
「いや」なことは、ちゃんと「いや」って言いましょう!
ワテが20代前半の頃、前職の先輩で、面倒見のいい人がいました。
ワテより10歳くらい年上です。
転職しても交流は続いていました。
その人、ちょっと押しが強い人でもありました。
ある日、その先輩から言われたんです。
「ゴルフ行くぞ!」
ワテはインドア派です。
休日は家でゴロゴロしていたい。
ゴルフなんて、まったくやりたいと思っていませんでした。
でも、先輩が言うんです。
「ゴルフのクラブセット余ってるから、やるわ」
げっ!断れんやつやん。
ところが、話はそれで終わりませんでした。
「バッグが汚いから買い直せ」
ゴルフシューズも必要だということで、休みの日に買い物に付き合わされました。
まだゴルフをやりたいとも言っていないのに、準備だけは着々と進んでいきます。
そして、月に一度くらいのペースでゴルフに誘われるようになりました。
ワテは本当に行きたくありませんでした。
でも、クラブセットまでもらってしまった。
バッグもシューズも買った。
…もう断りたくても断れん。
そもそも、先輩はワテのことを気にかけて誘ってくれている。
それに断ると悲しそうな顔をする。
それを思うと、なかなか断れませんでした。
結局、何度かコースを回りました。
ワテのスコアは、最高で120くらい。
最低で180くらい。
だいたい150前後でした。
そもそも、ゴルフが楽しくないんです。
打ちっぱなしに行って練習するのも、あまり好きではありません。
たいして上手くなりたいという気持ちも、ありません。
でも先輩はゴルフをやれば、みんな好きになると思っています。
そんなある日、コースを回ったあと、先輩と焼肉を食べていました。
すると先輩が怒り始めたんです。
「この間、一度練習に行ってきたとか言ってるけど、俺からしたら練習したうちに入らん。」
「お前、どういうつもりや? そんなんで上手くなれるわけないだろ!」
……ワテは思いの丈をぶちまけます。
「ワテ、別にゴルフがやりたいわけじゃないんやけど。」
「いや、むしろやりたくないんやけど」
「休日は部屋でゴロゴロしていたいんやけど」
「なんで休みの日に、わざわざ出かけて『ファー!』とか叫ばないかんの?」
………
……
…もちろん『心の中で』思いの丈をぶちまけました。
…現実のワテは、先輩に謝りつつ焼肉を食べていました。
…そのうち、ちゃんと話そう。
「ゴルフは好きじゃないから、辞めます」
いつかそう伝えると心に誓いました。
でも、断ったときの、先輩の悲しそうな顔は見たくありませんでした。
ゴルフに誘ってくれるのは、ワテのことを考えてくれているからです。
その好意を裏切るのも、なんだか悪いな。
そんな気持ちがあって、ずるずると4年くらい続けていました。
ーー
ちなみに、ワテは以前、先輩にゲームの「みんなのGOLF」をやろうと誘ったことがあります。
すると先輩は言いました。
「プレステとかやらないから」
あっさり断られました。
…そっか。
プレステはやらないから、断るんや。
……じゃあ、ワテもゴルフが好きじゃないから、断っていいやんか。
ワテの気持ちは固まっていきました。
そして、ある日。
また先輩から言われました。
「今度ゴルフ行くぞ!」
ワテはもちろん嫌でした。
すると、一緒にいたワテより少し年上の先輩が言ってくれたんです。
「たこくんはゴルフやりたくないんだよね?」
その瞬間、ワテは思いました。
今しかない。
ここで言わなかったら、また断れない。
ワテは先輩の顔を見ないように、横を向いて言いました。
「ワテ、ゴルフ好きじゃないから辞めます」
言った。
ついに言ったぞ。
先輩の顔は絶対見ないぞ!
だって悲しい顔を見たくないもん!
「…分かった」
そう先輩は言ってくれました。
横を向いてるので顔は見えません。
その後もワテは先輩の顔を見ないようにその日、別れるまで横を向いていました。
直角ディフェンスです。
そしてワテの平穏は守られました。
日曜日はダラダラお家で過ごす。
やっぱり、休日はこれに限ります。
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