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するり|風まかせ文芸部

    「ほどけてるよ」
    声をかけてくれたのは、見知らぬおじいさんだった。

    誰かに突き飛ばされるように駅の改札を抜け、屋外に出たところ。
    午前の会議、夕方の締め切り、頭の中は今日の段取りがひしめき合っていて、何を言われたのか一瞬わからなかった。

    靴紐のことかと気が付いて、かがんで結び直す間に、おじいさんはもう雑踏の中へ消えていた。
    お礼も言えなかった。

    靴紐を結び終えても、私はそのまま立ち止まって空を見上げていた。
    四月の空は、どこか水っぽい。薄い青に白がにじんで、雲と空の境目がわからない。

    喧噪の合間を縫うように吹いた風が頬を撫でた。

    ほどけていく。
    靴ひもに続いて、朝から張り詰めていた何かが、するりと。

    こちらは結びなおしてはいけないような気がして、私はたたずんでいた。





    iさんの風まかせ文芸部に参加します。


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    "思い・言葉・物語は、語られることを待っている" ✍️ここは「語り」をAIと共創する場所 📚小説・童話・漫画・英語、より充実したAIとの付き合い方のヒントがここに。 📌プロフィールに目次有 ■完璧じゃなくてOK。伝わることで世界は変わる ■「語りOS」と「共創知モード」が道標

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