メインコンテンツへスキップ
見出し画像

おじさん箪笥【毎週ショートショートnote】

    「……きみは、私が怖くないのか」

    リサイクル業を営む友人から譲り受けた年代物の箪笥の横に、見知らぬおじさんが立っている。

    まあ、霊感のある私に格安で譲るよってのは、そういうことだろうし。
    正直、お世辞にも素敵な見た目とは言いにくいけど――害意があるわけでもないようだし、何より――この箪笥に向ける深い愛情が、強く感じられるからね。

    「わかってくれるのか」

    おじさんはパッと表情を明るくする。霊なのに。
    そして改めて私をじっと見つめ、こう言った。

    「うん、きみになら――この箪笥を末長く使ってもらえたら、とても嬉しいな」

    翌日、友人に報告した。

    「何だか、前所有者のおじさんに気に入られたみたいでさ」

    すると、友人は急に焦り出す。

    「いや、男性が所有者だったことは一度もないんだ……最初に所有していた女性が、長年付きまとわれていたストーカーに家に侵入され、その箪笥を漁られていたところに帰ってきてしまって……揉み合いになった結果、二人とも……」




     
     
    三児の父です。 子供たちが成長して、ようやく多少の余裕ができたので、しばらくはリハビリがてら、気楽さを忘れずにつらつら綴っていきたいです。

    あなたへのおすすめ