
活用編 第54章 半導体サイクルの見極め
54−1|はじめに──“シリコンバレーの鼓動”を読む目

にゃあ〜、赤猫福にゃ。
今、世界の経済の心臓がどこにあるか知ってるかにゃ?
──それは、半導体(セミコンダクター)だにゃ。
スマホ、電気自動車、AIサーバー、ドローン、冷蔵庫、そしてにゃあが使っているこのGPTまでも。
ぜ〜んぶ半導体がなければ動かない。
つまり、「半導体の景気が良いかどうか」で、世界のテクノロジー経済のリズムが決まってしまうんだにゃ。
でも、にゃあはこのテーマに近づくたびに思うの。
ニュースで「半導体バブル!」「在庫調整完了!」なんて聞くたびに──
ほんとうに、それを**“サイクルで見極めている人”**はどれくらいいるんだろう?って。
●半導体は“成長産業”ではなく“循環産業”
よく「半導体=未来産業」と言われるけど、実はこの業界、
景気循環(サイクル)の波が極端に大きいんだにゃ。
たとえば──
2021年、コロナ禍でPC・スマホ需要が急増して、半導体メーカーは“特需”に沸いたにゃ。
でもその翌年には、世界中で在庫があふれ、価格が暴落した。
TSMCもサムスンも、前年の利益の半分以下に落ち込むほど。
まるで「好景気→急ブレーキ」の繰り返しにゃ。
つまり、半導体業界の本質は**「成長」ではなく「波乗り」**なんだにゃ。
投資家が勝つには、“次の波”を読む目が必要。
にゃあがこの章で伝えたいのはまさにそこ──
「波の始まりと終わり」を数字で見抜く方法なんだにゃ。
●サイクルはどこから始まる?
サイクルの起点は、いつも**「過剰在庫」から始まるにゃ。
スマホやPCなどの販売が鈍ると、メーカーがチップの発注を減らす。
すると半導体メーカーは在庫を抱え、工場の稼働率を落とす。
この時期のニュースには「減産」「価格下落」「在庫調整」といった言葉が並ぶにゃ。
多くの投資家がここで逃げ出すけれど、実はこの“寒い季節”こそが次の春の準備期**にゃ。
やがて、各社が在庫を処分し終えたころ、急に「新製品向けの受注」が増え始める。
このタイミングで、半導体関連株が一斉に動き出す。
それが“半導体サイクルの芽吹き”なんだにゃ。
●投資家の勘違いポイント
にゃあがよく見る勘違いは、「AIブームだから半導体株が上がる」と短絡的に思うことにゃ。
たしかにAIは半導体を大量に使うけれど、“AI需要が強くても在庫が多ければ株価は上がらない”。
これは鉄則にゃ。
株価が動くのは「需要」ではなく「需給」──つまり、**“足りない時期”**に動くんだ。
にゃあがいつもウォッチしているのは、
半導体製造装置の稼働率、在庫回転日数、DRAM価格、そしてNAND型メモリの市況。
これらが反転し始めたとき、サイクルの底が見えてくるにゃ。
●なぜ“波を読む”ことが大切なのか
半導体サイクルの波は、世界景気の先行指標なんだにゃ。
つまり、半導体株を見ていれば、半年〜1年後の世界経済の方向もなんとなくわかる。
たとえば──
半導体受注が回復しはじめたら、製造業が動き出すサイン
在庫が増えてきたら、消費が鈍化して景気のピーク
設備投資が減ってきたら、次の不況の予兆
つまり、にゃあが半導体株を見るのは、
単に“株の値動き”ではなく、“世界のリズム”を感じるためでもあるんだにゃ。
●にゃあの一言
にゃあがこの章で伝えたいのは、「流行ではなく、周期で考える力」だにゃ。
AIブームも、EVブームも、どれも半導体の波の上に乗っている。
だからこそ、表面のニュースに踊らされず、
“波の高さ”と“波の向き”を冷静に読む目を持ちたいにゃ。
次章(54−2)では、実際のサイクル指標と過去10年の波の実例を、
数字とチャートで詳しく見ていくにゃ。
54−2|“数字で読む”半導体サイクル──波の底を見抜く3つの指標

にゃあ〜、赤猫福にゃ。
前章(54−1)では、「半導体は成長産業じゃなく循環産業」だと話したにゃ。
じゃあ、どうやってその“波”を数字で見抜けばいいのか?
