
第8話「なぜ、決めたルールは守られなくなるのか?」
なぜ、決めたルールは守られなくなるのか?
「せっかくルールを決めたのに、誰も守ってくれない。」
「何度注意しても、また元に戻ってしまう。」
「最初はきちんとやっていたのに、いつの間にかやらなくなっている。」
皆さんの職場でも、こんな経験はありませんか。
整理・整頓や品質管理、安全管理など、職場にはさまざまなルールがあります。
どれも、仕事を安全に、効率よく進めるために決められたもののはずです。
それなのに、なぜ守られなくなってしまうのでしょうか。
私は、そこには単に「働く人の意識」だけでは片付けられない理由があるように思います。
ルールを守らない人が悪い?
例えば、工具を使ったら決められた場所に戻す。
とても簡単なルールです。
ところが、工具が元の場所に戻されず、作業台の上に置きっぱなしになっている。
そんな場面を見かけることがあります。
「決めたことなんだから、ちゃんと守ってほしい。」
そう思うのも自然なことです。
でも、少し違う角度から見てみると、どうでしょう。
工具の置き場所が、作業する場所から遠すぎないでしょうか。
戻すために、ほかの作業を中断しなければならない配置になっていないでしょうか。
そもそも、どこに戻せばよいのか、一目で分かるようになっているでしょうか。
もしかすると、守られない理由は、ルールを決めた側にもあるのかもしれません。
守りにくいルールは、続かない
以前、ある仕事の進め方について、こんなことを考えたことがあります。
「決められた手順より、実際に行われている方法の方が簡単なのではないか。」
もちろん、簡単だからといって、勝手に手順を変えてよいわけではありません。
品質や安全を守るために、省略してはいけない工程もあります。
しかし、現場で働く人が負担を感じているのであれば、その理由を知ることは大切です。
例えば、
手順が複雑すぎる。
作業に必要な物が使いにくい場所にある。
ルールを守るための時間が確保されていない。
ルールの目的が十分に伝わっていない。
こうした問題があると、最初は守られていても、少しずつ形だけのものになってしまうことがあります。
大切なのは、ルールを守らせることだけではなく、守りやすい環境をつくることではないでしょうか。
現場の声を聞いてみる
私は、改善を進めるうえで、実際に仕事をしている人の声がとても大切だと考えています。
ルールが守られていないとき、
「なぜ守らないのですか?」
と問い詰めるよりも、
「このルール、実際にやってみて困ることはありませんか?」
と聞いてみる。
あるいは、
「もっとやりやすくするには、どうしたらよいでしょうか?」
と、一緒に考えてみる。
そんな小さな違いが、改善のきっかけになることがあります。
現場で働いている人だからこそ気付く、不便さや無駄があるはずです。
そして、その気付きを取り入れることで、ルールそのものが、より良いものになっていくのだと思います。
ルールは、守る人と一緒に育てるもの
第7話では、「標準は、人を縛るためではない」という話をしました。
今回も、その考え方につながっています。
ルールは、決めたら終わりではありません。
実際に使ってみて、不便なところがあれば見直す。
改善できるところがあれば、必要な検証を行って変更する。
そして、より良い方法を新しいルールとして定着させる。
その繰り返しが、働きやすい職場をつくっていくのだと思います。
もちろん、安全や品質に関わる重要なルールは、正式に変更されるまで守らなければなりません。
そのうえで、現場の声を取り入れながら、守りやすく、意味のあるルールへと育てていく。
私は、そんな職場が増えてほしいと思っています。
今日の観察ポイント 🔍
皆さんの職場で、いつの間にか守られなくなっているルールはありませんか。
もし見つけたら、すぐに注意する前に、一度だけ考えてみてください。
「このルールは、守りやすい仕組みになっているだろうか?」
そこに、改善のヒントが隠れているかもしれません。
現場メモ 📝
「ルールを守らせる前に、守りやすい仕組みを考えてみる。」
人を変えようとするよりも、まず仕組みを見直す。
そんな小さな視点の転換が、職場を変える第一歩になるのではないでしょうか。
次回予告 📖
第9話「良いルールと、悪いルールの違いとは?」
同じように決められたルールでも、自然に守られるものと、いつの間にか形だけになってしまうものがあります。
その違いは、どこにあるのでしょうか。
次回は、仕事をしやすくするルールのつくり方について考えてみたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。