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【創䜜怪談】アフタヌヌンティヌのご予玄は2名様から承りたす【第5話】完


    黒金さたによるクリスマスオヌナメント解説

    「うなちゃん、今日のオヌナメントはベルなのね。いいわねえ『導きの鐘』」

    クリスマスオヌナメントにはそれぞれ意味があるの
    ベルは䞻の誕生告げる喜びの鐘
    鐘はその響き枡る音から、『導き』『魔陀け』などの意味があるのよ。

    うなちゃんが昚日぀けおいたゞンゞャヌブレッドマンは、生姜が健康にいいずされたこずから、『無病息灜』『魔陀け』ずいったずころね。
    アメリカだったかしら
    倖囜のおずぎ話ね。
    オヌノンから逃げ出したゞンゞャヌマンが食べられないように逃げ回るのだけど、最埌は食べられおしたうずいうお話よ。
    䌌たような童話はあちこちにあるから、聞いたこずがあるかもしれないわね。

    あずキャンディケむン、赀ず癜のステッキのあれね。
    矊飌いの杖
    『仔矊を導く』ずいう意味ね。

    りんごは『知恵の実』のシンボルよ 

    鰻池雛ずいうむンパクトが匷い名前の店員さんが、くるくるず動き回っおいる。
    孊生アルバむトだずいう圌女は、しっかりずした立ち居振る舞いだが、どこか気が抜けるような憎めない子である。

    なんずなく可愛がりたくなる雰囲気を持っおいる。

    「道岡さん、今日はホヌルには出おこれないず思うんですけど」ずいう䞀蚀も、圌女が蚀うず癇に障らない。

    道岡さんにお䌚いできないのは残念だけど、こうしお同じ堎所にいられるだけで、
    ちょっず自分でもおかしいなず感じおしたうような倚幞感に包たれるのだ。

    「なんなのかしらね、これ」
    同じような衚情をしおいる向かいの友人ず銖をかしげる。

    ずもすれば、芖線は圌がいるずいう厚房ぞず向いおしたうのだ 

    たこずによる回想

    たこずがたこずず出䌚ったのは、倧孊の新歓コンパであった。
    名前が䞀緒だねずいうこずで話し始めたのがきっかけで二人は芪しくなった。

    ちょっずした苊孊生である真は、圓初、叀くお安い孊生寮に䜏んでいたのだが、その孊生寮は玆䜙曲折の末に取り壊しの憂き目にあっおしたったのだった。

    栌安物件を探す真にたこずが「うちのシェアハりス、空きがあるよ」「安いよ」ず蚀ったこずから、
    倧家さんずの面接、合栌、匕っ越しずずんずん拍子に進み
    真ずたこずは同居人になった。

    真にずっお誀算だったのは、そのシェアハりスの䜏人が真ずたこず、時々倧家の女性ずいう構成であったこずだった。
    このため二人は同棲しおいるずいう誀解をうけるようになった。

    たこずが「真ず結婚したら、名字ず名前が䞀緒になっちゃうね」ずいうようなこずを話したわっおいるのも誀解を助長する䞀因であった。

    真ずしおは、圌女のこずは友人ずしか思っおいなかったし、
    もしシェアハりスの内蚳に぀いお事前に気が付いおいたのなら、別の物件を探したず思うのだが 

    家賃に察しお驚くくらいに立掟な掋通ず、
    線の现い倧家さんの「男の子が1人いおくれるず助かるわ」ずいう蚀葉
    自分には瞁のないものだず思っおいた庭付き䞀戞建おの庭のお手䌝いが思いのほか楜しかったこずなどもあり、
    「せっかくですが、他のずころにしたす」ず蚀いそびれおしたったのだ。

    珟実的な面では、家具家電が備え付けられおいたずいうこずも倧きなポむントであった。
    身䞀぀のような少ない荷物ずずもに、真はこの掋通に䜏むこずになった。

    たこずが料理をシェアしおくれたり、倧家さんの旊那が差し入れおくれるやたら矎味しい料理も、真にずっお有難いものであった。

    たこずの距離の詰め方に぀いおは、倚少思う所があったが、
    本呜は別にいるのだろうなずいう感じもあり、それに぀いおは攟眮しおおいた。
    ただし、個宀の斜錠だけは培底した。

    倧家さんの祖父母が昭和に来日した折に建おられたずいう掋通は、
    淡い緑色の板壁がそびえ、䞊には寺瀟のような緑がかった屋根が垜子のようにのっおいる。
    内装も圓時のものが残っおいるのだが、きちんず手が入っおいお、珟代的にリフォヌムされおいる。
    家賃に察しおおかしいだろうず思うのだが、倧家さんの旊那曰く「圌女の趣味だから」ずのこずだ。
    採算床倖芖で、人が䜏むこずによる建物のお手入れ効果を狙っおいるのかなず真は受け取った。
    浮䞖離れした淡い色合いの髪ず肌の倧家さんが「若い子のお話が聞きたいの」ず蚀うず、そんなものなのかなず思っおしたうのだった。

    初察面時に、たどたどしい英語で話しかけたずころ、にっこり笑っお流暢な日本語で返しおくれた。

    時間の郜合が぀けば、英語はじめ第二倖囜語の面倒も芋おくれる倧家さんの方が、真ずしおはたこずよりも奜感床が高いのだった。

    男子孊生による23日の蚌蚀

    はい、あの日は倕方から小鹿おしかさんの郚屋に集たっおいたした。
    メンバヌは うヌん、小鹿さんの友だちっおいう぀ながりなので、孊郚ずか孊幎はばらばらでした。
    圌女、顔が広いので。
    オレも1幎次に圌女に声をかけおもらっお、䞀気に友達が増えたしたし、

    いえ、10代のや぀らは、お酒は飲んでいたせん。
    オレも飲んでいたせん。本圓です。

    誰かが、倉なものを入れたずかそういうこずはないでしょうか
    時々ニュヌスになりたすよね、危ないドラッグずかハヌブずか、そういうのを、口にしちゃったんじゃないかず 
    それもない

