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誤字審査【毎週ショートショートnote】

    「サエちゃん、今日の宿題は何?」
    「さくぶん」
    「何を書くの?」
    「『家族について書きなさい』だって」
    「じゃあ書いたらママに見せて。字が違ってないか見てあげる」
    「……うん」

    サエはノートを広げて一生懸命書いた。

    わたしのいえは4にんかぞくです。
    パパとママとおねえちゃんとわたしです。
    ママのごはんはとてもおいしいです。とくにカレーライスはおにくがたくさんはいっていて、おなかがいっぱいになります。
    わたしはおいしいごはんをつくってくれるママがだいすきです。

    「やだ、何これ!」

    母親の大きな笑い声にサエはびくりとした。

    「だめねえ、『だいすき』の ”す” のマルが反対じゃないの。”す” のマルは右じゃなくて左でしょ? まだ平仮名間違えるなんて、ママ恥ずかしいわ。よかった、チェックしといて」

    そう言い残すと母親は台所へ行ってしまった。
    うつむいたサエの目から、ぽつりと涙が落ちる。

    やがてサエは消しゴムを握ると、ノートに書かれた『だいすき』の文字をいつまでもごしごしと消し続けていた。

    (430字)


    【あとがき】
    笑い話が多そうなネタなので、敢えて逆張りしてみました(笑)
    私の母親が、まさにこういう感じだったんですよね。
    悪気はないんでしょうが、とにかくデリカシーというものに欠けてて。
    ( ↑  上の話自体はフィクションなんですが)
    間違いを指摘するならするで、もう少し言い方ってものがねえ…。ホント、審査じゃないんですから。
    ウチの場合は母に加えて姉二人がよってたかって嘲るので、なかなかの地獄でした(笑)

    *この記事は、以下の企画に参加しております。



     
     
    小説を書くわんこ(SS~長編)。創作大賞2025『栗と牡丹』入選。→2026年4月『栗は月色、こがね色』として朝日文庫より刊行。第2回日本おいしい小説大賞最終候補、第31回やまなし文学賞『雨を知るもの』佳作→作品集刊行。餃子とピザとあんこが好物。一人BARと野鳥観察が趣味。

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