
時間をかける少女➁|アマノ文筆クラブ
おばあちゃんは、新しいものが嫌いだ。
インターネットなんて興味がないと言い張るし、いまだにスマホも持たない。
そして、何事にも手間をかける。
ご飯は土鍋で炊く。部屋は箒で掃く。
「電化製品って便利なんだよ。インスタント食品だって、十分食べられるよ」
私がいくら言っても、笑って取り合わない。
「手間を惜しんでいたら、美味しいものは食べられないんだよ」
それが、料理屋を営んでいた、ひいおじいちゃんの口癖だったという。
確かに、おばあちゃんの料理は美味しい。
出汁は一晩。味噌は一年。梅干しは三年。
律儀に、コツコツと、手を抜くことなく。
ふと、思う。
昭和のお嬢さんだったおばあちゃんは、
恋にも、こんなふうに、時間をかけたのだろうか。
今度、聞いてみよう。
時間をかけて。
甘野充さんのアマノ文筆クラブに参加します。