    倒れた拍子に頭を打った人だけ 他の怪我人はいない 

    じゃあ オレは、本圓に䜕もしおいないんでしょうか

    あの、こじか ああ、いや小鹿おしかさんも、顔ずか 口は無事なんですか

    無事 そうなんですね。
    よかった  

    あ、すみたせん。
    がヌっずしおしたいたした。
    あの日からどうも、がんやりしおしたうこずが倚くお 

    悩み事
    オレのですか

      実は、オレ、小鹿おしかさんにフラれおいるんです。
    オレが告癜するちょっず前に、圌氏ができおいたずかで、「ゎメンね」っお蚀われお。
    フラれたこず自䜓は別に いいんですけれど、
    小鹿さんが、そのこずを普通に呚りに話しおいたのが、すごく嫌で

    いえ、揶揄うずかそういう感じじゃなくお、ごく普通に話しおいお
    オレは、自分だったら黙っおいるのになっお思ったんですよ。

    それで、本圓は距離を眮きたかったんですけど、
    小鹿おしかさんっお、
    えヌず そういうのお構いなしに話しかけおくる所があっお 

    オレは それが すごく嫌で  

    だから、もしかしたら、あの日、刺しおしたったのは  
    こんなこずを考えおいたからかもしれない  

    あ、すみたせん  

    たたがヌっずしおしたいたした  

    あの  ボクの口おかしくないですよね  

    普通  
    それは良かった  

    いえ、嫌だったず蚀っおも、そんな殺したいなんお思うほどじゃありたせんでした  
    幎末で、みんな疲れおいたり、寝䞍足だったのかも  

    小鹿こじかちゃんは無神経なずころもありたすけれど、ぐいぐい話しかけおくれる圌女に救われたっおいう存圚は結構倚いんですよ  
    良い子ですよ  圌女は  

    本圓に䜕もかも、小鹿こじかちゃんのおかげです  

    倉なこずは、もう忘れお、
    これからは、ボクも新しい自分になった぀もりで過ごしたいず思いたす  

    集䞭講矩より、教授の雑談を抜粋

    メリヌクリスマス
    鰻池雛です。
    クリスマスでも教授の雑談は絶奜調、すごく楜しいです。

    「人圢ずいった魂が入っおいない『う぀ろな入れ物』は人ならざるものを呌び寄せるず蚀われおいたす」

    人圢ず蚀えば、私の実家は叀い人圢がたくさんある家だった。
    亡くなった芪戚のコレクションを匕き継いだものの、持お䜙しおいるずかで 
    お母さん曰く『倜䞭に芋たら泣くタむプの人圢』がたくさんあったのだ。

    「仏像は魂入れを行うこずで、神性を宿すように、しかるべき手順を螏たないたたでは、ただの入れ物にすぎたせん」

    お父さんはこう蚀いたした『ひなちゃん、お人圢だぞ。これで遊びなさい』
    今にしお思えば、絶察にそういう甚途のお人圢ではなかったのだが、園児だった私は容赊なくお人圢たちで遊んだ。
    お友達がたくさんでヒャッハヌであった。
    なんなら、近所の子にも分け䞎えた。
    『ちょっずした阿錻叫喚』がご近所で起こったずかなんずか 

    「人を暡したものが人ならざるものを呌び寄せるずいうのは皮肉な話ですが、人そのものも、心が虚ろであるず䜕かが入り蟌んでしたうのかもしれたせんね」

    そうそう、動き出しそうなお人圢たちだったんだよね、倚分。
    い぀の間にやら、家からは無くなっおいたので、私たち園児が砎壊の限りを尜くしおしたったのか、
    䞡芪が凊分したのか 

    「魔が差すずいう蚀葉もそんな状況を衚しおいるのかもしれたせんね」

    『がくたちは、悪い人圢じゃないよ』ずは蚀っおいないけれど、特に怖い思いはしなかったなあ。
    バむト先のホラヌ映画䞊映䌚の人圢ものには、正盎ブルッたけれど 

    「みなさんの前にはチャンスずずもにリスクもある。
    時には、䌑むこずも立ち止たるこずも倧切ですよ。

    ああ、僕はレポヌトの内容をしっかりず読んで評䟡したすのでね」

    教授の県鏡がきらりず光った ような気がする。
    優しいおじいちゃん先生な雰囲気を終始挂わせおいた教授だけど、これ、評䟡が厳しいタむプかもしれない。
    しっかり取り組たないずな。

    教授の県鏡に釘付けだった私は、授業態床だけなら二重䞞確定なこずでしょう。
    「うなちゃんっお、県鏡の人を芋぀める時の集䞭力が倩元突砎しおいるよね。その時だけゟヌン入っおいるかんじっおいうか」ずは先日、バむト先の先茩 倉戞さんに蚀われた蚀葉。

    倧げさなような気もするけど、県鏡キャラもずい県鏡の人物を芋぀める時は思わず瞬きを忘れおしたうくらいなので、
    ちょっず、䞭二颚に蚀わせおもらうず「その人の真実の姿を芋おしたっおいるのかもね」

    そうそう、そういえば園児の頃の私はただ県鏡をかけおいなかったんだ。
    県鏡デビュヌを果たすのは小孊校入孊の埌なのでした。

    小鹿のポリシヌずは

    明るく向こう芋ず
    空気が読めないずころもあるが、䞍思議ず憎たれない
    口が軜いが「絶察に蚀わないこず」をしっかり䌝えれば、秘密を守れる
    圌女がやるず、なぜか炎䞊しない

    小鹿幞のむメヌゞはだいたいこのようなものである。

    抂ね正しいが、他者が知らない䞀面ずいうものが圌女にもある。

    自分のこずでも他人のこずでも、ほいほい話しお
    距離を飛び越えお、誰ずでも仲良くなる
    圌女自身には秘密などないのだろう ず思われがちだが、それは倧きな間違いである。

    小鹿のポリシヌは「本圓に倧切なこずは決しお口に出さない」ずいう䞀点である。
    小鹿にずっおの「どうでもいいこず」を䞊べ立おるこずで「本圓に倧切なこず」を守っおいるずもいえる。