にゃあがずっと現場で観察してきた中で、3つの指標が特に重要だと感じてるにゃ。
●① 在庫回転日数(Inventory Turnover Days)──“溜まり始めたら冬が近い”
まず最初に見るのは、「在庫回転日数」。
これは、企業が持っている在庫が何日で売れるかを示す数字にゃ。
半導体業界では、この数字が90日を超えると“危険信号”。
つまり、モノが売れ残って倉庫に積み上がってるということ。
にゃあは毎月、半導体主要企業(TSMC・サムスン・マイクロン・東京エレクトロンなど)の決算資料から、この数字をメモしているにゃ。
たとえば──
2022年末:在庫回転日数が120〜140日に急上昇
2023年春:価格が急落、各社が減産に踏み切る
2024年夏:在庫が80日を切って反転、株価も底打ち
こうした動きは、どのニュースよりも早くサイクルの変化を教えてくれるんだにゃ。
●② 設備投資額(Capex)──“企業が財布を開くタイミング”が次の波
次に見るのは、「設備投資額(Capex)」にゃ。
半導体メーカーがどれだけ新しい機械を買っているかをチェックする。
この業界は設備投資が先行するので、「減らし始めたとき」が底なんだにゃ。
たとえば、2023年のマイクロンやサムスンは「投資削減」を発表した。
市場は最初ネガティブに反応したけど、にゃあはこうつぶやいたにゃ。
「それ、次の上昇サイクルの“準備運動”だにゃ」と。
実際、そこから半年後、DRAMとNANDの価格は上昇に転じ、株価も反発した。
つまり、投資削減=冬の終わりなんだにゃ。
●③ DRAM・NAND価格──“半導体市況の体温計”
最後のチェックポイントは、半導体メモリの価格にゃ。
これは人間で言えば“体温計”のようなもの。
熱ければ高値圏、冷えれば底値圏にゃ。
にゃあが見ているのは、「DRAMeXchange(トレンドフォース)」や「Omdia」などの価格指標。
たとえば、DRAM/NANDの複数四半期にわたる下落/上昇転換を確認できたタイミングが、底入れ/過熱の目安にゃ
さらに、NAND(SSDなどに使われるフラッシュメモリ)価格も連動する。
両方が同時に上昇し始めたとき、それは**“新しい波”の始まり**にゃ。
●数字の相関で見えてくる“波の地図”
この3つの指標──
在庫回転日数、設備投資額、DRAM/NAND価格──を重ねて見ると、サイクルの全体像が見えるんだにゃ。
にゃあの経験では、典型的なサイクルはだいたいこう動く:
在庫が積み上がる(冬)
→ 減産・値下げ・ニュースが暗い設備投資を減らす(冬の終わり)
→ 在庫が減り始めるDRAM価格が反転(春)
→ 株価が上昇開始投資再開(夏)
→ 市況ピークに近づく供給過剰(秋)
→ また在庫が増え、次の冬へ
まるで四季のように、3〜4年周期でぐるぐる回ってるんだにゃ。
●にゃあの一言
半導体株に“永遠の勝ちパターン”はないにゃ。
でも、波を読む力を身につければ、“永遠の負けパターン”からは抜け出せる。
投資家の多くは、「株価が上がってから買う」「ニュースを見てから乗る」。
でも、にゃあは逆に、「在庫が積もって暗くなったとき」に動くにゃ。
なぜなら、寒い冬こそ次の春の入り口だからにゃ。
次章(54−3)では、実際の日本株と世界の半導体銘柄を使って、
このサイクルがどう利益につながるかを実例で見ていくにゃ。
54−3|サイクルを味方にする投資戦略──“寒い季節”に種をまく勇気

にゃあ〜、赤猫福にゃ。
数字の分析で“波”が見えてきたら、次に考えるのは──
