アル探2 〜心は何を探してる〜 #8
港の第6倉庫。
ア「ここか…前回の倉庫の隣じゃん…」
ガラッ
大「来たな!」
ア「菱野…いや、大越さん!」
矢「うぅ…」
矢田の首を拘束してナイフを突きつけている大越。
大「…あの男はどうした!」
ア「所長は連れてきてない。あなたが、所長と恋人なんてのは嘘だとわかってたから」
大「な…!」
〜〜〜
所「大越ひなの?」
ア「そのリアクションは、ほんとに知らなそうですね」
所「うん」
ア「やっぱり…おかしいと思ったんですよ。偽名の菱野ナオコって、本名のアナグラムなのに、私が気づいて所長が気づかないわけないって。だから、所長は大越ひなのを知らないんだろうなって」
所「なるほどね、そういうことか」
ア「所長もピンときましたか。"ひな"ってところに」
所「うん」
ア「川端晃菜のことに着目したり、岡本姫奈に彼氏がいるかどうか聞こうとしたり、"ひな"って名前に何かあるんですね?きっと、そこに矢田さんが関係してる」
所「お見事。その上で俺の浮気調査というていで矢田さんのことを調べてたんなら、合致する」
ア「教えてください」
所「俺が前に足怪我してたことと関係あるんだけど…」
ア「あぁ…あの仮病の?」
所「今その話はいいでしょ!いや、後半はたしかにフリだったけど」
ア「あれまだ許してませんからね」
所「その話はまた今度。ほんとに怪我してたの」
ア「それで?」
所「その時は矢田さんからストーカーの調査を依頼されて、調べてたんだよ。相手の素性とかもわかった後で、どうしようか相談したら、恋人のフリしてくれてって」
ア「そんなん無理でしょ〜所長の年齢じゃ」
所「俺も同じこと思ったけど。でもまぁやることになって。あれは、ストーカーに見せる用の写真だったってわけ」
ア「はぁ」
所「俺と矢田さんがデートのフリで歩いてて、歩道橋の上を歩いてる時に、ストーカーが接触してきたんだよ。で、矢田さんが逃げてる間に俺とストーカーが揉み合いになって」
ア「はい」
所「2人で階段から転がり落ちて…俺は途中で止まって捻挫で済んだんだけど、そのストーカーは下まで落ちてって救急車に運ばれた。意識不明の重体になったって。矢田さん以外にも近くに目撃者がいて証言してくれたおかげで、俺は正当防衛が認められたわけ」
ア「そんなことがあったんですね…」
所「それで、最近になって矢田さんが俺に話したいことあるって言ってきて、会ってたのがアルノさんが最初に尾けたあの時」
ア「話したいこと?」
所「ストーカーが階段から落ちた先に矢田さんがいたんだけど、意識を失う直前に『ひな…』って呟いてたんだって。矢田さんはそれを思い出して気になったらしくて」
ア「それって…」
所「まぁ、意識を失う直前だから、そのストーカーの大事な人ってところだよね」
ア「仮に恋人だとして…でも、恋人がいながらストーカーしてたってことですか?」
所「ストーカーの心理なんて知らないよ。その可能性もあるってこと」
ア「そのストーカーが今もまだ意識不明だとしたら…その恋人の"ひな"が…!」
〜〜〜
大「あの探偵は…!私の大切な人の命を…奪おうとした!」
ア「違う!ストーカーに対する正当防衛でしょ!」
大「そんな言い方しないで!彼が何をしてたかは関係ない。私にとっては、優しくて、愛してくれる、唯一無二の人なの…そんな人を入院に追いやって、まだ意識が戻らなくて…なのに、あの男とこの女は普通に生活してる?許されるわけないでしょ!?」
ア「待って!気持ちはわからなくないけど…その人の意識が戻るのを待って、話し合うしかないと思う。所長と矢田さんに復讐しようとするのは絶対違う」
大「来ないで!あなたに恨みはない…むしろ、この矢田の行動圏内を教えてくれたおかげで、こうやって拘束できてる。こいつを人質にして、あの男に復讐するためにね!早く、あいつを連れてきて!じゃないと、この女とあなたのことも…」
ア「大越さん…」