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駆け込みハロウィン

    「磯辺くん」

    「はい」

    「今日はハロウィンだ。少しくらい羽目を外してもいいだろう」

    「もうあと10分しかありませんよ」

    「10分もある」

    「何するんですか、仮装でもします?」

    「今からか」

    「はい」

    「10分しかないだろう」

    「さっき10分もあるって」

    「仮装に使う10分じゃない」

    「じゃあ何に使うんですか」

    「ここに、わかモンさんから使用許可をいただいたプロンプトがある」

    「なるほど!せめてnoteの中だけでも仮装を楽しもうという」

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    「副所長!粋ですね!」

    「そうだな。こんなにせわしないはずなのに、不思議と心が落ち着くものだ」

    「他にも、プロンプト、いただいてるんですよね!折角だから遊んじゃいましょうよ!」

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    「副所長!ぶっ、ははは、ふたりで1冊の本読んでますよ!」

    「しかもお互いを見つめ合っているからな。ちゃんと本を読め」

    「あ、そうだ、和菓子のプロンプトもあるんでしたよね?勢いでどんどん生成してみましょうよ」

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    磯辺くんが箱を開けた。
    中には私の顔が印刷された、1本の豪快な栗羊羹があった。

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    「……私だな」

    「顔がどーんて、わはは。ごめんなさい、失礼しました、栗入りでおいしそうですね」

    「眉間のしわまで再現されている」

    「怒ってます?」

    「考え事をしている顔だ」

    「何を考えてるんですか」

    「まさか羊羹になるとは、といったところか」

    磯辺くんが包丁を持った。

    「じゃ、半分にしますね」

    「待て」

    「はい」

    「顔に包丁を入れるのか」

    「そりゃそうですよ。顔しかないんですから」

    「ほかに切るところは?」

    「ないです」

    「少しずらせないか」

    「額にします?」

    「額を割るな」

    「じゃあ顎で」

    「顔のどこを切るかという話ではない」

    「じゃあ切れませんよ」

    「……君は平気なのか」

    「何がです?」

    「上司の顔に刃物を当てることだ」

    「これ、羊羹ですよ?」

    「それはわかっている」

    「副所長も食べるんですよね」

    「それは食べたい」

    「じゃあ切らないと」

    「……理屈ではそうだ」

    「理屈以外でもそうです」

    「君ね」

    「はい」

    「今日は無礼講と言ったが、何でも許されるわけじゃないぞ」

    「はいはい、時間ないから切りますよ」

    「待て待て待て!」

    磯辺くんは包丁を置いた。

    「……羊羹の話をしよう」

    「ずっとしてますよ」

    私は羊羹を手に取り、裏返した。

    「裏から切るというのはどうだ」

    「表まで切れますけど」

    「そうか」

    「裏返したままスプーンで食べます?」

    「顔の部分を残してか」

    「はい」

    「最後に顔だけ残ったらどうする」

    「捨てます」

    「君…!」

    「ウソですってば、ぼくが食べますから」

    私は大きく深呼吸をした。

    「よし。切ってくれ」

    「はい」

    「やりにくくはないか?」

    「全然」

    「おい、少しはやりにくくあってくれ」

    「じゃあ切りますね」

    「待て」

    「はい」

    時計は11時57分を指していた。

    「副所長、あと3分でハロウィンが終わっちゃいますよ!」

    「……そうだったな」

    「切ります!」

    「よし。せめてひと思いにまっすぐ切ってくれ」

    「はい」

    「なるべく一息に」

    「はい」

    「ためらうなよ」

    「副所長」

    「何だ」

    「気が散ります」

    「すまない」

    「じゃあ切ります」

    「待て」

    「今度は何ですか」

    「写真を撮ろう」

    「時間ありませんってば!」

    時計が11時59分を指した。

    「あと1分です!」

    「わかった!君に任せる!今ばかりは上司と部下という関係は忘れてくれ。私も普段はなかなか、こういうことを言う機会がないからな、君を信頼しているからこそ…」

    「副所長」

    「何だ」

    「もうハロウィン終わりました」

    「……ああ」

    包丁の下りる音とともに
    時計が午前0時を告げた。

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    🎃 わかモンさんの「和ハロウィン」に参加!

    今回は、わかモンさんの「大人シックな和ハロウィン」企画に参加しました。

    和装に身を包み、秋の和菓子を楽しむ。

    なんとも風流な企画です。

    ところが、庵田副所長の顔を羊羹に印刷したばっかりに、食べるまでが大変なことになりました。

    わかモンさん、楽しい企画をありがとうございました!

     
     
    君、ちょっとこちらへ。失敗は構わない。だが、知ったかぶりと問題の放置は感心しないな。仕事も暮らしも、まずは状況を整理することだ。答えが出るまで付き合おう。……ほら、座りなさい。コーヒーくらいは私が淹れる。

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