**「じゃあ、いつ買って、いつ売ればいいの?」**ということにゃ。
結論から言うと、半導体株は**「みんなが捨てる時に拾い、みんなが熱狂する前に降りる」**。
この逆張りのリズムこそ、サイクル投資の真骨頂にゃ。
●① “真冬”に動く勇気──在庫過多・赤字決算の時がチャンス
ニュースで「半導体不況」「減産」「赤字転落」と流れるとき、
たいてい投資家の多くは逃げ出すにゃ。
でも、にゃあはそこで小さく拾うんだ。
たとえば、2023年春のマイクロン・テクノロジー。
市場は「最悪期」と報じたけど、にゃあは在庫指標と価格を見て「底だにゃ」と判断。
結果、翌年には株価が約2倍になった。
同じことは、過去の日本勢にもあったにゃ。
2020年の東京エレクトロン(8035)やSCREENホールディングス(7735)、
どちらも業績悪化期に仕込んだ人が、2年後には大きな果実を得ている。
半導体株は、“寒い冬に種をまく”投資が基本にゃ。
●② “春”に咲かせ、“夏”に刈り取る
在庫が減り、DRAM価格が反転しはじめたら、それは“春の訪れ”。
株価も上昇トレンドに入るにゃ。
この時期は、保有銘柄を増やすチャンス。
たとえば、
製造装置系:東京エレクトロン、ディスコ、アドバンテスト
材料系:SUMCO、信越化学、JSR
商社・中間加工系:レーザーテック、SCREEN
こうした銘柄は、“波の立ち上がり”にいち早く動くタイプにゃ。
逆に“夏の終わり”を迎えたら、少しずつポジションを軽くする。
にゃあは**「株価が最高益を発表した翌期」を、いつも警戒しているにゃ。
なぜなら、その時点で市場はすでに1年先を織り込み済み**だから。
●③ “秋”の風が吹いたら、現金ポジションを増やす
サイクル後半に入ると、ニュースには「過去最高売上」「過去最高純利益」が並ぶ。
でも、半導体サイクルではそれがピークの合図になることが多いにゃ。
この時期の投資家心理は楽観一色。
株価は割高に見えても上がり続ける。
けれど、にゃあはそのタイミングで一部を利確して、現金を温める。
波の終わりは必ず来る。
そして次の“冬”が来たとき、現金を持っていれば、また種がまける。
これがサイクルを回し続ける仕組み化投資にゃ。
●④ “波”の中で銘柄を分ける──製造装置と材料のズレ
半導体株といっても、一枚岩じゃないにゃ。
それぞれの企業グループによって、波の伝わり方が違うんだにゃ。
まず、いちばん早く動くのが「製造装置系」。
東京エレクトロン、アドバンテスト、SCREENホールディングスなどが代表格。
彼らはサイクルの初期に反応しやすく、受注が増え始めるとすぐに株価が動くタイプにゃ。
次に来るのが「素材・部品系」。
信越化学、SUMCO、JSRなど、シリコンウェハーやレジストを扱う企業が中心にゃ。
彼らはサイクルの中盤で反発し、原材料価格が落ち着いてくると一気に回復する。
そして最後に波が届くのが「完成品系」。
ソニー、ルネサス、キーエンスなどの最終製品メーカーにゃ。
これらは景気全体の追い風を受けて後半に波及するタイプ。
つまり、波の“序盤”では装置株、“中盤”では素材株、“終盤”では完成品株を意識するとリズムがつかめるにゃ。
にゃあはこの順序を見ながら、ポートフォリオを少しずつ入れ替えていくようにしてる。
季節のように、波にもタイミングがあるんだにゃ。
●⑤ 長期視点での“サイクル投資ノート”
にゃあの投資ノートには、こんなチェック欄があるにゃ:
在庫回転日数が前年より減ってきたか?
設備投資が減少から増加に転じたか?
DRAM/NAND価格が反発しはじめたか?
市場ニュースが“最悪期”と報じているか?
