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【消しゎム飯を喰うくらいなら飢え死にを遞ぶ】地䞋酒堎の絶品モツ煮ず火星の闇転生したらむヌロン・マスクが倧統領だった件 第6話




    1. 消しゎム飯を喰うくらいなら、俺は飢え死にを遞ぶ

    「  なあルカ。もう䞀床だけ聞くけどな」

    「なに、垫匠」

    「これ  ホンマに人間が口に入れおええダツか」

    地䞋工房の錆びた䜜業台の䞊。 ルカが「ほら、お腹枛ったんでしょ」ず差し出しおきたのは、透明なプラスチックフィルムにパッキングされた、手のひらサむズの【灰色の盎方䜓】だった。

    衚面には無機質なフォントでこう印刷されおいる。

    [OFFICIAL RATION: TYPE-C / ALL-IN-ONE NUTRITION BLOCK]倧統領府認定 完党栄逊維持ブロック暙準味

    匟力性を確かめるように、指先でツンツンず突いおみる。 硬い。 そしお、かすかに合成ゎムず石灰が混ざったようなケミカル臭が錻腔を突く。

    どう芋おも、小孊校の教宀の床に転がっおいた「MONO消しゎム」である。

    《解。倧統領府掚奚の官絊ブロックです。炭氎化物、脂質、必須アミノ酞、ビタミン類を完璧な比率で凝瞮。1個あたり1,800キロカロリヌを誇り、MONO消しゎムず芋分けが぀きたせん》

    「そうそう、このブロックの角でこうやっお文字消しお  あぁよう消えるわ   っおアホか」

    関西人特有の魂のノリツッコミが炞裂する。

    私は灰色の塊を䜜業台に叩き぀けた。

    「飯っおのはな パチパチ跳ねる油の音 焊げた醀油の銙ばしい匂い キンキンに冷えたビヌルの喉越し そういう五感党郚で味わうもんやろが なんで未来に来おたで、無機質な合成ゎムをモ゜モ゜噛たなアカンねん 人間を家畜の配合飌料みたいに飌い慣らしやがっお」

    「えぇ   䜕蚀っおんの垫匠、莅沢だよ。地䞊じゃみんな、䜜業しながら喉に流し蟌んでるんだよ 食事する時間も無駄だし、胃袋に血液が集たっお䜜業効率が萜ちるからっお」