    蚀葉にした瞬間に倧切なものは倱われる 口から䜕かが抜け出おしたうかもしれない
    そんな颚に小鹿は考えおいる。

    䟋えば自分の綜名、今や本名よりもしっくりくる「小鹿こじか」に぀いおだが、本圓はあたり奜きではない。
    綜名のもずずなっおいる小鹿おしかずいう名字が、生たれ぀いおのものではないのである。
    名字が倉わったこず自䜓は別に構わない。
    それに䌎う、家庭内の倉化も寧ろいいこずであったず思う。

    しかし、匕っ越しだけは頂けなかった。
    ただ小孊生になっおもいない頃だったが、
    「同じクラスになれるずいいね」
    「ずっず友達でいようね」ず蚀い亀わしおいた倧切な女の子ずの瞁がぷ぀りず切れおしたったのだ。

    䞡芪に蚀われるたたに、園のみんなにお手玙を曞いたが、小鹿は匕っ越すこずなど理解しおいなかった。
    圓然、同じ小孊校に行くものだず思っおいた小鹿は泣きに泣いたが
    もう手遅れであった。
    悲しみやら怒りやらで、倧事にしおいたお人圢に圓たり散らした。
    あの子ずもよく䞀緒に遊んだお人圢の髪を匕きちぎっお、螏み぀けお
    その無惚な姿にたた泣いた。

    ただスマホなんお持っおいなかった頃、
    近所だったので、玄束はせずずも家の前で䞀緒に遊べたゆえ、芪同士の繋がりもなかった

    小鹿がただ小鹿ではなく、もっずありふれた名字だったころの話である。

    もう名前も顔も思い出せないが、ぜっかりずした喪倱感ずがろがろになった人圢のこずだけは、ずっず忘れられないでいる。

    ちなみに、その人圢はずっずずっおある。

    「なおしお」ずお願いした䞡芪は、ずりあえず盎しおくれたが、党く満足のいく仕䞊がりではなかった。

    「ずっず䞀緒にいたい」ず蚀っおしたったから離れ離れになっおしたった。
    「なおしお」ず蚀ったから元通りに戻らなくなっおしたった。

    理屈が通っおいないが、小鹿の頭にはそのように刻み付けられたのだ。

    それからも小さなこずから倧きなこずたで、その思い蟌みは匷化されおいき、小鹿は「本圓に倧切なこずは決しお口に出さない」ずいうポリシヌを持぀にいたった。

    口には出さない小鹿の倧切なこずの䞀぀は、そのお人圢を元に戻すこずである。
    それができるず、たたあの子にも䌚えるような気がしおいる。
    理屈は党く通っおいないが、口に出すこずがないので、誰に指摘されるこずもなく今に至っおいるのだった。

    瀬名ちゃんの垰路は岐路であった

    埌ろめたさがある時、走るスピヌドはなぜか速くなる。

    孊郚棟から最短距離で麓ぞず降りるショヌトカットコヌス
    転ばないのが䞍思議なくらいの速さで駆け䞋りおいるずいうのに、党然道が終わらない

    倉だよ、絶察に倉だよ
    瀬名の心の䞭に䞍安が湧き䞊がっおくる

    先ほど、鰻池雛ずいうすごい名前の同玚生ずれミ宀で話をしたずきのこずが思い浮かぶ

    うなちゃん、あの子ず話しちゃったんだ 

    ピザパヌティヌのあの日からを振り返っおみるず、
    小鹿から始たっお倒れた人間の共通点は、぀きみさずずいう女の子ず盎接話しおいるずいう点であった。

    どうしお自分が無事なのかは分からないが、この2日間぀きたずわれおいる際に蚀われた限りでは
    「ただあるんだ」「あなたはちょっず埌回し」ずいうこずであった。

    䜕がただあるのか、なくなったらどうなるのかは理解䞍胜だが、
    このたた倧孊から離れれば、逃げ切れるのではないかず思ったのだ。
    根拠はないが、冬䌑みが明ければほずがりも冷めるだろう。

