
朝思いついたアイデアが、夜にはアプリになる。コードを書けないデザイナーが、AIと200以上のツールを作ってわかった「超高速」開発術【2026年改訂】
2026年8月・大幅改訂
この記事を最初に書いた2025年末、僕の開発環境はGeminiとClaudeが中心でした。それから公開ツールは200以上に増え、現在はAnthropicのClaudeを約8割、OpenAIのGPT系を約2割の感覚で使っています。Geminiは、今の僕の制作ではほとんど使わなくなりました。
ただし、これは「Geminiは使えない」「Claudeが永遠に一番」という話ではありません。AIの性能、料金、画面、得意分野は短期間で変わります。実際、この記事自身がその変化を経験しました。
そこで今回、特定のAIをおすすめする記事から、主役のAIが変わっても使える制作方法へ改訂しました。第8章のGeminiのスクリーンショットは、初稿時に本当にその場で作った記録として残しています。
はじめに:コードを書けなくても、アイデアを「動く形」にはできる

「こんなツールがあったら便利だな」「こういうテイストのお絵描きツールがあったら面白そうだな」
クリエイターなら誰しも、そんなアイデアを思いつく瞬間があるはずです。
以前の僕は、そのアイデアを頭の中で転がしただけで終わらせていました。「自分にはプログラミングの知識がないから」「エンジニアに頼むとお金も時間もかかるから」。そんな理由で、形になる前に諦めていたのです。
僕はグラフィックデザイナーであり、Webの知識は多少ありますが、複雑なアプリケーションをゼロから書けるエンジニアではありません。
それでも今は、ロゴのブランドガイドラインを生成するツール、大阪・関西万博のキャラクターを描けるツール、自分で描いた機体の形によって武器が変わるシューティングゲームなどを公開しています。
ロゴのブランドガイドラインを一瞬で生成できる『簡単ロゴ・ブランドガイドラインメーカー』。
ロゴやブランドの【ガイドライン】を簡単に作れたらいいなぁ…と思い、今日仕事しながらGeminiと一緒に作ってみました。いい感じに完成まで持って行けたので、公開します。登録不要&無料ですぐ使えます。 https://t.co/ZuCdsurGGw pic.twitter.com/9aSwJkIJSN
— トミナガハルキ | フリーランス歴10年な人 (@asobodesign) December 2, 2025
大阪・関西万博のキャラクターを簡単に描ける『かがやきメーカー』。(大阪・関西万博デザインシステムを担当された引地さんにもRTしていただき、会期内は多くの方に利用いただきました。)
"こみゃく"が簡単に描けるお絵描きツールを公開しました!万博の思い出を楽しくしたり、プライバシーを可愛く保護したりできます。無料で自由にご利用可能ですが、"こみゃく"を描いた画像は万博の【二次創作ガイドライン】に従って利用して下さい。#こみゃくhttps://t.co/7ppCYy9e3Y pic.twitter.com/j1vrheiKXR
— トミナガハルキ | フリーランス歴10年な人 (@asobodesign) June 3, 2025
※後日談:何とこちらは、有名なデザイン誌「ブレーン」でも取り上げていただきました。
僕が制作したドローイングツール「かがやきメーカー」が、先日発売されたブレーン2月号で紹介されました。デザイナーとして長く親しんできた雑誌に、自分の作ったツールが記録として残ることは素直に嬉しい。
— トミナガハルキ | フリーランス歴10年な人 (@asobodesign) December 28, 2025
「面白そう」という衝動に従うこと。『ブレーン』掲載に寄せて。https://t.co/kLEzdGinH0
『Draw Shooter』のようなゲームや、特殊なお絵描きツールには、演算や当たり判定などの処理があります。以前の僕なら、作り方を調べるだけで諦めていたと思います。
ところが今は、「何か月もかけて」ではなく、数日、時には数時間で試作品まで持っていけます。
朝に「あ、これ面白そう」と思いついたものが、その日の夜にはブラウザで動いている。この速度で試作を重ね、初稿時に30ほどだった公開ツールは100を超え、現在は200以上になりました。
描いた機体によって攻撃スタイルが変わる"DRAW SHOOTER"というゲーム作りました。プレイ中にも描きなおしができ、状況に応じてに戦い方を変えるというコンセプトです。ClaudeとGeminiで半日。
— トミナガハルキ | フリーランス歴10年な人 (@asobodesign) May 27, 2025
良かったら遊んでみてください。https://t.co/eul5bZlDqz pic.twitter.com/X4DCnaBuyl
その裏には、公開に至らなかったものや、途中で別の形へ作り直したものも大量にあります。でも、それでいいのです。大きな費用をかける前に作って触り、面白いものを育てる。この身軽さが、AIと作る大きな魅力です。
この記事では、コードを書けなかったデザイナーの僕が、どのようにAIと相談し、アイデアを動く形へ変えているかを紹介します。
対象にしているのは、HTML・CSS・JavaScriptを中心にブラウザで動く、比較的シンプルなツールです。ログイン、データベース、決済、PHPなどのサーバー処理、個人情報を保存するサービスは、別の設計と確認が必要です。
最初からターミナルや複雑な開発環境を覚える必要はありません。ただし、作るものが大きくなれば、それらが役立つ場面もあります。この記事は「難しい環境を永久に使わない方法」ではなく、アイデアを試す最初の一歩を軽くする方法として読んでください。
