
「話が長い人」どう聞くのが正解?
ずっと昔の職場に、話の長い人がいた。
長いだけならまだいい。
話に山場も結論もオチもない。
つらい。
さっき見たLINEの未読バッジ。
これは多分急ぎ目の返事がいるやつ。
ささっと確認したい。
が、話が終わらないので
スマホをひらくことが出来ない。
頭は全然話とは別のことを考えていて
でも悟られないよう
まともな合いの手を返せる程度には聴いておく。
あ…
同じくだりをまた頭から話してる…
そうか、この人は環状線乗り入れタイプだったと気づく。
「すみません、おります。」
話を聴ける人?
辻褄の合わない
意味不明の吾子の繰り言なら
微笑んで聴けたのに
どうしても苦手だった。
ところが、同じ部署に
環状線の彼女の話を
いつも穏やかに聴いている女性がいた。
腕を組まず
時計も見ず。
ずっとうんうんと頷いている。
私にはできない芸当だった。
どうしてそんなに根気よく話がきけるのか、と聞いてみた。
するとことも無げに言った。
「あ、聴いてないよ」
求められていたものは
拍子抜けした。
でも、喋り尽くした彼女は満足そうだったし
私もまさか「聴いてない」などとは思わなかった。
そんな風に見えなかったし。
聴いていない人に話して、満足している。
私は真面目に内容を聞いて、消耗している。
あれ?どっちが正解??
私は、環状線の彼女の話を「聴こう」としていた。
理解しようと意識しながら、三周目の話に疲れていた。
同僚は、中身を聴いていなかった。
その人が「話したい」という事実だけを
受け取っていた。
そして、環状線の彼女が欲しかったのは
どうやら後者のようだった。
理解してほしかったのではない。
ただ、聞いて欲しかった。
「そうなんだね」と言って欲しかった。
私は相手が求めていないものを
真面目に差し出して
勝手に疲れていた。
あの技術が欲しい、と
切実に思った。
話を聴いていないのがバレない技術
ではなくて
相手が本当に何を求めているのか
読み違えない技術が。