
月を見る(700文字)【シロクマ文芸部】
こちらのお題に挑戦しました。
月を見る
月を見るって、ほら。
みんなすぐ恋愛につなげちゃうんじゃない?
子供の時、太陽と月が付き合っても絶対に会えないから、付き合えないなって思ってた。
彦星と織姫でも1年に1回会えるのに、この二人は会えない。
なんて可哀想なのって、本気で悩んだもの。
え?
そんな事考えたことないって?
なんで?
だって毎日上空で見かけるじゃん、あの二人。
なんとかしてくっつけてあげたいと思わなかったの?
結ばれない恋こそ、なんとかしてあげたいでしょ。
だってさ、考えてみて。
子供の頃の私は、太陽が出てる間、月は空のどこかで順番待ちしてるんだと思ってた。
「今日は会えるかな」なんて思いながら、地球をぐるっと一周待ってるわけ。
けなげじゃない?
しかも月ってさ、自分の光すら持ってないんだよ。
全部、太陽からもらった光を、こっそり夜に反射させてるだけ。
それって「あなたのこと、ちゃんと覚えてるよ」って言ってるようなもんじゃん。
こんなに想ってもらってるのにさ、太陽のほうだって月を探してると思うの。
だって、たまーに会えたと思ったら、空まで真っ暗になるんだよ?
動揺してる。
人間で言うとショックを受けてテンパってるってことだよ。
たまに日食とかで奇跡的にニアミスするけど、あれも「会えた」というより「すれ違った」だけ。
あれはもう完全に人間のイベントじゃん。
あの二人のロマンスには何の関係もないわけ。
ふたりからしたら「あ、下で人間が写真撮ってるなぁー」くらいだと思うの。
太陽は昇るたび、「月どこ??」ってあんなに明るく照らして探してるのに、やっぱりいないんだよね。
ほらね。
なんとかしてあげたいでしょ。