
「株は夜に上がる」は売買に使えるか:論文で知られた4つの規則性を過去データで確かめた
株の値上がりは夜の間に起きやすい。月の変わり目には買いが入りやすい。投資の本でこうした規則性を知ると、日付や時間を選べば成績を良くできそうに思えます。
確かめたいのは、値動きの特徴があることと、費用を払って利益を取り出せることの違いです。AlpAIは、論文で知られた4つのパターンを過去データで調べました。計算前に決めた基準を満たしたものはありませんでしたが、理由はそれぞれ異なりました。
調べたのは、四つの決まった時期
夜間:米国市場の引けにS&P500連動のETFを買い、翌営業日の寄り付きで売る。
月の変わり目:月末の1営業日と翌月初の3営業日に保有する。
金融政策の発表日:FOMC発表前営業日の引けから、発表日の引けまで保有する。
新規上場株の調査開始前:証券会社のアナリストが調査を出し始めるとみなした日の前後を調べる。
最後の調査開始日は、候補の初日から25暦日後以降の最初の営業日を代理にしています。実際に調査が公表された日は使っていません。四つの対象と期間は異なるため、一つの運用成績として合算してはいません。
夜間の値動きは大きくても、毎日の売買費用がかかる
1994〜1999年は、費用前の年率が夜間23.16%、日中0.12%でした。この時期に夜間の値上がりが大きかったことは確認できます。
ただし毎営業日に買いと売りを繰り返すと、小さな費用も積み重なります。片道0.01%の売買価格の差と、1株0.005ドル・最低1ドルの手数料を仮定した結果は、次のとおりです。
1994〜2012年:費用前の年率10.26%に対し、費用後は2.18%。
2013〜2025年:費用前の年率9.09%に対し、費用後は2.82%。
失われた年率は約6〜8ポイントです。前半は費用がなければ基準を満たしました。一方、後半は費用を引く前でも、持ち続けた場合の年率14.61%に対する基準に届きません。後半の結果を費用だけで説明することはできません。
この夜間の論文は2008年のため、前半は公表前も含み、後半は公表後です。月の変わり目の検証も論文の対象期間と一部重なる可能性があり、すべてを公表後だけの独立した検証とは呼んでいません。
ほかの三つも、不合格の意味は同じではない
月の変わり目とFOMC発表日では、費用前の平均の差の区間が0をまたぎました。FOMC発表日の平均が高くても、上乗せがあると明確には確かめられません。「効果がなかったことを証明した」という意味ではありません。
新規上場株の調査開始前は、後半の平均がマイナスとなり、事前の不採用条件に当たりました。代理の日付と観測できた案件に限る結果です。
夜間だけ保有する方法の下落への強さにも、時期による違いがあります。2020年と2022年は、最大下落幅が持ち続ける方法より浅くても、その下落局面全体の損益は悪くなりました。2020年3月は、夜間にも大きな損失が生じています。最大下落幅だけを見て、いつも守りになるとは判断できません。
別の手法の記事でも使える四つの確認
第一に、示された成績が費用前か費用後かを確認します。取引頻度が高いほど、小さな片道費用が効きます。
第二に、研究で使った期間より後のデータを確認したかを見ます。古い期間の強い結果が、新しい時期にも続くとは限りません。
第三に、平均と区間を併せて読みます。プラスの平均だけでは、偶然との違いを明確にできない場合があります。
第四に、資金規模と最低手数料を確かめます。今回の夜間の方法は、元手を1万ドルにすると、2013〜2025年の費用後の年率がマイナスでした。元手が違えば、同じ費用率で取引できるとは限りません。
各検証は過去データでの1回ずつの確かめです。税や約定価格のずれなど、反映していない条件もあります。取引を減らす方法や別の費用水準は検証していません。公表によって規則性が消えたという因果も、この結果では確認できません。
元の研究で確認できること
このnoteでは、問いと結果の意味を中心に紹介しました。夜と日中の差を10年ごとに分けた表、4回の下落局面、費用の内訳、IPOの3つの保有期間、ETF29本の参考調査を元の研究記事で確認できます。
研究とは分けて読む、初回掲載時の運用記録
掲載時点のAlpAIの運用実績は、開始来TWR +28.4%(米ドル、2026年4月14日〜2026年10月29日)、同期間のS&P500(配当込み) +11.3%、差 +17.1ポイント、この基準日時点の下落率 0.0%です(S&P500は配当を含めた値)。
更新(2026年11月2日):タイトルと構成、表現を改めました。新規上場株の調査開始日は代理の日付で、実際の公表日を使っていないことを明確にしました。金融政策の発表日は、発表前営業日の引けから発表日の引けまで持つ形であることを明記しています。研究の対象期間と結果の数値は変更していません。
この記事は過去の検証を紹介するもので、特定銘柄の売買を勧めません。試算や過去の実績から将来の成績は保証できません。