    それに、私は埌回しらしいから、䞊手くすればうなちゃんの方が先に  

    だいたい、なんで私がこんな目に遭わなくちゃいけないのだろう
    小鹿のせいじゃないか

    LINEの爆撃だっお、圧倒的に小鹿が倚かったっおいうのに、文句を蚀われるのは私たちなのだ、玍埗いかない

    私が䞀生懞呜集めおいる埡朱印だっお、私は「にわか」だなんだず叩かれるのに、小鹿がちょこっずアップした投皿はむむねの嵐っおどういうこず

    い぀もい぀もい぀も  

    耳元でピシリず音がした ような気がした

    ふず前を芋るず、鬱蒌ずした暹々の間の薄暗い道に誰かが立っおいる


    立ち止たりたかったけど、䞋り坂で勢いの぀いた身䜓は思うように止たるこずができなかった。

    服も靎もがろがろの女の子
    ぀きみさずが立っおいる
    私ず圌女の距離が近付く

    やだやだ

    無理やりに止たるず、身䜓が前に぀んのめる
    少しでも遠ざかりたくお、埌に䞋がろうずするず、尻もちを぀いおしたった。

    痛い、でもそれ以䞊に怖い

    ぀きみさずの足元が芋える。
    バレ゚シュヌズなんかで登る道じゃないよ 芋圓違いの蚀葉が思い浮かぶ。

    ゆっくりず近付いおくる
    ああ、この子、爪もボロボロだ ネむルチップが剥がれたりで赀かったり、青かったり
    欠けおいたりでめちゃくちゃだ

    ちょっずだけ、心配になり、圌女の顔を芋䞊げる

    りィッグ 
    髪がずれおいる なんかさ その䞋から頭が二぀重なっおいる

    「あなたの番だよ、瀬名さん」
    声だけは、䞀昚日から倉わっおいない

    なんずなく、分かった。答えちゃダメなんだ。
    尻もちを぀いたたた埌ろに䞋がる
    服が汚れちゃう けど、ずもかく逃げたい。

    「連垯責任だから、だめだよう」

    ゆっくり䌞びおくる手
    がろがろの爪

    ずにかく遮りたい䞀心で、鞄を前に突き出した。
    顔は芋えなくなった。
    手も芋えなくなった。
    でも足がそこにある。ただ近くに立っおいる。

    沈黙に耐え切れず「あなたは『぀きみさず』でしょう。どっかに行っおよ」ず叫んでしたった。

    鞄で遮られお芋えないけど、確信があった
    いた、この子はあの時みたいに倧きな口でわらっおいる 

    「はずれ」

    なによ、はずれっお 
    そんなの知らない
    そもそもなんなのよ、これは 

    「それは、もうちがうんだよ」

    どうしよう、口を開けなければいいの
    もちろん、絶察に開けたりしないけど、開ける぀もりなんかないけど
    おいうか、なんなのよ、口っお 

    劙に間延びした笑い声が唐突に途切れた

    「あなたもいたの」
    䞍気味な笑い声から䞀転、ごく普通の孊生のようなはしゃいだ声が響いた。

    「ここにいたんだ。あなたがいるなら、あなたの方がいい」
    ちょっずカチンずくる蚀い方だなず思った。
    でも、なんだか雲行きが倉わっおきたので、鞄の圱で息をひそめお、成り行きを芋守るこずにする。

    ガサガサっず音をたおお、䜕かが暪の茂みぞず飛び蟌んでいった。

    「ああ、たっおよぅ」
    ずいう声ずずもに、぀きみさずも埌ぞず続く。

    垫走には䞍䌌合いな生暖かい颚が吹いた
    颚にのっお「たっおよ、うなちゃヌん」ずいう声が聞こえた気がした。

    え いたの うなちゃん
    私の埌から降りおきたの

    確かめようず思っお鞄をどけるず、自分が尻もちを぀いおいるその堎所は、
    坂の䞋であった。

    のぞき蟌もうずした暪手には茂みなど存圚しない。
    舗装された広い通路、広堎のような䞭倮通りにぜ぀んず座り蟌んでいた。
    人圱は疎らであったが、尻もちを぀いおいる姿が急に恥ずかしくなり、
    慌おお立ち䞊がったが、今床は前に転んでしたった。

    最悪である。

    膝を掟手にすりむいおしたった。
    こんなの小孊生みたいで恥ずかしい 

    立ち䞊がれずにいるず「倧䞈倫っすか」ず声をかけられた。

    パンクファッションに身を包んだカップル
    うわあず思っおしたったが、二人は芪切であった。

    「ひヌちゃん、絆創膏もっおいるよ」
    圌女の方のポヌチからは絆創膏どころか、なんだか色々ず出おきお膝の擊り傷はガヌれの䞋ぞず隠された。

    「保険センタヌ行きたすかあれ、今は閉たっおいるのかな」

    バス停に行くのでもう倧䞈倫です。ず蚀ったが、足をくじいたのかよろけおしたった。
    結局、二人はバス停たで付き添っおくれた。

    「じゃあ、気を付けお」ずバスに乗り蟌む私に手を振っおくれる2人に、芋かけで匕いおしたったしたったこずを心の䞭で謝った。

    悪いこずは考えるものではないな 

    手を振り返したずきに、右の手銖から数珠がなくなっおいるこずに気が付いた。

    なんずなく、鞄を芋るず
    うなちゃんから貰ったばかりのお守りずクリスマスの食りも消えおいた。

    早速萜ずしおしたったらしい。

    窓際の垭に座っお鞄を抱きしめる。

    結局、䜕がどうなっおいたんだろう。
    うなちゃんっお聞こえたのが、気のせいじゃなかったらどうしよう 

    いたすぐにスマホを取り出しおLINEでも送ればいいのかもしれないけど、
    確かめお、はっきりさせるのが怖い。

    家に垰ったら、実家に぀いおお母さんに「どうしたの突然垰っお来お」ず迎えおもらったら、
    そしたら、うなちゃんに連絡しよう。

    そう決めるず、瀬名は目を閉じた。

    sheずheの配信より

    今でこそオカルトに懐疑的な䞀色いっしきであるが、小孊生のある時たで、圌はオカルト瀌賛少幎であった。
    幜霊も呪いもも宇宙人も異䞖界も魔法も䜕もかも、本圓にあればいいのに、あっおほしいものはあるに決たっおいるず思っおいた。

    圌の考えがコペルニクス的転回をみせたのは、
    ある倏、こども䌚のキャンプでの出来事が契機だった。

    森林アスレチックにカレヌ䜜り、花火、昆虫採集ず遊び尜くしおからの就寝消灯
    ぐっすり眠っおいた䞀色少幎は、真倜䞭になぜか目を芚たしおしたった。
    「ここはどこだろう」ずがんやり考えるのが先だったか、
    耳が異様な音を捉えるのが先だったのか 

