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警察県【毎週ショートショートnote】

    春は出会いの季節だ。
    大学へ入学した俺は、偶然隣り合った奴に何気なく訊ねた。

    「君はどこ出身?」
    「警察県だよ」

    俺は仰天した。これが噂の……!

    「俺、警察県の人って初めて会ったよ」
    「はは、よく言われるよ」
    「話し方が特殊って聞いたけど、全然普通じゃん」
    「なんか変な噂が立つんだよね。ところで学生課はどこかな」
    「1号棟だよ」

    突然、彼は俺の肘をがしっと掴んだ。

    「強盗! 今、強盗って言ったな! どこだ、犯人は!」

    「ち、違うって。なあ、明日一緒にサークル見に行かないか? 俺、運動苦手だから文科系がいいな。創作サークルとか人数多いかな」

    「捜索!? 行方不明者がいるのか!」

    「いや、そうじゃなくてさ。サークルでいろんな人と交流を……」

    「勾留? 誰が捕まってるんだ! 何をやらかした!」

    俺は巷の噂を理解した。
    どうやら言葉が何でも警察用語に変換されるらしい。


    やがて昼になったので、俺たちは連れ立って学食へ行った。

    「初日はいちばん高いヤツにしてみるか」

    俺の誘いに笑って頷いた彼は、受付のおばさんに向かって高らかに叫んだ。

    「すみません、A窃盗ふたつ!」

    (463字)


    【あとがき】
    短いお題って、意外と難しいんですよね。
    (まあ簡単なお題の時なんてないんですけど……)
    それにしてもタイトルとヘッダ画像のアンバランスさが際立ってますこと。

    新年度が始まり、入学・入社等々、新たなスタートを切った方も多いかと思います(あるいはご家族の方が、とか)
    春は美しく鮮やかで心が浮き立ちますが、逆に心身ともに負担のかかる季節でもあります。皆さん、どうぞくれぐれもご自愛くださいね。

    新しい世界へ旅立つ皆さんに、幸あれ!!!


    *この記事は、以下の企画に参加しております。


     
     
    小説を書くわんこ(SS~長編)。創作大賞2025『栗と牡丹』入選。→2026年4月『栗は月色、こがね色』として朝日文庫より刊行。第2回日本おいしい小説大賞最終候補、第31回やまなし文学賞『雨を知るもの』佳作→作品集刊行。餃子とピザとあんこが好物。一人BARと野鳥観察が趣味。

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