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該当作梨【毎週ショートショートnote】

    「まだか、発表は」

    出版社が押さえたホテルの部屋で、ラフランス田原はイライラとテーブルで爪を研いだ。無理もない、現在『にゃくたがわ賞』の選考真っ最中なのだ。

    「大変です、先生!」

    担当が泡を食って部屋へ飛び込んできた。

    「すでに受賞会見が始まってるそうです!」
    「なにっ!? じゃあ俺は落選ってことか?」
    「残念ながら……」
    「それなら落選の連絡があるはずじゃないか! 梨のつぶてとは失礼極まりない! それで受賞は誰だ」

    編集者は言いにくそうに呟いた。

    「……秋月あきづき柴子さんです」
    「秋月!? あいつ『にゃおき賞』もノミネートされてたよな? まさかそっちも!?」
    「そのまさかです。講評でも『該当作も秋月梨の名前に恥じない緻密さとしっかりした味わいがある』とのことで」
    「犬のくせに生意気な奴め! にゃおき・にゃくたがわ抱き合わせで獲りやがって!」
    「ペア受賞ですね……梨だけに」


    その頃、記者会見を終えた秋月柴子は、控室でほくそ笑んだ。

    「残念でした、ラフランス田原さん。所詮あなたは用ナシよ」

    (439字)

    作中の 秋月柴子あきづきしばこ さんはあくまで物語のキャラクターであり、作者とは一切の関係がないことをここにお断りいたします(笑)

    【あとがき】
    何やら最近気鬱のかげんが強く、先週の道場はお休みしてしまいました。
    今週はがんばるぞー! と思って小屋を出てきたら、また けったいな、いえ 珍妙な いえ、斬新なお題が……。えーん、むずかしいんだよぅ。

    ちなみに『あきづき』は梨の品種名です。特徴は「肉質は緻密で柔らか、果汁が多く、酸味が少ないので甘みがしっかり感じられる」のだそう。
    ラ・フランスは大人気の洋ナシですね。詳しくはこちらを!


    *この記事は、以下の企画に参加しております。


     
     
    小説を書くわんこ(SS~長編)。創作大賞2025『栗と牡丹』入選。→2026年4月『栗は月色、こがね色』として朝日文庫より刊行。第2回日本おいしい小説大賞最終候補、第31回やまなし文学賞『雨を知るもの』佳作→作品集刊行。餃子とピザとあんこが好物。一人BARと野鳥観察が趣味。

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