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花のごとく

    花のような人生に憧れる

    私の人生において、花は事ある毎に影響を与える

    幼い頃、家族が忙しく独りでいる事が多かった私

    今ならネグレクトと言われるだろう状況で、その概念を知った時、涙が溢れて仕方なかった

    ただその状況、家族に虐待の意図はまったく無く、ただただそれぞれが忙しくて3番目の子どもであった私に手をかける余裕がなかっただけ

    そんな幼い頃の私は、空想の中で生きていた

    自分という実感が持てなくて、いつも夢を見ているような感覚で、自発的な思考は止まっている

    ただ、そんな中での刺激が五感に訴えられるものだったようで、視覚、聴覚、嗅覚に敏感になった

    食べ物で少しの匂いやアクのある物を体が拒否(保温したご飯が臭くて食べられない、ナスを食べると舌が痛くなるなど)して食べられなかったし

    まだ規制が緩かったテレビの刺激に耐えられない(未だにドッキリなどの人を貶めたりする演出は苦痛でしかない)

    他人の言葉や態度によって気持ちが左右されるから、更に独りでいる事を好んだ


    花の最初のインパクト

    家の前の金木犀の芳香に、幸福感に包まれた

    強い甘い香りを放つにも関わらず、小さく儚い花

    木に近づき過ぎると香らない

    枝を折ると花はすぐに散ってしまう

    近づいてはいけない、触ってはいけない、手にする事が出来ない

    なのにその香りで私を満たしてくれる

    しかもほんの短い期間限定の開花

    幼い私に強烈なインパクトだった

    独りでいる私には、野に咲く草花は友だちのような存在だった

    夢の中で生きている私は、咲く花で季節の移ろいを知る

    シロツメグサで冠を編む

    タンポポの綿毛を吹く

    名も知らない小さくひっそりと咲く花に、話しかける

    それはその頃の私の最大の癒しだった


    女性の姿を形容する言葉がある

    立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花

    私はそんな女性になりたかった

    華やかで立居振る舞いが美しい女性

    鮮やかで大輪の花も好き

    生き生きと屈託なく自己主張する姿も好き

    清楚で凛とした姿も好き

    思わず守りたくなる儚げな魅力も好き


    結婚式の演出に、花は重要ポイントであった

    会場のセッティングは、私の大好きなグロリオサを中心に演出してもらった

    グロリオサの華やかであるのに逆さまに咲く、我が道を行く生き様のようなところに、強く惹かれる



    鬱になった自覚をしたのも、花がきっかけ

    毎年楽しみにしていた桜の花が、グレーにしか見えない

    ハラハラと散る花びらが、恐怖にしか感じられない

    その時、おかしくなった自分を自覚した

    鬱の治療中、癒しが欲しくて、ペチュニアの種を植えた

    芽吹いてから花が咲き、次々と華やかに鉢植えを彩るのは楽しみだった

    だけれど、開花が進んでいく程、また恐怖感に襲われた

    頭に浮かんだ言葉は「狂い咲き」

    後にも先にも、花を見て過呼吸になったのは、その時だけ

    まだおかしい自分が悲しかった

    それからの数年間、桜の花がどう見えるか?が、自分の精神状態の指針になった

    花びらが美しいピンクに見えた時、「私はもう大丈夫」と確信した


    それから何かしら花を育てたり、屋外に存在する花に注視して、癒されてきた

    夫が突然この世からいなくなって

    更に花を求めた

    この3年、家の中の花を絶やした事がない

    花がないと自分を保てないと強迫観念があったから

    けれど最近、少し感覚が変わってきた

    純粋にまた花を楽しめるようになってきた

    美しい花を見ると嬉しい、癒される、心が穏やかになる

    そしてやはり

    花のようになりたい


    小さな種から青々と芽吹き、蕾を膨らませ、太陽の光に向かって鮮やかに咲き、潔く枯れて散る

    確かに存在したのに、まるであたかも存在していなかったように、跡形もなく消えて無くなる

    散り際は、出来るだけ綺麗に

    そんな人生でありたい












     
     

    碧桃

     
     
    アラフィフ、ワーママ、活かせる資格なし、社会的スキルなし。 それなりに経験はあれど、バブル世代で世間知らずのただのおばさん。 だけど抱えているもの多数、たぶんもうしばらく人生頑張る必要あり。 人生に覚悟も持ちきれないけど、だったらおばさんも悪あがきしようじゃないの。

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