メインコンテンツへスキップ
見出し画像

【大腸カメラ】大切な日々を失わないために@あおき消化器内科クリニック

    初めてnoteに記事を執筆いたします。
    京都市左京区にある【あおき消化器内科クリニック】院長の青木信裕です。

    私は総合内科と消化器内科を診療の柱としながら、消化器内視鏡専門医として「胃と大腸の内視鏡検査」に長く取り組んできました。京都大学では自己免疫性肝炎を専門とした研究を行い、医学博士号を取得しています。

    あわせて、大腸カメラを受ける患者さんの負担を減らすための医療機器を、独自に開発しています。

    大腸がんは、日本でもっとも多くの方が罹患するがんです。
    女性では、がんによる死亡原因の第1位、男性では第2位(肺がんに次いで)でもあります。

    早期に見つけられれば治療の選択肢が大きく変わる病気でありながら、その入り口である大腸カメラは、いまも「怖い・痛い・恥ずかしい」というイメージがあります。

    このnoteでは、大腸カメラや胃カメラ、消化器や肝臓の病気、生活習慣病について、診察室だけではお伝えしきれないことを発信してまいります。

    ■大腸カメラをためらってしまう理由

    大腸カメラに対して、「怖い」「痛い」「つらい」「恥ずかしい」というイメージを持っている方は、今も少なくありません。

    ただ、実際に患者さんとお話ししていると、その根底にあるのは「検査についてよく分からない」という不安なのだと思います。

    どのくらい痛いのか。下剤はどのくらい大変なのか。
    どのくらい時間がかかるのか。費用はいくらなのか。

    分からないからこそ、必要以上に怖く感じてしまいます。

    反対に、「まだ若いから大丈夫だろう」「このくらいの症状なら問題ないだろう」と考えて、検査を先延ばしにしている方もいらっしゃいます。

    中には、「もし大腸がんが見つかったら怖いから、検査を受けたくない」という方もいます。

    「見つかったら怖い」と思う気持ちはごく自然だと思います。

    ただ、大腸がんは早期に見つけるほど「治療の選択肢」が広がります。
    だからこそ、怖いから検査を避けるのではなく、早期に発見できるうちに確認していただきたいのです。

    私自身、長く通院されていた患者さんに大腸カメラを勧めきれず、進行大腸がんで見つかってしまったことがあります。
    その後悔は、今も残っています。

    だからこそ、検査を受けるかどうかを決める前に、まず正しい情報を知っていただきたいと思っています。

    画像

    ■こんな変化があれば、一度大腸カメラを

    では、どのようなときに大腸カメラを考えればよいのでしょうか。
    分かりやすいのは、これまでになかったお腹や便の変化が出てきたときです。

    たとえば、腹痛やお腹の張りが続く。
    以前より便秘がひどくなった。反対に下痢が続くようになった。
    便が細くなったり、血が混じったりする。

    こうした変化には、大腸の病気が隠れていることがあります。

    健康診断で便潜血検査が陽性になった方や、血液検査で貧血を指摘された方も、そのままにせず、一度大腸の状態を確認していただきたいと思います。

    そして、症状がない方にも知っていただきたいことがあります。

    「大腸がんは40歳代以降で増えてきます」

    「何も症状がないから大丈夫」ではなく、40歳を過ぎて一度も大腸カメラを受けたことがないのであれば、ぜひ一度検査について考えてみてください。

    ■大腸カメラは「どこで受けても同じ」ではありません

    以前に大腸カメラを受けて、
    「とても痛かった」
    「もう二度と受けたくない」

    と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

    大腸カメラのつらさは、医師の技術だけでなく、鎮静薬や鎮痛薬の使い方、検査設備、スタッフの対応など、さまざまな要素によって変わります。

    大腸は曲がりくねった臓器です。
    そのため、内視鏡をどのように進めるかによって、患者さんが感じる負担は大きく変わります。

    そこに適切な鎮静や鎮痛を組み合わせることで、さらに苦痛を減らすことができます。

    また、検査そのものだけではありません。

    飲みやすい下剤を採用する。
    検査中に体の向きを変えやすいストレッチャーを使用する。
    羞恥心に配慮した検査用パンツを使う。
    検査後は、そのままゆっくり休める環境を用意する。

