
「河鍋暁斎の世界」展出品作⑮ 暁斎《鍾馗騎象図》明治零年代後半(1870年代中頃)

この記事では、7月13日から9月23日まで神戸市立博物館で開催される特別展「河鍋暁斎の世界 ゴールドマン・コレクション」の出品作について解説します(この展示に関してはYoutubeで解説動画を公開中です)。

今回取り上げる作品《鍾馗騎象図》でも、幕末・明治期の絵師・河鍋暁斎が描く象が登場します👇
この絵では、鍾馗が火をつけた枝を掲げながら、巨大な象に乗っています。

紙本着彩、ゴールドマン・コレクション
この象の傍らには、小さなふたりの鬼たちが従えられており、鍾馗の力の強さを示唆しています👇

さて、この絵では、瞳のような小さな部分だけが、墨の黒色で強調されています。

そして、人物と動物のモチーフは、ほとんどの箇所を赤色だけで表されています。

江戸時代の浮世絵には、赤い色だけで図を表した「疱瘡絵」というジャンルがありました。
「疱瘡絵」には疱瘡=天然痘を退ける役割が期待され、門や家の中に張ったり、病人の枕元に置いたりして用いられました。
そしてこれらの「疱瘡絵」の図をする色としては、古来魔除けの力があると信じられていた赤が全体に使用されました。

この象に乗る鍾馗の図にも、病気を退散させる効能が期待されていたと考えられます。

紙本着彩、ゴールドマン・コレクション
今回取り上げた作品を鑑賞することができる特別展「河鍋暁斎の世界」の解説動画を公開中です🎬
こちらもご視聴いただけましたら幸いです。