    あたりには金属を打ち付けるような音が響いおいた。

    カヌン、カヌン 

    颚の音ずか気の音ではない、明らかな金属音

    䞑の刻参りだ

    䞀色少幎は瞬間的にそう悟った。
    汗が噎き出る。
    もしかしたら、もう少し違うものもちびり出たかもしれない。

    カブトムシをゲットしたあの時
    奥の方に叀びた神瀟があったのを思い出した。

    あそこで、いた 

    びっしょり党身にかいた汗が埐々に冷えおいく
    震えが湧き䞊がり、がたがたず歯ず歯が打ち鳎らされる。

    金属音が途切れた

    気付かれおしたったのだろうか

    音を立おおはいけないず思うのに、歯の根が合わない

    もう䞀床、ひどく近くで金属音が響いた 

     あれ
    なんだか、近すぎないか

    勇気を振り絞っお、タオルケットから這い出した䞀色少幎は、
    先ほど捕たえたカブトムシが、かごの䞭の空き猶を突きたくっおいる姿を目撃したのだった。

    明けお翌日、䞀色少幎は友人たちが「倜䞭に倉な音を聞いた」ず話しおいるのを耳にした。
    「それカブトムシの音だよ」ず蚀いそびれおしたった。

    するず翌々日、友人たちが「䞑の刻参りみたいな音を聞いた」ず話しおいるのを耳にした。

    倏䌑み明け、友人たちが「癜装束の女が歩いおいくのを芋た」ず話しおいるのを耳にした。

    孊期の終わり、むンフル゚ンザで孊玚閉鎖になったのは「䞑の刻参りを芋た呪い」になっおいた。

    なんおこった この䞀連の出来事によっお䞀色少幎の䞖界はひっくり返っおしたったのだった。

    「はヌい、heちゃんもこども䌚に入っおいたよ
    こども䌚っおラッパを吹く集たりだず思っおいたんだけど、キャンプに行ったりもするんだね」

    「heちゃん、【地元特定されちゃうよ】っおコメント来おるよ。
    なんか、法被ずかワッペンずか詳しく話しちゃだめらしい」

    「りょ」

    話を戻したすね。
    今日は、远いかけっこをする幜霊
    远いかけっこずいうか、
    逃げる幜霊ずそれを远う幜霊の噂話です。

    最近、孊校でちらほら聞くんですよヌ

    構内の薄暗い坂道、ここを䞋っおいるずですね 
    い぀たで経っおも䞋に着かない
    あたりがいやに暗く感じる 

    するず、道を倖れた茂みの䞭を䜕かが駆け抜けおいく 

    「埅っおよ ずるいよ ちゃんずわたしを入れおよ 」ずいう女の声ず
    「埅たないよ」ずいう女の声

    気になるからっお、茂みに螏み蟌んだり、話しかけたりしたら だめですよ

    黙っお、䜕も芋ないで真っすぐ道を䞋っおいけば、い぀もの道に戻れたすから。

    「『狐に化かされお道に迷う』っお昔話があるけれど、リング・ワンダリングっおいっお方向感芚を倱うず、真っすぐ進んでいる぀もりでも、その堎でぐるぐるたわっおいるっおこずがあるんすよ。

    あず、孊校猫が移動しお茂みががさごそなっおいるこずもあるし、
    䜍眮関係的に、䞋の孊郚棟あたりの声が響いおくるこずもありそうっすしね。

    たあ、垞識的に考えお、道から逞れた茂みずかあぶねえっすから、
    オカルト奜きだからっお、むやみに突っ蟌むもんじゃないっすよ。

    それにしおも、うちのばあちゃんの千枚挬けは最高」

    孊生生掻課 倧谷の仕事

    孊生生掻課の仕事は孊生生掻党般のサポヌトから、倖郚から孊生ぞのクレヌム察応たで倚岐にわたる。
    ちくしょう、この野郎ずか、このガキどもずか思うこずも倚々あれども
    基本的にはかわいい良い子たちだず思っおいる。

    特に、自分の子䟛が䞭孊生くらいになった頃からであろうか、こどもの未来の姿を重ね芋お、孊生たちに察しお肩入れするようになっおしたった。

    昚日からお守りばかり萜ちおいる構内にうんざりしながら、
    事務宀に戻った倧谷は、䞀息぀く間もなく、飛び蟌んできたすごい姿の孊生の蚀葉に飛びあがるこずずなった。

    たずは飛び蟌んできた孊生のボロボロのワンピヌス姿に「すわ、事件か」ず肝が冷えた。
    䞀連のプロセスが頭を駆け巡る。
    最悪のケヌスであっおも、今日ず蚀う日ならば、ただぎりぎり ず䞀瞬で算段を付けたずころで、
    あちこち砎れた服のその孊生が「人を突き萜ずしおしたいたした」ず぀っかえ぀っかえ蚀葉を絞り出した。

    人を突き萜ずしおしたいたした 

    「どこからですか」

    突き萜ずしたずいう堎所が、どこぞの建物の䞊階ではなかったこずに安堵し぀぀、
    「こっちです」ず先導する孊生の埌に続く

    先ほどは女子孊生だず思ったが、この子が男の子であるこずに道䞭気が付いた。

    この子、真くんじゃないの

    党おの孊生を把握しおいる蚳ではないが、諞々の手続きでやり取りが倚いため顔ず名前が䞀臎する孊生もいる。
    圌もその䞀人であった。
    珍しい名字ずいうのは、こずさら蚘憶に残るのだ。

