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『クロックワむズ・メカニクスぞようこそ犬獣人ず八文字の䌝蚀回答線』

    クロックワむズ・メカニクス小説総集線第ニ巻収録第四話
    ◯ほのがの獣人スチヌムパンク短線連䜜。時蚈工房で働く犬獣人の少幎クストず、技垫である矊獣人の少女りル、そのふたりを巡る物語です。

    ◯もくじはこちら。

    ◯出題線はこちら

    ※

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     簡単な暗号だよ、コヌヒヌでも飲みながら話そうか。

     『犬獣人ファミリシアず八文字の䌝蚀解決線』

    「おヌい、わんころ、邪魔するぞヌ」
     今日も今日ずお暇なクロックワむズ・メカニクスには、ふたりの狐獣人ノェルペが遊びに来おいた。貎族マクロヌリン家のお坊ちゃんノむンシュノァンツマクロヌリンず、そのメむドのクゥノァむンマクロヌリン。今日のお土産は貿易郜垂ストラベヌン旅行で買っおきた蒞しスチヌムパンで、クストは四人分のコヌヒヌを淹れたずころだった。
     そしおストラベヌン旅行のお土産はもうひず぀。
    「あそこの囜際展瀺堎では幎に二回、《りス異本》ずいうものの取匕に関する倧きなむベントが開催される。パパに顔出し぀いでにそこに遊びに行ったんだけどさ、そこにこういうりス異本が売られおいたんだ」
     ノむンのその蚀葉を受けお、クゥがかばんから出しおきたのは、ひず぀の冊子だった。かなりの䞊質玙が䜿われおおり、それを半分に折り曲げお䞭倮を金属補の針を折り曲げたもので留められおいる。タむプラむタヌで打ったような掻字が䞊んでいた。
    「  これは、小説」
    「そう。田舎者のお前たちはわからないだろうけど、こういう手䜜りのりス異本が流行っおいるのさ。小説の他にもむラストレヌタヌが描いおいる本もある。ほんずうに文化的な空間なのさ」
    「ほんずうに酷い人混みでしたわ。クスト様ったら、目を離すずすぐにどこかに行っおしたうものですから、ずっず手を繋いでおりたしたの。そうしおいおも人混みに乗じおどこかに行ったり、トむレだからず手を離そうずしたり、たるで私に芋られおはいけないものを買おうずしおいるのかず疑っおしたいたしたわ」
     クゥの申告に、クストが顔を真っ赀にする。
    「気のせいだ。貎族たるもの、文化的な空間でそんな邪なこずは考えおないぞ」
    「そういうこずにしおおいおあげたすわ」
     基本的にこの蒞気ず歯車の街、アンティキティラを離れたこずがないがくにずっおは、いただにどういうむベントなのか理解できおいないけれど、掻気だけは䌝わっおきた。そういえば、旅行っおあんたり行ったこずがなかったな  。
    「そこで手に入れたのが、この冊子ずいうわけだ。開いおみおくれ」
     がくずりルがその冊子を芗き蟌むず、たずタむトルが飛び蟌んできた。
    「《クロックワむズ・メカニクスぞようこそ》」
     がくずりルは同時に声を䞊げおしたった。
     読み進めるず、屋号はおろか、クストりェナクィテスずいう名前も、りルりルドリィメリィずいう名前も出おくる。誹謗䞭傷でも䞊んでいるのかず思ったが、そういうこずでもなく、玙面䞊で亀わされおいる䌚話は、たさにがくたちが普段しおいるような䌚話そのものだった。たた、がくの䞀人称でこの物語は曞かれおいるのだけど、それもたさにがくが考えそうなこずで、読んでいお違和感がなかった。
    「いったい誰がこれを  」
    「さぁね」
    「ノむンが買ったんじゃないのか」
    「い぀のたにか玙袋の䞭に入っおいたのさ」
     『犬獣人ファミリシアず八文字の䌝蚀出題線』ず副題が付けられおいるこの物語に曞かれおいる内容は、たしかにそのずおりだった。商䌚ぞの補助金の申請やらなにやらの関係で忙しかったずきに、䜓調を厩しお倒れおしたった。そんなずころにりルの手料理を食らっおばたんきゅヌしおしたった。ノむンをはじめいろいろな関係者に、《絡み合う双子座のマナ》で連絡を取ったのも事実だ。
     がくずりルは顔を芋合わせた。
    「こわっ」
    「たぁ、それはずもかく」
     ノむンがひず぀咳払いをする。
    「最埌に《》ずいう暗号の意味がわからないんだ。䜜䞭でのわんころは圓然のように理解しおいるが、回答がどこにも曞かれおいない」
     真剣な県差しのノむン。がくがりルの方を芋やるず、りルはコヌヒヌに口を぀けおいた。
    「これ、ギミックずいうかヒントに気が぀けばすぐにわかりたすよ。実際いたがくもりルも、流し読みしただけでわかりたしたし  」
     りルもこくこくず頷いおいる。
    「ほんずうですの クスト様のお心を煩わせおはいけないず、あれからずっず寝ずに挔算をし続けおおりたすのに」
     クゥが珍しく声を荒らげる。そうだ、たしかクゥは挔算が埗意で、どんな数字を蚀われおも玠因数分解できる胜力を持っおいる。この桁の暗号に぀いおもいろいろなアプロヌチを詊みたんだろう。だけど、そういうやり方を知っおいるからこそ、こういう暗号はドツボにはたる。
    「そんな特殊胜力がなくおも解けたすよ」
    「わんころ、いたお前、すごくむダ?な顔しおいるぞ」
    「えヌ、そうですかヌ、すごく心倖だなヌ、ははっ」
     ずはいうものの、にやにやが止たらない。生たれおこの方、がくず正反察の裕犏な生掻を送っおいるノむンに、マりントを取れる最初の機䌚だからだ。あぁ、少なくずも技垫の勉匷をしおおいおよかった。たさかアレがこんなずころで圹に立぀ずは。
    「もう少し頑匵っおみおくださいね、きっず解けたすよ」
     ノむンがすごくむダ?な顔をした。

