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『頑張ってない人なんて、いない。— それぞれの役割 —』



    業務が完璧主義な人は人間関係が雑で、人の機微に気をつかう人は業務は大雑把。



    現場で働く人を見ていると、なんとなくそんな印象がある。


    作業の手順が完璧じゃないと動けない人と、全体の着地点だけ見据えてなんとなく動いちゃう人。



    しっかり者と大雑把。



    キチンとさんのんびりさん。


    そうした話でまとめてしまうと、お互いに「なんであの人は大雑把なの」「なんであの人はのんびりしてサボってるの」「どうして分かってくれないの」と対立してしまう。



    一緒に仕事をしていると、持っている長所や短所、役割が違うだけなのだと分かってくる。


    ちいちゃんは、業務が大雑把なタイプ。(いつもフォローしてくれるみんな、ごめんね、いつもありがとう。)



    全体へのメールで、監査に向けて書類チェックをお願いします、とだけ業務連絡が届いていたとする。いざ出勤してみると、メールの送り主はお休みだ。どこまでやればOKかの詳細まではわからない。休みの人に連絡を入れるのも忍びないし、細かい具体的な指示がないからと放っておくのも違う。


    思い込みで進めてはいけない仕事もあるけど、今回は書類チェックだ。何から何まで人に聞けばいいわけでもない。



    こんなとき、「だいたいこんな感じかな」と自分なりにあたりをつけて、とりあえずやってみる。



    まずは大まかに全体の形を作ってみる。ゼロから「どうすればいいんですか」「細かい手順はどうなってるんですか」とやり取りを重ねるより、まずは手を動かして形にしてから「ここまでやったのですが、この細部はどうしましょう」と聞けば、お互いに一度で済んで効率が良い。



    ちいちゃんは、なんとなくの流れで今できそうなことをやっておくのは得意。細かいことは気にしないぶん、平常時のマルチタスクが苦手だったりする。



    普段はぼんやり過ごして取りこぼすこともあるし、結果として「あの人、のんびりしてサボってるな」と思われたりする。


    現場で急変が起きたりトラブルが重なったりすると、状況が変わる。「やることはだいたい決まってる」と頭の中がシンプルになり、普段の細かいことを気にしない適当さが働いて、迷わず一点突破。



    ちいちゃんは急変の最中に感情的になって怒ったりはしない。ひと段落したあとも、「おかげさまで助かったよ。大変だったね、ありがとう」と声をかける。周りの機微に敏感だからこそ、ギリギリの場面で踏ん張ってくれた相手の緊張や疲れがわかったりする。



    現場には、これとは全く違う動き方をする人も。決まりごとや手順の細部まで確認が取れないと、最初の一歩を踏み出せないタイプ。



    このタイプは、できていないところがあるとすぐに目について責めてしまったり、つい粗探しをするような目線になってしまいがち。



    「こうしたら良い」「これじゃダメだ」と指摘する口調も厳しく、言い方がキツくなってしまうことも。



    意地悪をしたいわけではない。正しい手順を守ることや、正確にタスクを終わらせることに自分の意識を注ぎ切ってしまう。そうすると、周りの人の感情や、今これを言ったら相手がどう思うかの空気の変化にまで気持ちが回らなくなってしまうのかもしれない。



    人間関係の面でストレートすぎたりそっけなく見えたりするのも、それだけ仕事の正しさに必死になっているからなのだと思う。


    手探りの指示が出ると、どう動いていいか分からなくて固まってしまったり、逆に「もっと具体的に言ってください!」と詰め寄ってしまったりする。眉間にシワを寄せて焦ってバタバタと動き回るのだが、手元の細かな「点」に囚われているから、なかなか結果に繋がらなかったりする。



    この慎重さや生真面目さも、現場には欠かせない。


    ちいちゃんみたいなタイプが「こんなもんかな」と適当に作った粗削りなものには、あちこちに穴や抜けがある。そこをひとつずつ拾い集めて穴埋めし、決められたルールを守り続けてくれるのは、細かいところに気づいてくれる人たちだ。



    まず大雑把でも形にして動かしてみる人がいれば、そこに細かく手を加えて整えていく人もいる。ギスギスしがちな現場をなんとなく和らげるクッションになってみたり、ブレずに決まりごとを守り続ける柱になってくれたり。


    細かいことを見落としがちなちいちゃんと、慎重で間違いのない仕事を重ねてくれる相手。一人じゃ無理だけど、チームだからこそできたことがたくさんある。どちらかだけでは、現場はきっと回らない。



    確認を丁寧に慎重に繰り返している姿も、普段はぼんやり見えていざという時に動く姿も、向きが違うだけで、みんなそれぞれの役割をもちながら仕事をやっている。


    現場に、頑張ってない人なんていない。



    どこに力をかけて、どんな役割をやっているかが違うだけ。


    さて、これを読んだみなさんは、どっちのタイプ(仲間)ですか?



     
     
    『ちいちゃんの、のらりくらりサバイバル日記』へ、ようこそ! ハローワークで「ゆーるーさぁぁぁーーー〜〜〜ん」と呪いをかけ、もぎ取った求人票。それが私のナース人生の始まりだった。 私の人生は、最高のエンターテインメントである(ただし、やっている本人は必死である)

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