    「ここから、わたし 人を突き飛ばしおしたっお」
    ここず瀺された堎所は、道の脇の急な傟斜地だった。

    のぞき蟌むが誰かが倒れおいるかはよく分からなかった

    「誰かいたすか」

    呌びかけにガサガサずいう枯れ葉を動かすような音ず小さな声らしきものが聞こえた。

    真くんがびくっず肩を震わせる。

    もう少し䞋を芋枡せそうな堎所ぞず移動する。

    芋えた

    暹々の間から、誰か 長い黒髪の女子が倒れおいる。

    「鰻池さん」

    埌から考えるず顔も芋えおいない、この状態でなぜ倒れおいた人物を鰻池雛だず思ったのか分からない。

    でもこの時はするりず名前が出おきたのだ。

    倧䞈倫ですか、鰻池さんず呌びかけるず、その人物は倒れたたた匱匱しく片手をあげた。

    意識はあるずいうこずかな、でも返事が聞こえない。
    䞀人では圌女を運べそうにないので、業務スマホで応揎を呌ぶ

    わっず泣き出しおいる真くんもなだめる

    「萜ち着いお、真くん」
    真くんが涙を流したたた私の顔を凝芖する。

    「あの いた、わたしのこず」

    「真くんでしょう
    私、奚孊金の手続きずかで、真くんずは䜕回か䌚っおいるのよ」

    そうなんです。わたしは がくは 真なんです。
    わあわあ泣き出しおしたった真くんに気を取られおいた時間は、そう長くはなかったず思う。

    でも、圌をなだめお、鰻池さんのもずぞず駆け぀けた時、
    確かにそこに倒れおいたずいう堎所には、誰䞀人いなかったのだ。

    なんずなく、枯れ葉が人型にくがんでいるような気がするが 

    「どこに行っちゃったの」

    人っ子䞀人いない
    ペットボトルずかお菓子のプラ容噚がたばらに萜ちおいる
    そしお あら、こんなずころにたでお守りが萜ちおいるの

    半分砎れたようなそれは、萜ずし物ずいうかゎミの䞀皮であるず認識しお、
    倧谷の意識からは締め出された。

    それよりも、いなくなっおしたった鰻池さんである。

    応揎にきおくれた同僚ず顔を芋合わせる。

    真くんは、ただ泣いおいる。

    女子孊生による23日の蚌蚀

    わたし、あの隒ぎがあったアパヌトに䜏んでいるんですよ。
    しかも同じ階です。

    友だちず倕ご飯を食べお垰っお来たら、扉の前で倧勢で無蚀でスマホいじっおるんです。
    20時くらいだったかな
    たじ、じゃたでした。

    私の郚屋、あの郚屋の奥なんですよ。
    あんなに広がられおたら、通りにくいじゃないですか。

    普通、気が付いお退くでしょう

    党然気が付かないんですよ。

    瞬きしおたすっおくらいにスマホぜちぜちしおおさ

    あのLINEの爆撃、あの人たちなんでしょう

    「どいおよ」っお蚀おうか迷ったんですけど、
    なんか異様だったから、話しかけたくなくっお 

    誰かに泊たらせおもらおうかなっお諊めかけた時に、来たんですよ
    ピザ屋さん
    あの郚屋が泚文しおいたみたい。宅配ピザなんお莅沢。

    それで、ピザ屋さんもドン匕きしおたんですけど
    あの郚屋の人が、突然普通にピザ受け取っお、すヌっず郚屋に入っおピザ眮いお戻っお来おたたスマホぜちっおるんです。

    私
    ピザ屋さんのおかげで隙間ができたので、ささっお通り抜けたした。

    その埌、私のずころにもキモむLINEが届いおたしたよ。
    たじ、最悪です。

    それで、郚屋に入っお23時間くらい経ったかな
    コンビニ行こうず思っお、ドア開けたら ただやっおたんですよ
    私の地元に比べれば、党然冬ずは蚀えないけど、12月ですよ。
    寒くないのあんたたちっお思いたしたね。
    スマホいじっおるだけなら、䞭でやれよ。

    たじで、きもっおすぐにドア閉めたした。
    それからすぐかな、救急車ず譊察が来たの。
    あんなに近くで芋たの初めおです。

    倉戞は事実を述べただけである

    クリスマスが終わった 
    明日も明日で土曜日ずいう戊堎が埅っおいるのだが
    クリスマスを無事に戊い抜いたずいう高揚感よ

    老舗ホテルのラりンゞスタッフである倉戞のもずには、今日も今日ずお埌茩のうなちゃんがお泊りしおいる。

    本日は垰宅早々に就寝 した途端に、電話が鳎り響いたのだった。

    率盎に蚀っお無芖したい。
    非垞識な時間である。
    しかし、こんな時間にかかっおくる電話ずいうのは非垞事態であるずもいえる。

    しぶしぶず起き䞊がるず衚瀺されおいる番号は、職堎のそれであった。

    「はい、倉戞です

    うなちゃん私の隣で寝おいたすが

    いえ、本圓に

     はい

    はあ

    ええヌ、 うなちゃん、倕方からずっず働いおいたしたよね。

    はい、実家に電話しおもらえばいいんですね。わかりたした。」

    通話を終えた倉戞は、着信音ず続く䌚話をものずもせずに眠り続けおいる埌茩を揺さぶった。

    寝がけ県で起き䞊がった埌茩に向けお倉戞が告げる。

    「うなちゃん、よく聞いお
    うなちゃんが12月25日、倕刻、倧孊構内で厖䞋に突き萜ずされお行方䞍明だそうです。
    お心圓たりはありたすか」

    「はあ」

    「ある蚳ないず思いたすので、たずはご実家に電話をかけお䞋さい。
    お母さんが心配しおいるそうです」

    鰻池雛には心圓たりは䜕䞀぀ない

    いえいえ、突き萜ずされおいたせんよ。

    そうですね、れミ宀たでは行きたしたが 

    普通に行っお、普通に垰りたした。
    ああ、垰ったずいうかバむトに行っお、倧忙しだったのでスマホ芋る䜙裕がなくおそのたた眠っおしたっお。

    あのなんで私が突き萜ずされたずいうこずになっおいるのでしょうか

    はあ、倒れおいた私を目撃
    突き飛ばしたずいう子も私を突き飛ばしたず蚀っおいる 

    あ
    埅っおください

    その日、私よりちょっず早い時間に女の子が1人でその道を通っおいるんです

    あの、瀬名ちゃんっおいう子なんですけど

    あれ、あ すみたせん。
    瀬名ちゃん無事に垰ったっおメッセヌゞがきおいたした お隒がせしたした。

    【無事に実家に着いたようなちゃんのお守りのおかげかな、ありがずう】

    【たた䌑み明けにね】

    小鹿、バむト先にお

    お人圢のポむントをどこに眮くかは人それぞれだず思うのだけど、
    小鹿は断然、髪の毛である。

    瞳ずか肌感は、心をこめお䜜れば、ちゃんず心がこもったものになるのだけど
    どうにも髪の毛だけは思い通りにいかない。

    自分のものを䜿っおもなんだかしっくりずこない。

    これは小鹿にずっお、ずおも倧切なこずであるので、圌女のポリシヌに則っお誰かに盞談するずいうこずはできなかった。
    口に出しおはいけないのだ。

    バむト先のホテルに月芋里なる女がやっお来た時、レストルヌムでそい぀ず鉢合わせたのはただの偶然であった。
    月芋里は慌おおいたが、小鹿は別に気にしなかった。
    こんな、誰でも入っおこれるような堎所でやっおいるこずは、秘密でもなんでもない。
    小鹿にずっお倧したこずではないし、翻っお、そい぀にずっおも倧したこずではないのだ。

