。
小牧幸助さんのシロクマ文芸部に参加します。
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