
王子の彼女【セリフ三題噺】
■セリフ
「わかった!わかった!!!」
■三題
・きなこ棒
・細分化
・ストラップ
二年生になったばっかりなのに、私のお気に入りのちいかわストラップがなくなった!
どこでなくしたんだろう?
どうしよう、限定品なんだよ、あれ!
あああ、もう生きてく希望が見当たらない。
「わかった!わかった!!!まゆ、探すの協力するから!ちょっと落ち着いて」
親友のみつきになだめられたけど、収まらないこの気持ち。
数日後、遅刻ギリギリで走っていた。
後ろから声をかけられる。
「ねえ、一ノ瀬さん」
遅刻しそうなのに、だれー!
振り向いた。
「これ、落としたストラップ?拾ったけど」
……え。
渡されたのは、確かに私のストラップ。
でも、誰、あの人。
同じ制服なのに、見覚えがない。
すっと通った鼻筋、前髪の隙間から覗く切れ長の二重の目、すらっとした背中。
チョーイケメン!
こんな人、うちの学校にいたっけ?
私の名前知ってたー!
誰?
気になって仕方ない。
立ち止まって考えてたら、私は遅刻した。
「ちょっと!ストラップあったの?良かったじゃない!どこにあったの?」
「イケメンのとこ……」
事情を話したら、みつきの目の色が変わった。
「探すよ!探す!」
「無理だよ。あんなイケメン、今までこの学校で見たことないし」
そう言いながら、頭の中でさっきの顔を思い出す。
鼻筋、目、背中……あれ、なんか既視感。
「あ……」
「どうしたの?」
「林くん」
「は、林ー?ないないない!」
「マッシュルームみたいなキノコ頭に、瓶底メガネ。おまけに猫背で暗い。話し方もいっつもねっちょりしてて、まるできなこ棒みたいな奴じゃん」
「そんなこと言って、今きなこ棒美味しそうに食べてるの、みつきだよね?」
「バレた?(笑)」
「林はね、女子からキモがられてるの!」
「待って、でもさ」
私はもう一度、あのイケメンの顔を思い出した。
前髪、メガネ、鼻、背中。
それを一個ずつ細分化して、林くんと比べてみる。
「……まさか」
「うん。なぜか、あのイケメンになるのよ」
半信半疑のまま、それから私は林くんといろいろ話すようになった。
話せば話すほど、どんどん好きになる。
前髪の下の、メガネ越しの目も、慣れると悪くない。
「私、好きかも」
告白した。
林くんは驚きながらも、オッケーしてくれた。
週末に、初めてのデート。
待ち合わせ場所に現れたのは、前髪を上げて、メガネをコンタクトに変えた、あの日ストラップを渡してくれたイケメン。
やっぱり林くんだった。
「ストラップ拾ってくれたのって、林くんだよね?」
「あ、うん。大事そうにしてたから、早く渡さなくちゃと思ってたのに、タイミング悪くて……遅刻させちゃって、ごめんね」
「今日の林くん。前髪上げて、コンタクトにしたの?」
「うん。初めてのデートだし。ちょっと、頑張ってみようかと思って」
照れくさそうに笑う。
やっぱり好きかも。
月曜日。コンタクトになって前髪を上げて背筋を伸ばした林くんは、学校で王子と騒がれていた。
そして、私は王子の彼女!
はらとけいさんのお題『セリフ三題噺』
に参加させていただきました。
いつもありがとうございます😊
#セリフ三題噺 #きなこ棒細分化ストラップ
前々回はこちら↓↓↓