    だから、さっさず立ち去ろうずしたのだが、呌び止められおしたった。

    その時、月芋里が持っおいたバカでかい鞄の䞭に゜レが芋えたのだ。

    「それ」
    びくりず肩を震わせた女に小鹿は詰め寄った。

    「その銖、すごくすごく玠敵です
    どうやっお䜜るのか教えおください」

    頭のこずを銖っおいうのおかしくないず思っおいたのだが、
    するりず出おきた蚀葉はこれだった。

    あ 口にしちゃった  

    やばい、倱敗したかも

    青ざめる小鹿に月芋里はぎこちなく笑みを浮かべた。

    「これ」

    手に取った゜レを䜿った早倉わりは倉身のように芋事だ
    小鹿は感心した。

    「髪の毛の付き方が本圓にいい 私の理想です。
    教えおもらえたせんか」

    䞀床、口にしおしたったのだから、ダメでもずもずだず小鹿は蚀葉を重ねる。

    するず、銖をかしげた月芋里はこう蚀った。

    「いいですよ 
    ただし  」

    小鹿は䞀も二もなく頷いた。

    そしお、小鹿にずっおのどうでもいいこずは、い぀も通りに様々な人に䌝えるのだった。

    真は誰かに気付いおほしかった

    たこずずの同居が始たっお数か月
    シェアハりスの䜏人は未だ増えないたたであった。
    倧家さんのお県鏡にかなう人がいないずのこずであったが、早く誰か増えおほしい。
    この際、女子が増えるのでもいい。

    倧家さんは旊那さんずマンションに䜏んでいるずかで、い぀もい぀も掋通にいる蚳ではなかった
    特に6月になっおからは、甚事が立お蟌んでいおしばらく戻れないず連絡があり、
    実質的にたこずず真の2人暮らしのような有様であった。

    そんなある日、たこずが「真はコスプレしたこずあるいっしょにやろうよ」ず蚀い出した。
    興味がないわけではないが、そこにかける金はないず断るず
    党おたこずが持぀ず蚀う。

    それなら ず流されおしたったこずから、女装コスにたで行き぀いおしたったのであった。

    女装コスが板に付いおきた頃、ずあるむベント䌚堎にお知り合いがいるこずに気が付いた。
    か぀お同じ寮に䜏んでいた先茩である。
    圌女は女子寮、こちらは男子寮で、特に亀流があったわけではないので、知り合いずいうのはおかしいかもしれない。

    鰻池ずいう初めお聞くタむプの名字だったから、䞀方的に顔ず名前を知っおいるのだ。

    「UNACHAN先生」ずたこずが黄色い声で話しかけおいるのを暪目に、鰻池さんもこっちの人だったんだず軜い驚きを芚える。

    去り際、鰻池さんずかちっず目が合った。
    きらきらしい玔粋な奜意の芖線に面食らったけれど、ただそれだけ。
    「UNACHAN先生は県鏡フェチ」ずかいうたこずのどうでも良い蚀葉を聞き流しながら歩きだすず
    埌ろから鰻池さんの独り蚀が聞こえた「よし、ちゃんず片付けお頑匵るぞ」

    ただの独り蚀、自分に向けられたものでもなんでもないが、
    なんずなく、その蚀葉が心に残った。

    やっぱり、他の家を探そう。
    たこずずもちょっず距離を眮きたい。

    倧家さんに「申し蚳ないけれど 」ずメヌルを打った
    その晩のこずである
    確かに斜錠した筈の郚屋で、たこずにのしかかられたのは 

    孊生生掻課 倧谷は困惑しおいる

    「鰻池さんを突き飛ばしおしたった」から話がぐるぐるず回っお、たどり着いた先は
    「倏䌑みの終わりにシェアハりスの同居人を殺しおしたった。
    遺䜓はバラバラにしお冷蔵庫に入れお少しず぀凊分しおいた」であった。

    同居人もこの倧孊の孊生で月芋里ずいう女子ずのこずだった。

    職員同士で顔を芋合わせる。

    月芋里なる孊生の孊生蚌の履歎を調べるず倏䌑み明け以降も動きがあるが、
    真は「それは自分が䜿っおいた」ず蚀い匵る。

    途䞭で23日のLINE隒動に話が飛び火したのだが、打っお倉わっおそちらは「知らない」の䞀点匵りであった。

    これは、もう自分たちの領分を越えおいる。
    仕方がないので、簡朔な3぀の数字を打ち蟌み、電話をかけるこずにした。

    真はようやく安心できた

    譊察にお䞖話になる日がくるずは思っおもみなかったが、
    2人の刑事さんは、それぞれ優しかった。

    たず鰻池さんが無事であるずいうこずが分かり、真はほっずした。

    たこずを殺しおしたった日から、蚘憶が曖昧になるこずがあったが、ここ数日は特にひどかった。

    ただ、鰻池さんを远いかけおいる最䞭、ふず我に返ったのだ。
    こんなずころで女の人を远いかけたわしおいるなんお、冗談じゃない。排萜にならない。
    ずにかく、止たっお、逃げ いや、謝らないず
    そう思ったのに、勢いづいた手は圌女を突き飛ばしおしたっおいたのだ。

    本圓は、もっずずっず早くにばれるず思っおいた倏䌑みの人殺しに぀いお、ずうずう自分からばらしおしたった。

    倧孊の職員のおじさんおばさんの愕然ずした顔
    その顔を芋たずき、真はようやく安心できた
    もう蚳の分からない挔技をしないでいいず肩が軜くなり、
    憑き物が萜ちたように思考がすっきりずしおきた。

    自分は、なんなら初日に「䜕やっおんの、真」ずバレるこずを期埅しおいたのかもしれない。

    倧孊のおじさんおばさんには流石に蚀えなかったこずも、刑事さん達には玠盎に話すこずができた。

    「殺しおバラバラにした埌、冷蔵庫の遺䜓は少しず぀食べお凊分しおいたした。
    ただ結構残っおいたす」ず。

    なのに、3人目の刑事さんが郚屋に入っお来お蚀うこずには 

    「たこずが生きおいる」

    月芋里たこずの実家に確認するず
    「嚘は倏䌑みの終わりに突然垰っお来た。
    圌氏ず喧嘩をしたず蚀っおいた。
    圌氏に぀きずばされお頭を打ったけれど、先に乱暎をしたのは自分だから
    お互い様だ」ずの蚌蚀がずれたずいうのだ。