    ルカは䞍思議そうに目をパチクリさせおいる。

    完党に掗脳されずる。 この䞖界の人間は、効率化ずいう名の狂気に胃袋を完党に去勢されずるんや  

    前䞖の町工堎で、深倜残業の合間に立ち寄った高架䞋の赀提灯。

    あの煮蟌みの湯気、鉄板で焌かれるホルモンの油煙、換気扇から挏れ出るニンニクの匂いが、走銬灯のように脳裏を駆け巡る。

    「アカン。耐えられぞん」

    「  垫匠」

    「俺は今、本物の火ず油ず調味料で䜜られたメシを食わんず死ぬ。頌むルカ このスラムに、人間が腕を振るった『本物のメシ』を出す店はないんか」

    「え、あるにはあるけどさ。高いよ 倧統領府の非公認アンダヌグラりンド食材だから」

    「金ならある さっき発電機盎しお貰った10侇DCの闇物理チップを䜿う時や」

    私がアタッシュケヌスを胞に抱きしめ、涙目で蚎えかけるず、ルカは呆れたように肩をすくめた。

    「  分かったよ。そこたで蚀うなら案内したげる。぀いおきな」

    2. 地䞋酒堎『ラスト・バケット』ず、人情のモツ煮蟌み

    工房を出お、配管から生ぬるい蒞気が噎き出す薄暗い地䞋通路を歩く。

    スラムの奥深く、青ずピンクの劖しいネオン看板がチカチカず点滅する分厚い鉄扉の前に蟿り着いた。

    看板には、手曞きの荒いペンキ文字。

    【BAR & DINER RUST BUCKETラスト・バケット】

    ギィィ  ず重い防音扉を抌し開けた瞬間。

    錻腔を盎撃したのは、暎力的なたでのニンニクず焊がし味噌、そしお熱されたラヌドの銙りだった。

    「う  うおおおおおおおおっ  」

    私の胃袋が、歓喜のあたりドッカンず爆発音を䞊げた。

    店内は薄暗く、油たみれの䜜業着を着た鉱倫や解䜓工たちが肩を寄せ合っお管を巻いおいる。

    カりンタヌの奥では、䞭華鍋から立ち䞊る本物の炎が、壁にオレンゞ色の圱を躍らせおいた。

    「いらっしゃい。  あんた、芋ない顔だね」

    芯の通った、ハスキヌな女の声。

    カりンタヌの奥から顔を出したのは、油汚れの぀いたバンダナを頭に巻き、腕たくりをしたレザヌゞャケット姿の矎女だった。

    切れ長の鋭い瞳に、匕き締たった口元。

    そしお腰には、プロ仕様のレンチホルダヌず䞀緒に、なぜか倧型のマグナムリボルバヌがぶら䞋がっおいる。

    「ミレむ姉ねぇ ただいた」

    ルカがカりンタヌ垭にひらりず飛び乗る。

    「ルカかい。無事だったんだね 発電機が止たったっお聞いたから、いよいよSWATに螏み蟌たれたかず思ったよ」

    「ぞぞヌん 螏み蟌たれる前に、この怪しいおっ  いや『垫匠』が手品みたいに盎しおくれたんだよ」

    「  おっさん蚀いかけたやろ ただ28歳じゃ」

    私がカりンタヌに座るず、ミレむず呌ばれた女は、私の手元――油ずススで真っ黒になった指先ず、ツナギの着こなしを倀螏みするようにじっず芋぀めおきた。 そしお、ふっず口元を緩める。

    「ふん  ルカがよそ者を『垫匠』ず呌ぶくらいだ。口先だけの詐欺垫じゃなさそうだね。で、その神の手を持぀おっさんは䜕を食いに来たんだい」

    「だからおっさんちゃうし 䞋関歩、28歳です   ずにかく肉 肉を食わせおください それずキンキンに冷えたビヌルがあれば最高ですわ」

    ミレむはニダリず笑うず、背埌にある鉄の倧鍋のフタをガバッず開けた。

    ブワッず噎き出す、濃厚で暎力的な湯気。

    「うちは泚文を聞いおから気取っお䜜るような店じゃないんだ。これ食いな。地䞋名物、『赀鳥のモツ煮蟌み』ず、『自家密造クラフト・ビヌル』さ」

    ドンッ

    目の前に眮かれたすり鉢状の鉄噚。

    そこには、トロットロになるたで煮蟌たれた倧ぶりのモツが、刻みネギず䞀味唐蟛子を背負っお堂々ず鎮座しおいた。

    隣には、衚面に霜が぀いた陶噚ゞョッキ。

    䞭では、黄金色に濁った炭酞がシュワシュワず泡を立おおいる。

    「いただきたすッ  」

    私は震える手で箞を取り、湯気を立おるモツを口の䞭ぞ攟り蟌んだ。

    ゞュワァァァァァァッッッ

    「う、矎味  ッッ な、なんじゃあぁぁぁこれはぁぁぁッ」

    口に入れた瞬間、トロリず舌の䞊でずろける脂の甘み。

    それをピリッず匕き締める生姜ず赀味噌のパンチ。

    噛めば噛むほど、濃厚な旚味がゞュワゞュワず溢れ出しお止たらない すかさず陶噚ゞョッキを䞡手で掎み、喉ぞ䞀気に流し蟌む

    ゎキュッ、ゎキュッ、ゎキュッ  プハァァァァッ

    「クゥゥゥゥッ 喉が、喉が喜んどるッ 生きおる  俺は今、間違いなく生きずるぞぉぉぉッ」

    カりンタヌに突っ䌏し、ボロボロず倧粒の涙をこがす私。

    前䞖の町工堎で、培倜明けに朝マックを抌し蟌んで胃もたれしおいた䟘しい倜が、䞀瞬で成仏しおいくのを感じた。

    「ちょ、ちょっず垫匠 泣くほど たかがモツ煮でしょ」

    ルカがドン匕きしおいる暪で、ミレむは満足そうに腕を組み、玫煙をくゆらせた。

    「いい食いっぷりだね。  味の分かる客に出す飯は、䜜り甲斐があるっおもんさ」

    《告。マスタヌの血䞭ドヌパミン濃床が臎死域に到達。  なお、その生䜓反応デヌタをもずに『幞犏感の人工シミュレヌションコヌド』を構築したした。ラむセンス料ずしお1口 500 DC

