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女の子の夢はコットンキャンディ|シンデレラガール|King&Prince

    きらきらしていた。

    わざとらしいくらいにきらきらと甘い綿菓子のようなメロディが、部屋の天井からくるくると舞い踊るように降ってきた。


    女の子の夢は、たぶん、ふわふわのピンク色をしている。
    (わたしは黄色が好きな、どんくさいくせにおてんばで変わり者な女の子だったけれど)
    女の子はきっとみんな、お姫さまに一度はなってみたいのだ。

    そう。
    わたしは戦って、姫を守る側の女の子だったけど、そんなわたしでも、ときどき、ごくごくたまに、ほんの少しだけ。
    甘くてふわふわの「お姫さま」のかわいい笑顔を、遠くからちょっとだけ、さびしい気持ちでながめることもあった。

    スカートを身に着けたとしても、やわらかい曲線を描くフリルなんてついてない。丈夫なデニムのストレートなスカート。
    たまにリボンがついていても、革ひもをリボン結びにしているだけ。

    きめ細かいレースなんて、遠目にしか見たことない。
    わたしのスカートについていたのは、白い木綿のコットンレース。かわいいけれど、おてんばな自分にぴったりの洗いざらしの元気な質感。

    戦隊ヒーローや仮面ライダーが大好きで、なりたいのはその一員だった。
    決して、ヒーローにひざから横抱きにされるか弱い女の子に憧れたわけじゃなかった。

    でも、それでも。
    ほんの少しだけ、胸の奥の方に、自分の中にもある「女の子」がこっちに向ける視線を感じることもあった。


    いいな。
    かわいいな。
    ・・・わたしも、あんな風に。
    なんて。


    ♪ キミはシンデレラガール My precious one
     You’re the only flowering heroine

    一度でいいから言われてみたかった、こんなストレートな「きみはかわいいよ、大切だよ」って言葉。

    同じクラスの男の子たちは、ロボットアニメの歌詞につまるといつも、「あいつに聞けばわかる」と言って、わたしに聞きに来ていた。

    あの中にひとりでもこんな目で見てくれる同級生がいたら、もしかしたら、もっと「女の子」らしいふるまいをしていたのかな。

    ブランコを1回転しそうになるまでめちゃくちゃにこいで、どこまで遠くへ跳べるかなんて遊び方、してなかったのかな。

    いやいや、そんなこと。
    別にわたしはそんな自分がいやだったわけじゃない。
    飛び降りた拍子ににスカートが破れたって、毎日の関心はブランコからどこまでも遠く跳ぶことだったし、特撮ヒーローの最新話の感想を言い合うことが楽しくてたまらなかった。

    わたしはお姫さまになりたいわけじゃなかった。
    でも。


    ♪ やがてシンデレラガール 魔法が解ける日が来たって
     いつになっても いくつになっても ボクはキミを守り続ける


    一度くらいは「守ってあげるよ」「ずっとキミを好きでいるよ」って、思われてみたかったなぁ。言われてみたかったなぁ。


    そんなこっぱずかしい夢を少しは見ていたこと、素直に認めさせてくれる。
    それは、曲の魔法なのか。王子様の魔法なのか。



    「シンデレラガール」
    2018年 Johnnys’Universe / ユニバーサルミュージック


     
     
    校正歴12年の新米Web制作者| 読みやすくすんなりと心に届く、せせらぐ水音のような文章をめざしています。 小説・日記・エッセイなど、「ほんとうに伝えたいこと」が届くように、あなたにより添うやさしい校正をします。 「ていねいに書きたい人」のお手伝い、させてください。

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