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郷に入ったおしゃれ【毎週ショートショートnote】

    「うち田舎だから、婚礼衣装も決まってるんだ。ごめん、ドレス着たかったよね……」

    正直、迷った。ウェディングドレスは子供の頃からの憧れだったから。
    でも ”子供の頃からの憧れ” なら、彼も同じ。

    ある日突然、転校生として現れた彼。
    海辺の街から来たという彼の大人びた雰囲気に、クラスの男子が急にガキっぽく見えた。その一方で、女子はくすくす、ひそひそ。
    その後、違う高校に行ってそれきりと思っていたら、社会人になって偶然の再会。離れていた時間が一気に溶けたように、私たちは瞬く間に心を交わすようになった。

    「―― いいわ。地域で決められた衣装って、どんなの?」
    「それは当日までのお楽しみさ。手配は僕に任せておいて」


    結婚式当日。
    海辺での式が習わしだとかで、浜に降りた私は、彼の姿を見て立ち竦んだ。
    伸ばした髪を後ろに結び、粗末な着物に腰蓑スタイル。ご丁寧に手には釣り竿まで。それって……。

    「やあ、乙葉。待ってたよ」

    彼が満面の笑みで私の手を掴む。

    「君が僕の最初で最後の相手だ。もう離さないからね」

    彼の背後から、巨大な亀がずさりと砂を踏み分けて近づいてきた。

    (459字)


    【あとがき】
    珍しく裏お題にも挑戦です!
    なんかちょっとズレてるかもしんない💦


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    小説を書くわんこ(SS~長編)。創作大賞2025『栗と牡丹』入選。→2026年4月『栗は月色、こがね色』として朝日文庫より刊行。第2回日本おいしい小説大賞最終候補、第31回やまなし文学賞『雨を知るもの』佳作→作品集刊行。餃子とピザとあんこが好物。一人BARと野鳥観察が趣味。

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