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誤解陸上【毎週ショートショートnote】

    Mother of Sports ――“ 走る・跳ぶ・投げる・歩く” という、人間の根源的な動作を競う陸上競技に冠せられる言葉だ。


    「お母さん、僕です! ひったくりを極めて30年、誰よりも速く走る努力を重ねてきました!」

    陸上競技は、彼をスタートピストルの銃把で躊躇なく殴り倒した。


    「俺だよ、お袋! ムカつく奴の家の窓にでっかい石を投げてやった。百発百中だぜ!」

    問答無用で、そいつの頭に砲丸をお見舞いする。


    「母さん。僕、人を殺しちゃったから海外へ高跳びするよ。元気でね」

    陸上競技は、長いポールで空港のゲート越しに殺人犯を押さえ込んだ。


    「みんな母たる私を誤解するばかりだ……せめておまえだけは真っ当な人生をまっすぐ歩いておくれ」

    涙をこぼしつつ、陸上競技はまだ幼い子供を抱きしめた。
    だが子供は冷めた表情で肩をすくめた。

    「無理だよ、ママ。この時代には、あまりにハードルが高すぎる」

    途端に、陸上競技はバトンで子供の尻をひっぱたいた。

    「何を言うんだい。バトンを持ったら、とにかく走り抜くしかないんだよ。やり投げと投げやりを誤解するんじゃない」

    (464字)


    【あとがき】
    先週はどうしても外せない締切が2本重なり、へろへろになっておりました。そのため前回の『月見バーバー』のお題はお休みに……💦
    その余波が今週にまで影響して、小屋で一匹のたうち回っていたのですが、今週は最後の1日でぎりぎり投稿できました!
    それにしても、これお題消化できてるかしら……(毎度)

    なお、先日発表の『創作大賞2025』中間選考、無事通過となりました。
    読んでくださった方、コメントや感想をくださった方、そしていつも変わらず応援してくださる皆さまに、心より御礼申し上げます。
    この先は神(と運営様)のみぞ知るですが、結果の如何にかかわらず、これからも少しずつ書く歩みを進めていきたいと思います。
    ありがとうございました。

    *この記事は、以下の企画に参加しております。


     
     
    小説を書くわんこ(SS~長編)。創作大賞2025『栗と牡丹』入選。→2026年4月『栗は月色、こがね色』として朝日文庫より刊行。第2回日本おいしい小説大賞最終候補、第31回やまなし文学賞『雨を知るもの』佳作→作品集刊行。餃子とピザとあんこが好物。一人BARと野鳥観察が趣味。

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