    こうした工夫の積み重ねでも、検査の印象は変わります。

    さらに、不安を抱えているときにスタッフから「今からこうしますよ」「もう少しですよ」と声をかけてもらうだけでも、気持ちはずいぶん違うものです。

    大腸カメラの「つらさ」は、我慢して当然のものではありません。
    医療機関側の工夫によって、減らしていけるものだと私は考えています。

    画像

    ■「受けたくない検査」そのものを変えたい

    私がここまで大腸カメラの受けやすさにこだわるようになったのは、進行した大腸がんの患者さんを数多く診てきたからです。

    「もっと早く検査を受けていただいていたら」
    そう思ったことが、何度もあります。

    もっと早く見つかっていれば、今もご家族と何気ない日常の会話を続けていたかもしれない。
    何人もの患者さんを看取るなかで、その思いは強くなっていきました。

    「大腸がんを減らしたい」
    「大腸がんで悲しむ方を減らしたい」
    では、そのために何ができるのか。

    治療の技術を高めることはもちろん大切です。
    しかし、そもそも検査を受けてもらえなければ、早期発見にはつながりません。

    そこで私は「なぜ大腸カメラを受けたくないのだろう」と考えるようになりました。

    行き着いたのが「痛い」「つらい」「怖い」「恥ずかしい」という、検査そのものへの抵抗感でした。

    そうであるなら、その原因を一つずつ減らしていけばいい。
    私はもともと、ものづくりが好きでした。

    診療をしていると「ここがもう少しこうなれば、患者さんはもっと楽なのに」と感じる場面がたくさんあります。

    その想いから、大腸カメラ用のストレッチャーや検査用パンツの開発にも取り組んできました。

    ストレッチャーをつくることも、検査用パンツをつくることも、それ自体が目的ではありません。
    「大腸カメラを受けたくない」と思う理由を、一つでも減らしたいのです。

    検査への抵抗感が減れば、受ける方が増える。
    受ける方が増えれば、大腸がんを早く見つけられる方も増える。

    検査を受けやすくすることも、大腸がんを減らすための医療だと考えています。

    ■検査をして終わりではありません

    私が目指しているのは「痛くない大腸カメラ」ではありません。
    検査を受ける前から、終わった後まで、安心して任せていただけることです。

    何を不安に感じているのか。
    以前の検査でつらい経験がなかったか。
    持病や飲んでいる薬に問題はないか。

    そうしたことを診察の中で確認したうえで、検査に臨んでいただきます。
    検査中も、生体モニターで酸素飽和度や血圧などを確認し、変化があればすぐに対応できるようにしています。

    検査後の対応も大切です。

    病気が見つかれば、その後の治療につなげる。
    より高度な治療が必要であれば、適切な医療機関へ橋渡しする。
    大腸の病気だけではなく、総合内科専門医としてその方の健康や生活まで見ながら、その後を支えていく。

    「検査をして終わり」ではなく、その先まで診る。
    それが、私の考える「安心・安全・安楽な大腸カメラ」です。

    画像

    ■大切な人と、これからも大切な日々を過ごすために

    実際に検査を終えた患者さんから、
    「思っていたより、ずっと楽でした」
    「こんなことなら、もっと早く受ければよかった」

    と言っていただくことがあります。

    大腸カメラを受けることは、病気を探すためだけではありません。
    何もなければ安心できますし、もし何か見つかったとしても、早く知ることで次の選択肢につなげることができます。

    そして、ご自身の健康の先には、ご家族や大切な方と過ごす何気ない毎日があります。

    これまで進行大腸がんの患者さんを診てきたからこそ、その大切な日常を失う前に、一歩を踏み出していただきたいと心から願っています。

    大腸カメラに不安がある方にとって、この記事が検査について考えるひとつのきっかけになれば嬉しく思います。

    今回の記事は以上です。

    これからも、大腸カメラや胃カメラ、消化器・肝臓の病気について、診療の現場からお伝えしてまいります。

    フォローやスキをいただけましたら励みになります。

    あおき消化器内科クリニック
    院長 青木 信裕


    あなたへのおすすめ