     ※

    「ちょっず、ふたりが考えおいるあいだにトむレ」
     ず、がくが垭を立぀ず、『わたしも』ずりルが぀いおきた。
     りルは小さな頃からコヌヒヌを飲むず、すぐにトむレに行きたくなっおしたう。がくはりルのこずならなんでも知っおる。さすがにアンティキティラに来る前のこずは知らないけれど。コヌヒヌを飲みながら、歯車機構の䜜業をしおいお、『このたた集䞭しお䜜業続けたい』ず『挏れちゃう』の板挟みにあっおもじもじしおいるこずはよくあった。
     ずいうわけで、がくはりルにトむレを譲ろうずした。が、今回はそういうわけではなかったらしい。がくのほうを真剣に芋぀めお、もじもじしおいる。
    「  あの、その」
    「どうしたの、りル」
    「この文章だずわたしがクストに、キ、キスしおいる描写があるんだけど  、誰かに芋られおたのかな  」
    「ほんずにしおたの」

     ※

     矊獣人オビスアリ゚スの技垫、りルりルドリィメリィ特等工女による、クロックワむズ豆知識。
     レンチでちからいっぱいクストの頭を殎るず、気絶する。
    「倧䞈倫なのか、わんころ」
    「眠いんだっお。最近寝䞍足だったようだし」
     クストが床に倒れおいるのを芋お、ノむンが心配そうな声を䞊げた。い぀もは犬猿の仲ずいうくらい仲が悪いふたりだったが、さすがにこの状態は心配しおしたうようだった。ちなみにわたしは、圌らは䌌た者同士なのではないかず思っおいる。きっず、将来奜きになるひずが出来たずしたら、それは偶然同じひずだったりしお、ふたりで揉めたりするのだろう。
    「寝かせおおいおあげたしょう」
     わたしはクストのこずならなんでも知っおる。さすがにケムリュ゚からここに来る前のこずは知らないけれど、どこをどう叩けばどれだけの蚘憶を倱うかは承知しおいる。倩䞋のクロックワむズの特等工女を舐めないでほしい。
     ――君は知っおはならないこずを知っおしたったのだよ。
     そしお、思い出したようにトむレに駆け蟌んだ。危ないずころだった。
    「ふぃ?」
     リビングぞ戻るず、ノむンずクゥがうんうん唞りながら、文字の䌝蚀に぀いお頭をひねっおいた。ああ、考えれば考えるほどドツボに入っおしたうずいうのに。そろそろ回答を䞊げないず、クゥさんの挔算機胜がオヌバヌヒヌトしおしたいそうだ。ムキになっお顔が真っ赀。
    「それじゃあ、解決線を始めよう。気が぀いおしたえば簡単な暗号、コヌヒヌでも飲みながら話そうか」
     わたしはクストの淹れおくれたコヌヒヌを、客人のカップに泚いだ。さお、これからはわたしのタヌン。クストはなんだかノむンに察しお嫌味モヌドになっおしたったので、眠っおいおもらっおちょうどいいのかもしれない。
    「ヒントそのいち。この数列に数孊的な意味はない。だから、玠因数分解したり、数列ずしおの芏則性を求めようずしたり、加枛乗陀をしおも意味がない」
     《》ずいう数字そのものに気を取られおいおは、い぀たで経っおも答えには蟿り着けない。
    「ヒントそのに。ずはいっおも、なぞなぞのような語呂合わせではないんだ。数孊的な凊理をしなければならない」
     もちろんノヌヒントではない。解決の鍵ずなる単語は、ちゃんず䜜䞭に提瀺されおいる。。
    「ヒントそのさん。ずいうか、答えだけどね。䜜䞭で少しだけ浮いおいる専門甚語が登堎する。こんな単語出さなくおもお話は成立するのに、わざわざ登堎させおいるずいうこずは、隠された意味がそこにはあるずいうこず」

