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紫陽花男子【毎週ショートショートnote】

    「#紫陽花男子」

    最近、SNSでこの忌々しいタグをよく見かける。
    何を隠そう、これは浮気・不倫を愉しむ不逞の輩を意味するタグなのだ。紫陽花の花言葉は「移り気・浮気」。土によって花の色が変わることによるのだろう。
    偶然見つけた夫の裏アカに「#紫陽花男子」のタグが付いていた時はぎょっとした。投稿を追うと―― ビンゴ。まごうことなきクロ、だ。
    なるほど、妻の前では爽やかな青い花を装って、裏では禁断の情熱に紅く染まっていたわけか。

    実はうちの庭にも紫陽花がある。青でも赤でもない、白い紫陽花だ。調べてみたら花言葉は「寛容」だと言う。皮肉にもほどがある。
    他にも小さな花が集まる様子から「家族団欒」なんて意味もあるらしい。その家族を壊すような真似をしているのは誰なのだ。

    降りしきる雨の中、庭で小さな白い花をぶちりぶちりと摘んだ。白く厚い花びらが、濡れた指の先でずるりと崩れる。
    まったく、ネットなんてロクなもんじゃない ―― いや、そうでもないか。有益な情報だってあるにはある。

    そう、たとえば紫陽花の葉には毒がある、なんてことも。

    (455字)


    【あとがき】
    最近何かと立て込んでおり、なかなか毎ショ道場も覗けません💦
    ちょうど今日は午後からぽっかりと予定が空いたので、この隙にと思って参戦しました!
    だってねえ、たらはさんが「紫陽花怖い」って言うから…(小声)

    なおTalesにて、拙作『栗と牡丹』公開中です!(完結済み)
    長い物語ですが、よろしければどうぞお運びくださいませ!!

    *この記事は、以下の企画に参加しております。


     
     
    小説を書くわんこ(SS~長編)。創作大賞2025『栗と牡丹』入選。→2026年4月『栗は月色、こがね色』として朝日文庫より刊行。第2回日本おいしい小説大賞最終候補、第31回やまなし文学賞『雨を知るもの』佳作→作品集刊行。餃子とピザとあんこが好物。一人BARと野鳥観察が趣味。

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