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人魚裁判所【毎週ショートショートnote】

    ある日、男は人魚裁判所に呼ばれた。

    海の奥深くにある、人魚の国の裁判所だ。

    「あなたはどうして、人魚の鱗を欲しがったのかしら?」

    裁判官の声はやけに甘い。

    「母の病を治すため、人魚の鱗を煎じて飲ませたかったからです」

    男が困ったように微笑むと、傍聴席から黄色い悲鳴が上がった。

    「優しい!」
    「私の鱗、全部あげる!」

    人魚たちが大騒ぎするのも無理はなかった。

    被告人の男は、海底でも大人気の、あるドラマのイケメン俳優に生き写しだったのだ。

    「静かに。尾ひれで机を叩く代わりに、手でコンコン、ですよ。うふふ」

    「裁判官、判決を」

    「えっと……被告人さん。最後に何か、胸に刺さる、ズキュンとする一言をお願いできるかしら?」

    「……判決より先に……君の心をいただく」

    「無罪!」

    人魚たちは拍手喝采した。

    男はただ、母のために必死だった。

    自分の顔が、実は人魚たちの好みドンピシャだとは知らずに。


    田原 にかさんのお題『人魚裁判所』
    に参加させていただきました。
    いつもありがとうございます😊
    #毎週ショートショートnote
    #人魚裁判所

    前回のお題はこちら↓↓↓

    #創作 #ショートショート #ファンタジー  #イケメン俳優 #鱗 #母思い

     
     
    少しの間、活動をお休みします。 また自分のペースで再開できたらと思っています😊 1日の終わりに人の心をぽっと照らす電球のような、小さな物語やエッセイを書いています。 少し切なくて、少し愛おしくて。 なぜか笑われることもあります。 良かったら、手を止めて読んでいって下さい☺️