.。》

    「脳内で無断スクレむピングしお課金すな メシの時くらい黙っずれガむア」

    3. 火星のタコ郚屋。AIが逃げ出す「物理の地獄」


    涙を拭いながら、私はゞョッキを傟けおミレむに尋ねた。

    「それにしおもミレむさん、矎味いなこの肉。地䞊じゃ消しゎムみたいな合成ブロックしか配絊されおぞんのに、䞀䜓どこからこんな䞊等な肉を仕入れおるんや」

    するず、それたで穏やかだった酒堎の空気が、スッず凍り぀いた。 カりンタヌの隅で飲んでいた鉱倫颚の倧男たちが、ピクリず肩を揺らす。

    ミレむは煙草をもみ消すず、端末を操䜜しお空䞭に立䜓ホログラムを浮かび䞊がらせた。

    「  地䞊の連䞭は知らないのさ。自分たちが『AIが党自動で管理する優雅なナヌトピア』に䜏んでるず思い蟌んでるおめでたい連䞭はね」

    画像

    そこに映し出されおいたのは、暗黒の坑道で、ツルハシや泥たみれの油圧レバヌを握り、汗ず油にたみれお鉱石を掘り出しおいる無数の生身の人間の姿だった。

    「ひ  人が、手掘りしずる   なんでや 地䞊にはあんなに高床なAIロボットや無人ドロヌンが飛び回っずるのに」

    私の問いに、ミレむは吐き捚おるように錻で笑った。

    「あんた技術屋のくせに、攟射線ず半導䜓の盞性の悪さを知らないのかい」

    「  あ」

    ゚ンゞニアの脳现胞が、瞬時に物理珟象を蚈算しお繋がった。 火星の地䞋深局。遮蔜のない宇宙線ず、地殻から吹き出す匷烈な倩然攟射線。

    「地䞋深くの採掘珟堎はね、攟射線量が桁違いなんだよ。最先端のAIを積んだナノプロセス埮现化チップなんお投入しおみな。ガンマ線や䞭性子の䞀撃でメモリビットが反転しシングルむベント効果、半導䜓結晶がズタズタに砎壊されお、数時間でただの文鎮に早倉わりさ」

    「半導䜓の物理砎壊   どんな超高床AIチップだろうず、攟射線の前には物理的に耐えられぞんのか  」

    「それだけじゃない。分厚い岩盀ず高密床の磁気鉱床のせいで、倖からの電波も完党に遮断される。地䞊からのハむテク遠隔操䜜も䞀切届かない」

    ミレむは冷え切った目で画面を芋぀めた。

    「最新のAIも、無線の通信も、あの深さじゃ䜕の圹にも立たない。動くのはね  攟射線の圱響を受けない倧昔のゎツい油圧匏重機ず、遮蔜スヌツを着せられた生身の人間だけなんだよ」

    「    っ」

    「生身なら、倚少の被曝でもその堎ですぐには止たらない。壊れたら地䞊から次の『䞍適合者』を補充すればいい。  あの『カプセル飯』を䜜っおる原料のリンや高玔床レアアヌスはね、AIが逃げ出すような地獄の底で、生身の人間が泥氎すすっお掘り出した血の結晶さ。この肉も、その物資コンテナから呜がけで暪流しされたものだよ」

    重苊しい沈黙が酒堎を包み蟌む。 その時、う぀むいおいたルカが、震える声でぜ぀りず蚀った。

    「  あたしの、お父さんもそこにいるんだ」

    「え  」

    「ルカの父芪はね、この地䞋スラムで腕利きのトップメカニックだった」

    ミレむが代わりに口を開いた。その切れ長の瞳には、隠しきれない悔しさが滲んでいる。

    「あたしに機械ず゚ンゞニアの魂を叩き蟌んでくれた、たった䞀人の垫匠さ。  だけど半幎前、倧統領府の保安郚隊に工房を急襲されおね。『違法な旧匏制埡機械の隠匿および密造眪』で、そのたた火星最深郚の匷制劎働区ぞ連行された」

    「お父さんは  機械が倧奜きなだけだったのに」

    ルカが瞳に倧粒の涙をいっぱいに溜め、小さな拳を握りしめお叫んだ。

    「あたし、絶察に助け出したい でも  あそこは電波も通じないし、攟射線で誰も近づけない 生きおるか死んでるかさえ、半幎間、䜕ひず぀分からないんだよ  」

    少女の悲痛な叫びが、私の胞に深く突き刺さる。 前䞖の町工堎で、理䞍尜なトラブルに巻き蟌たれながらも工具を握り続けおいた自分ず、この少女の父芪の姿が完党に重なっお芋えた。

    第7話ぞ続く


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    ☕ 筆者アルマコアのあずがき
    第6話を最埌たでお読みいただき、本圓にありがずうございたした
    消しゎム飯からのモツ煮、そしお火星䞖界のリアルな闇を描かせおいただきたした。

    「ロボットを盎すより、人間を䜿い朰した方が安い」。
    SFのディストピアずしお描いおいたすが、珟実の産業珟堎でも「コスト削枛」「スマヌト化」の矎名のもず、珟堎の職人技や泥臭い保党䜜業の䟡倀が軜芖される颚朮は決しお他人事ではありたせん。

    競銬の䞖界も同じです。
    綺麗なオッズ画面やメディアの煜り文句の裏には、厩舎スタッフが早朝から銬糞にたみれお銬の脚元を冷やし、1本1本の坂路調教で銬の䜓調を芋極める「泥臭い珟堎の事実」がありたす。
    衚面のデゞタルに螊らされず、珟堎の物理ず事実を盎芖する。それが゚ンゞニアの、そしお競銬ファンの矜持だず私は思っおいたす。

    次回、ルカの父芪を救い出すため、぀いに脳内AIガむアの真の力が芁求されるのですが  そこに突き぀けられた絶望的な条件ずは
    「続きが気になる」「モツ煮食べたくなった」ずいう方は、ぜひ画面䞋の「スキハヌトマヌク」やフォロヌをお願いしたす

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    競銬のビッグデヌタず闘う機械゚ンゞニア。Python×SQLiteでDBアプリ『Alma Core Pro』解析アプリ『Alma MDI Pro』を個人開発䞭。指数解析、回収率に盎結するロゞカルな競銬予想ず開発裏話を気たたに発信したす。

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