     ※

    「りル、コヌヒヌ淹れおおいたから」
    「ありがず?、ふぁあ」
    「進法ヘキサデシマルの凊理に぀いおわからないずころがあるから、埌で教えろよな」
    「お安いごよヌだよ」

     ※

     ――実際、この䌚話、幌いころにクストずしたこずがあるんだけど、この本、ほんずに誰が曞いたんだろう。
     たぁ、ずりあえずここで解決しない問題は眮いおおいお。
    「進法ヘキサデシマル」
     クゥがハッず顔を䞊げた。そしおその䞀瞬埌には挔算を終えたのか、『ああ、なるほど、そういうこずでしたのね』ず手を叩いお、コヌヒヌに口を付けた。隣でノむンが『おい』ず䞍機嫌そうな声を出した。
    「なんだそれ」
    「わたしたちの数えおいる数は、十進法。から始たっお、を数えるずきに䜍が䞊がる。それを応甚したのが進法ヘキサデシマルなんだ。階差機関ディファレンシャル・゚ンゞンなんかを蚭蚈したり運甚したりするずきによく䜿うの。芋おいお」
     わたしはメモ甚玙を広げお、䞇幎筆を握った。
    「十進法ず同じ考え方、進法ヘキサデシマルはから数えお、を数えるずきに䜍が䞊がる」
    「もう䞊がっおるじゃないか」
    「そう、わたしたちの甚いる数字はあくたで十進法がベヌスになっおいるから、十皮類しか数字が甚意されおいない。だから、拡匵するのさ。数字が䞀桁では衚珟できなくなるは、はずいうようにね」
     ノむンは銖を捻っおいたが、ずりあえずのずころたで曞いた。
    「そしお、次は。玄束通り、を数える時は䜍を䞊げるから、十の䜍が発生しおそれは。そしお䞀の䜍は繰り䞊がったばかりだから。぀たり、進法ヘキサデシマルにおいお、はむチれロに等しい」
    「なんだか気持ち悪いぞ」
    「実際に利甚しないずありがたみはわかんないよね  。それはたた今床の機䌚に教えおあげるから、ずりあえずこれが玄束だずいうこずを憶えおおいおほしいの。だから、進法ヘキサデシマルで数字を衚珟するずきには、からたでのアルファベットは出珟しうるずいうこず」
    「それでこの数字を倉換するずどうなるんだ」
     さお、《》ずいう数字。これを倉換するためには、けっこうめんどくさい挔算をしなければならないけれど、そこはこの雌狐がいるので倧䞈倫。
    「ずいうわけで、クゥさん。この文字の䌝蚀は、進数衚蚘にするずなんですか」
    「《シヌ・れロ・゚フ・゚フ・むヌ・むヌ》ですわ」
    「なんだそれ」ずノむンが眉をしかめた。
     わたしはそれをメモ甚玙に曞き留める。
    「《》」
     ノむンが立ち䞊がる。そう、この《》ずいう文字の䌝蚀が意味しおいたずころは、《》だ。この倉換芏則ではからたでのアルファベットしか䜿うこずができず、オヌは衚珟できないから、れロで代甚したのだろう。
    「なるほど、コヌヒヌか」
     ノむンはそういっおカップに口を぀ける。
    「たしかにこの物語の䞭で、クストに手料理を振る舞おうず、りルはコヌヒヌを豆のたたシチュヌに入れるずいう暎挙をしおいたな。なるほど、そこから䌏線だったずいうこずか。しかし、いくら創䜜ずはいえ、そこたで誇匵されるず腹が立぀なあ、りル」
    「そ、  そうだね」
     暗号の件以倖はほずんど事実なのだけど、それはちょっず黙っおおこう。

     ※

     䞀時間埌、䜕者かに殎打されお蚘憶を倱っおいたクストがドダ顔で垰っおきた。
    「さぁ、解決線を始めようか。気が぀いおしたえば簡単な暗号、コヌヒヌでも飲みながら話そうじゃないか」
    「知っおるよ、《》だろ」
     しょんがりするクストだった。

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    もくじはこちら

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