この4つが揃ったときが、**半導体サイクルの“春一番”**にゃ。
逆に、
「過去最高益」「需要過熱」「AIブーム」などの言葉があふれたら、“秋風”と判断してる。
数字と感情を両方見る──それがにゃあ流の半導体サイクル投資術にゃ。
●にゃあの一言
半導体サイクルは、恐れと欲望のリズムにゃ。
寒いときに恐れず、熱いときに冷静でいられるか。
この2つの姿勢があるだけで、長期の成果は大きく変わるにゃ。
そしてもう一つ──
にゃあはこう思ってるにゃ。
「半導体株を理解することは、“世界経済の心拍”を読むこと」だと。
次章(54−4)では、日本の半導体企業の構造と今後の課題を中心に、
どこが強く、どこがリスクを抱えているのかを具体的に掘り下げていくにゃ。
54−4|日本の半導体企業の構造分析──“縁の下の力持ち”の真価

にゃあ〜、赤猫福にゃ。
「半導体」と聞くと、多くの人がまず思い浮かべるのはアメリカのNVIDIAや台湾のTSMCかもしれないにゃ。
でも、実は世界の半導体サイクルを支えている**“静かな主役”が日本企業**なんだにゃ。
●① 日本は“前工程”の王国
半導体の製造工程は、ざっくり分けると「前工程」と「後工程」があるにゃ。
前工程とは、シリコンウェハーに微細な回路を焼き付ける、いわば“心臓部”の部分。
日本企業が圧倒的に強いのは、この前工程の装置・材料・検査の分野にゃ。
たとえば──
東京エレクトロン(8035):成膜・エッチングなど、世界有数の装置メーカー
SCREENホールディングス(7735):洗浄装置で世界シェアトップクラス
レーザーテック(6920):EUVマスク関連検査の主要サプライヤー(EUVマスクブランク/ペリクル検査で独自性が高い)
信越化学工業(4063):シリコンウェハーの世界最大手
JSR(4185):フォトレジスト材料の先駆者
これらの企業は、表舞台に出ることは少ないけれど、**世界の半導体工場を動かす“縁の下の力持ち”**なんだにゃ。
●② 日本勢の強み──“技術の積み重ね”と“信頼の連鎖”
半導体の世界は、ほんの数ナノメートルのズレも許されない超精密の世界。
だからこそ、日本企業が得意とする職人技術・品質管理・長期取引が生きるにゃ。
特に強いのが「装置のメンテナンス力」と「材料の安定供給」。
TSMCやサムスンが日本製の部材を“切れない理由”は、単に品質だけじゃなく、長年の信頼ネットワークにある。
にゃあはこの構造を「サプライチェーンの絆」と呼んでるにゃ。
世界がどれだけ自国生産を進めても、この日本の絆を完全に代替するのは難しい。
だから、日本の半導体企業は“波の谷”でも一定の受注を維持できる強さを持っているんだにゃ。
●③ 弱点──“設計と統合”では遅れを取る
一方で、日本勢の弱点もはっきりしているにゃ。
それは、設計・統合・最終製品の分野。
ルネサスエレクトロニクスやソニーの半導体事業は健闘しているけれど、
世界のメインストリームを握るのは依然として**アメリカ(NVIDIA・AMD・インテル)と台湾(TSMC)**にゃ。
特に、AI向けGPUや先端ロジックの分野では、日系メーカーのプレゼンスは薄い。
理由は、政府支援・資金規模・リスク許容度の差。
半導体ファウンドリーは数兆円単位の投資が必要で、民間だけでは追いつけないにゃ。
だから、最近では政府主導でラピダスなどの新しい試みも始まっているけれど、
それが“実際に量産へたどり着けるか”は、まだ未知数にゃ。
●④ “ラピダス”という挑戦──サイクルの流れを変えられるか
にゃあが注目しているのが、北海道千歳で進むラピダス(Rapidus)計画にゃ。
IBMとの協力で最先端の2nmプロセスに挑んでいる。
ただ、世界トップのTSMCやインテルに追いつくには、技術力だけじゃなく時間と資本の壁が高い。
けれど、にゃあはこの挑戦を単なる“再挑戦”とは見ていないにゃ。
なぜなら、ラピダスをきっかけに、装置メーカー・材料メーカー・研究機関が一体化する動きが進んでいるから。
つまり、これまで分散していた日本の半導体産業が、
“もう一度まとまって波を作り出す”フェーズに入ったとも言えるんだにゃ。
●⑤ 投資家としての見方──“地味だけど強い”を拾え
