
スマート農業でひらく?地域農業の未来
先日、市で農水省の調査官を迎えた、スマート農業の勉強会があったので参加してきました。

ハーブ農家的には、スマート農業はあまり縁が無い所なのかもしれないが、動向を知らないと良いも悪いもないので、先ずはお勉強という事で。
ひとクチにスマート農業といっても、アプローチの角度は様々で
- 自動操舵等の農機の自動運転
- ドローンのような従来と異なる農機
- IoTやセンサーを用いた省力化
- 同センシングによる施設栽培の環境制御
- AIやクラウドシステムによる記録や予測
講演の終盤に話が出たのですが、
現時点でのスマート農業(特に農機等ハード面)の適正条件を整理すると、
- 1枚で最低30a以上の形状の整った農地または施設
- 1辺(長辺)が100m以上ある農地
- 周囲に最低賃金に近い労賃で確保できる人員が豊富
が、有効活用条件で、未満は、現時点では投資対効果が見合わない。
という事であった。(多分)
ここだけとっても、ハーブ農家的には対象外が多い分野だが(特にハードは)、地域としても、渋川市は地形的にもなかなか不利な面がある。果たして、渋川市において講師の言う適地がどれほどあるか…多くは無いでしょう。
とはいえ、では、北海道や群馬で言えば嬬恋村・昭和村のような広大な条件下でなければ絶対にNGか?というと、決してそうでもないとは思う(日本でやる以上、想定はしているだろう)のだが、新しい技術や分野ゆえ、当然エラーや問題になる場面は多発する。
会場の意見でも出たが、「スマート農業で効率良く高収量が実現できたとして、人間がそれに対応できない。環境制御で収穫量が上がり過ぎ、人間が休めなくてツライから、今年でやめる」という問題もある。確かにあり得る話でだとおもう。
そこで改めて思ったのが、
そもそも、
「スマート農業のゴールは?」
である。
これ、数日考えた結論は、農家の規模感&事業拡張性によってゴールが大きく異なっていて、この「異なる」という前提条件をよく理解しておかないと、ずっと平行線どころか折角の技術が「使えない」という誤った結論に到達してしまうというリスクがある事が、今回非常によく分かりました。
どう異なるかというと、、、
【大規模農業におけるスマート農業のゴール】
生産性の最大化と、労働力の限界突破(省力・無人化)
大区画でフラットな農地を営む大規模法人や専業農家にとってのゴールは、規模の経済を極限まで高めることです。
単位あたりの生産コストの大幅削減
労働力不足の補完と無人化・24時間稼働
データに基づく均一な品質の大量生産
【小規模・兼業農業におけるスマート農業のゴール】
時間的制約の克服と、不在時のリスク回避(持続・共存)
条件不利地や限られた時間で営む兼業・小規模農家にとってのゴールは、効率の追求ではなく、生活や他業とのバランスを保ちながら「やめずに続けること」です。
日中の不在時における「不安と手間の最小化」
突発的な天候・病害虫リスクの未然防止
「細く長く続ける」ための精神的・肉体的負担の軽減
規模で勝負し、拡張余地のあるスタイルの農業においては、今回講演会で紹介されていたようなツールは今後進化と共に、現実的に採用可能となっていくものと思います。それによって、より拡張や高効率といった進歩が見据えられるでしょう。
対して、中小規模だったり、兼業の農家においては、採用すべきツールはよく吟味しなければならず、採用することによって、量や面積の勝負になってはならない。求めるは「負荷の軽減」であるということです。
先の、「環境制御を導入したことにより、収穫量が上がり過ぎてしまい人間が対応できない」は、中小規模農家が量(と品質)の勝負でスマート農業(環境制御)を導入してしまったが故のミスマッチかと思います。
仮に環境制御を導入するのであれば、「収量は上げず、労力が減る事において投資が回収できるか?」が費用対効果の検証条件にならなければいけないのだと思います。(つい収量を上げる事で検証したくなるのが人間のサガでしょうが)
そうすると、センサーでのモニタリング環境、小規模な自動制御、記録や予測と言ったところに限定されるのかもしれません。なかなか、高齢農家の多い地域には普及し難いメニューですが汗
ただ、国の施策だからといって、地域性も考えず何でもかんでも食いついてトライしていると、地域全体での取り組みスピードが遅くなるので、少し精査した農業振興が必要かもしれませんね。
急勾配対応の自動走行草刈とか、早く安くなってくれれば入れたいけどね。
以上、小規模農家の雑感でした。