最後の第8章では、初稿を執筆しながら、その場でアイデアを出し、Gemini Canvasで試作品を作った記録を残しています。現在の主役は変わりましたが、アイデアを言葉にして、触って、直すという流れは変わっていません。
2時間前にnote読んだだけでBEFORE&AFTER切り替え付きの疑似3D展示つくれちゃった。 https://t.co/fpmJlPCVbL pic.twitter.com/SS90czDRMa
— パパ📦Photoshopダンボール (@StudioT_ppp) March 4, 2026
ハッピーな気持ちで1日のtodo管理ができる「HAPPY BLOOM」というアプリを作ってみました。お花を咲かせるようにひとつひとつのタスクをこなすことができます。
— むー|手作りおもちゃとゆかいな工作 (@muu_tamtam) March 5, 2026
はじめてのアプリ作りとっても楽しかった!拙いところがあるとは思いますが、よければ触ってみてください🌷https://t.co/3x39cAoIcI https://t.co/ixEVUnmIMs pic.twitter.com/wmooCKC7yq
記事を購入して実際に指示通りにカラーパレットツールを作ってしまった!デザイナーの背中を押してくれるnote。
— 金 成奎 (@seikei_kin) December 4, 2025
朝思いついたアイデアが、夜にはアプリになる。コードを書けないデザイナーが、AIと30以上のツールを作ってわかった超高速開発術|トミナガハルキ@asobodesign https://t.co/jpibDV7apW
台割メーカー作れた…書籍制作してる時に欲しかったやつ…!! https://t.co/feyCTrSWd6 pic.twitter.com/Z2FgArI3XG
— 久本晴佳|デザイナー (@hi_sa_ko__) March 6, 2026
第1章:なぜ「HTMLベース」なのか? 最初の試作を軽くする方法
Webアプリ開発の入門記事を読むと、Node.js、React、GitHub、ビルドツールなど、たくさんの言葉が出てきます。
これらは便利な道具ですし、規模が大きくなれば必要になることもあります。ただ、最初の目的が「頭の中のアイデアを今日中に触ってみる」なら、すべてを先に覚える必要はありません。
僕が最初の試作でよく選ぶのは、`index.html` を土台にする形です。
AIには、次のように前置きします。
HTML・CSS・JavaScriptを中心に、ブラウザで動く形にしてください。最初は構成を小さく保ち、必要になったらファイルを分けてください。
これは「1つのHTMLへすべてを無理やり詰め込む」という意味ではありません。最初は `index.html` にまとめ、長くなったら `style.css` と `script.js` へ分ける。説明ページが必要なら `about.html` を追加する。小さく始め、必要になったところだけ広げます。
1. 「フォルダ」がそのまま試作品になる
小さなツールなら、フォルダの中にHTML、CSS、JavaScript、画像などを置くだけで構成できます。コードを保存し、ブラウザを再読み込みすれば、すぐに変化を確認できます。
単純なHTMLはダブルクリックでも開けます。ただし、JavaScriptのモジュール、`fetch()`、Worker、WASMなどを使うと、ローカルサーバーが必要になることがあります。その場合も、エラーを無理に理解する前に、AIへ「ローカルで確認する最小の方法を教えて」と聞けば構いません。
大切なのは、複雑な環境を避けることそのものではなく、作りたいもの以外の準備で最初の勢いを失わないことです。
2. AIと人間の両方が構造を追いやすい
小さなフォルダ構成なら、「土台はHTML、見た目はCSS、動きはJavaScript」と役割を分けやすくなります。
AIへ修正を頼むときも、関係するファイルを限定できます。
今回はボタンの見た目だけを変更してください。処理部分のJavaScriptは変更しないでください。
このように範囲を絞ると、頼んでいない機能まで変わる事故を減らせます。ファイル数が少ないことより、どのファイルが何を担当しているか説明できることが重要です。
3. 「公開しない」という選択肢を持てる
作ったものを、必ずしも世界へ公開する必要はありません。
自分だけが使う計算機、定型作業を補助するツール、アイデアを確かめる試作品。そうしたものでも十分に価値があります。公開しないなら、紹介ページやSNS告知を作る前に、自分の作業が本当に楽になるかを確かめられます。
ただし、「ブラウザ内で動く」「自分のPCへ置いている」だけで、自動的に安全になるわけではありません。外部フォント、ライブラリ、アクセス解析、外部APIなどを読み込んでいれば通信は発生します。機密情報や個人情報を扱う場合は、組織のルールと専門的な確認を優先してください。
HTMLベースは万能な正解ではありません。僕にとって、小さな試作を速く始めるための選択肢です。
第2章:AIへ課金する前に、「役割」を決める

無料のAIでも、最初の小さなツールを試すことはできます。いきなり複数サービスへ課金する必要はありません。
一方、制作を何度も続けると、長いコードを扱える量、応答回数、思考時間、ファイル操作、会話の継続性などが作業時間へ直接効いてきます。その段階では、有料プランを「魔法への課金」ではなく、制作時間を短くするための道具代として考えると分かりやすいです。
この記事の初稿では、ここから「GeminiとClaudeが最強の布陣」と書いていました。しかし、現在の僕の使い方は変わりました。
ここから先では、2026年8月時点の使い分けと、AIの主役がまた変わっても残る考え方を紹介します。