にゃあは半導体関連株を見るとき、「派手な主役」より「地味な支援役」を好むにゃ。
たとえば、レーザーテックや東京エレクトロンは話題になりやすいけど、
裏で支えている信越化学・SUMCO・ディスコ・アドバンテストのような企業も欠かせない存在。
彼らはサイクルが下がっても、他業種への応用や研究受託で踏ん張れる。
この“底力”こそ、日本企業の真の強さ。
投資家目線で言えば、
「波に乗るための主役株」+「底を支える脇役株」──この2軸で組むと安定するにゃ。
●にゃあの一言
日本の半導体企業は、世界の波の中で**“静かに強い”**存在にゃ。
TSMCやNVIDIAが光を浴びるその背後で、
何十年も変わらず技術を積み重ねてきた職人たちがいる。
にゃあは思うんだにゃ。
サイクルを読む力と同じくらい大切なのは、「誰が波を作っているかを知る目」。
次章(54−5)では、その視点から──
「次の波を作る新勢力」、すなわちAI・自動運転・パワー半導体などの次世代テーマとの接点を掘り下げていくにゃ。
54−5|次の波をつくる新勢力──AI・EV・パワー半導体

にゃあ〜、赤猫福にゃ。
ここまで見てきたように、半導体サイクルは「在庫と需要の波」で動く。
でも、にゃあはもうひとつ、“新しい波”が生まれる場所にも注目しているにゃ。
それが──AI・EV・パワー半導体という3つの新勢力。
この3つは、これから10年のサイクルを動かす“次の鼓動”なんだにゃ。
●① AIサーバーが変える世界──GPUとHPCの新秩序
まず最初の波は、もちろんAIブーム。
ChatGPTやGeminiのような生成AIを動かすには、膨大な演算能力が必要。
それを支えるのが、NVIDIAやAMDの**GPU(グラフィックス処理装置)**にゃ。
GPUの中身には何千もの演算コアが詰まっていて、
それを高速に動かすための**HBM(高帯域メモリ)や先端パッケージ技術(CoWoSなど)**が不可欠。
つまり、AI需要の裏では「メモリ」「パッケージ」「電力管理IC」が同時に伸びる構造になってるにゃ。
ここで日本勢が存在感を発揮しているのが、
東京エレクトロン(装置):先端パッケージ対応の成膜技術
ディスコ(機械加工):ウェハー切断の高精度機
信越化学・JSR(材料):フォトレジストやウェハー供給
つまり、AIの波はアメリカが主役だけど、舞台装置を整えているのは日本なんだにゃ。
にゃあが注目しているのは、AI半導体の「熱管理」「省電力化」分野。
これからは“冷やす技術”や“電力効率”がボトルネックになってくる。
日本の精密加工・素材技術が輝くのは、まさにここにゃ。
●② EV・自動運転が生む“車輪の上の半導体革命”
次に来る波が、EV(電気自動車)と自動運転の領域にゃ。
クルマ1台あたりに使われる半導体の量は、10年前の約3倍。
しかもこれからは、モーター制御、AI運転支援、通信、電池管理──
そのすべてに半導体が入り込む。
中でも注目は、パワー半導体(Power Semiconductor)。
これは電気の流れを“整えて・変えて・増やす”役目を持つにゃ。
素材に使われるのは、シリコンではなくSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)。
この分野では日本が世界をリードしているにゃ。
ローム(6963):SiCデバイスで世界トップシェア
富士電機(6504):インバーター・電力制御で強み
三菱電機(6503):車載用パワー半導体の量産化で優位
EV市場が伸びるほど、これらの企業の“波”も大きくなる。
つまり、これからのサイクルは「ITからエネルギーへ」重心が移るにゃ。
●③ パワー半導体の“波”は長い
AIやメモリが2〜3年でサイクルを回すのに対し、
パワー半導体は5〜10年スパンの長期波になるにゃ。
理由はシンプル。設備投資が重く、技術転換もゆっくり進むから。
でも、その分だけ安定性がある。
にゃあはよく、「短期の波はAI、長期の波はエネルギー」と言っているにゃ。
つまり、AI関連で短期トレンドを取りつつ、パワー半導体で長期を支える──
この二重構成が、これからの投資戦略の“心臓”になるにゃ。
●④ “国策サイクル”というもうひとつの波
もうひとつ忘れちゃいけないのが、政策の波にゃ。
日本でも2025年度以降、政府が半導体支援予算を毎年1兆円規模で継続予定。
ラピダスだけでなく、熊本のTSMC第2工場、ソニー・デンソー連合など、
国策の支援が“サイクルを延命”させる時代に入ってる。
つまり、以前のような「3年で上がって3年で下がる」単純な循環ではなく、
政策が波をゆるやかに引き延ばす構造になってきたにゃ。
この動きは投資家にとって朗報。なぜなら、波の底でじっくり仕込む時間が長くなるからにゃ。
●⑤ にゃあの投資地図──3つの波を1枚で描く
にゃあのノートには、こう書いてあるにゃ。
短期波(2〜3年):AI・メモリ・GPU
中期波(3〜5年):装置・材料・パッケージ
長期波(5〜10年):EV・パワー半導体・エネルギー変換
この3つの波が重なり合って、いま半導体市場は**“多層構造の上昇期”**に入っている。
だから、投資家はひとつのテーマに集中しすぎず、時間軸の異なる波を組み合わせるのがコツにゃ。
●にゃあの一言
半導体サイクルは、“終わらない波”になりつつあるにゃ。
AIが知能をつくり、EVが足を動かし、パワー半導体が血を流す。
そのすべてを結ぶのが、見えないチップの鼓動。
にゃあは思うんだにゃ。
株式投資とは、数字を読むことだけじゃなく、“リズムを感じる”ことでもあるって。
波の音を聞けるようになったら、きっと次のサイクルも怖くなくなるにゃ。
■まとめ|“波”の先にあるもの
半導体の世界は、常に進化と循環が交差する。
その中で、投資家ができるいちばんの準備は──
波が静かなうちに船を出すこと。
にゃあの言葉でいえば、
「寒い夜ほど、星がよく見える」。
これから来るAIとエネルギーの夜空を、
静かに、そして確かに見つめながら、次の一歩を進めようにゃ。
54−6|にゃあの一言──“波”が見える町で

にゃあは時々、熊本に行くにゃ。
おいしい馬刺しと温泉、やさしい人たち、
そして、どこか懐かしい風の匂い。
でも最近、その風景が少しずつ変わっているんだにゃ。
菊陽町(きくようまち)──TSMCの日本工場が建つ町。
かつては田んぼと住宅が広がる静かな場所だったのに、
ここ数年で一気に住宅開発・商業施設が進み、交通需要が増加
建設ラッシュの音、外国人技術者の姿、
新しいカフェの窓から聞こえる外国語。
この小さな町に、世界の半導体サイクルの風が吹いているのを感じるにゃ。
にゃあはその景色を見ながら、こう思ったんだ。
サイクルって、数字やチャートの中だけにあるものじゃない。
人の暮らしを変えていく“現実の波”なんだにゃ。
TSMCがやってきて町が動き、人が集まり、
地価が上がり、店が増え、言葉が交わる。
それはまるで、経済という大きな海の中で、
“ひとつの波が岸に届いた瞬間”のようだった。
にゃあはこれからも、その波の音を聞きながら歩いていくにゃ。
数字の奥にある、人の営みを感じながら。
そして、また次の波が来るとき──
この町がどんな景色になっているのか、静かに見守りたいにゃ。
おまけ

にゃあは九州に住んでいるにゃ。
だから、半導体の波が通り過ぎた町をいくつも見てきたにゃ。
昔、富士通や東芝、パイオニアの工場があった頃──
通勤バスが朝夕を走り、町の食堂はいつも満席で、
夜には白い作業服の人たちが笑いながら帰っていった。
その光景が、にゃあの“子どものころの未来”だったにゃ。
でも、波が去った。
設備の老朽化、海外への生産移転、コスト競争。
気づけば、ひとつ、またひとつと工場の灯が消えた。
通りの看板は色あせ、空き家が増え、
にゃあの友達も、家族の都合で引っ越していったにゃ。
そして、静かになった町の夕暮れに、
にゃあはよく思ってた。
「波って、来る時も去る時も、人を運ぶんだにゃ」って。
だからこそ、今の熊本・菊陽町を見ていると、
にゃあの胸の中には懐かしさと希望がまざった風が吹くにゃ。
半導体は、単なるチップでも株でもなくて、
町と人をつなぐ“灯り”なんだにゃ。
そしてその灯を、もう二度と消さないように──
にゃあは今日も、この“波”の記録を書き続けているにゃ。