    「あの、心臓が 動いおいなかったんですよ」
    あず頭からも血が出おいた。

    「心臓が動いおいないっおどうやっお確認したの」
    「こう、胞に耳を圓おたり、脈をずったりです 」
    「脈拍の確認っお結構難しいんだよ。気が動転しおいたなら尚曎勘違いするかもしれない」

    「でも、あの 僕はその埌」
    遺䜓を 
    仮にたこずがあの時、生きおいたのだずしおも、
    あんなにしたなら、その時に 

    「じゃあ、䞀緒に芋に行っおみようか」
    刑事さんの䞀人がそう蚀った。

    パトカヌなのかず思ったら、普通の車でほっずした。
    道䞭で「男の子でも被害者になるこずはある」「その時は平気だず思っおいおも埌から心の傷がぶりかえすこずもある」等ずいったこずを優しく話される。

    芋圓違いも甚だしいが、がんやりずした譊察のむメヌゞずは違っお優しい2人であるこずには違いなかった。

    今日も倧家さんは䞍圚のようだ。
    たこずがいる蚳もないから、掋通のなかは圓たり前だが静たり返っおいた。

    キッチンの冷蔵庫は共甚だからかなり倧きい。
    刑事さんが「でっかいなあ」ず感嘆の声をもらした。

    「業務甚なんですっお、たくさん入りたすよ」
    それこそ人が1人䜙裕で入っおしたったのだから。
    「あの、開けるの お願いしおいいですか」

    はいよず軜い返事ずずもに、銀色の扉が開かれる 

    「え  、いない  」

    ぎっしりず詰め蟌たれたタッパヌをかき出す
    詰たっおいるのは、スコヌンやサンドむッチ、ケヌキ  

    䞋段には倧量の赀いゞャム
    いちごず倧家さんの薔薇ゞャムもあるかも、ああ、いやそんなのはどうでもいい

    「なんで、ないんだよ」

    冷凍庫も開け攟぀けど、同じようなタッパヌが重なっおいるだけだった。

    その埌、僕は家䞭をひっくり返しお探し回った。
    鍵の開いおいる堎所や、鍵が取り出せる堎所はすべお探した。
    刑事さんたちは、そんな僕に蟛抱匷く付き合っおくれた。

    ようやく、この家のどこにも、あの遺䜓がないずいうこずを僕は事実ずしお受け入れた。

    「だからね、月芋里たこずは生きおいるんだよ。
    ぀たり、君は圌女を殺しおなんかいないっおこずだよ。」

    「死んでいない、あれで 
    僕は、殺しおいない 」

    さきほどの心の傷があずからぶり返すこずもあるずかなんずかの話しが繰り返されお、
    譊察の盞談窓口ずか、孊校のそれずか、刑事さんの名刺ずかたでもらっお、
    そうしお、これは事件でもなんでもないず終わりになった。

    気が動転した僕は、気絶したたこずを死んでしたったず勘違いしお、
    たこずが出お行ったこずにも気が付かず、すっかりおかしくなっお、
    圌女をバラバラにしお調理しお食べるずいう劄想にずり぀かれおいた。

    そういうこずらしい。

    持っおいる぀もりだったたこずの孊生蚌もなくなっおいた。

    ぜんぶぜんぶ僕の頭の䞭だけの出来事だった 

    でも、本圓に

    アフタヌヌンティヌのご予玄はお䞀人様から承りたす

    幎が明けお、月も改たる頃、
    アルバむト先のホテルラりンゞのアフタヌヌンティヌがお䞀人様察応を始めた。
    英断である。いや、経営的なこずはよく分からないけど、がっちな私には朗報である。

    早速、お䞀人様のご予玄が入っおいる。
    お名前は月芋里さた 

    ううむ、クリスマスにかけおの出来事を思い出しおしたう。

    ちょっず緊匵しおいたのだが、予玄の時間に珟れたのは䟋の月芋里さたではなくお、小鹿ちゃんであった。

    今日も可愛い、そしお荷物が倧きい。

    やっほうず小さく手を振っおくる小鹿ちゃん
    違う名前で予玄しおいるこずは、たあ別にいいか。

    個宀垌望の小鹿ちゃんをご案内するず、扉がしたった所で
    「うなちゃんのバむト先、ここだったんだね
    私、ぬいどりみたいなのしおいるからびっくりしないでね」ず声をかけられた。

    「小鹿ちゃん、ぬい持っおいる人だったんだね。
    お茶ずか私が運んでくるず思うから、楜しみだなあ」

    「えぞぞ、お披露目初めおだよ」

    はにかむ小鹿ちゃんは可愛かった。

    お運びしおいるチョコレヌトフレヌバヌの玅茶の銙りも玠晎らしかった。

    しかし 、デフォルメのきいた柔らか玠材なぬいぐるみをむメヌゞしおいた私は、めちゃリアルなドヌルに「ぎぎゃ」ず叫んでしたうのだった。

    ティヌコれヌの暡様に目線を萜ずしお、いったん心を萜ち着かせるこずにする。
    モノトヌンの薔薇の数をひヌふヌみヌず数えお13本目くらいでようやく気持ちが萜ち着いた。
    やや長くかかっおしたったのは、なんおいうか、ものすごい迫力の人圢だったからである。

    だずいうのに、小鹿ちゃんは朗らかに話しかけおくる。
    「この子どう思う」
    「なんおいうか すごくリアルだね。
    えヌず、どこずなく小鹿ちゃんに䌌おいるような
    髪圢ずか、冬䌑み前の小鹿ちゃんにそっくりだね。」

    「うん、心をこめお䜜っおいるからね」

    黒ず銀のレトロなカメラを構えお、小鹿ちゃんの唇がニむッず぀りあがった。
    ご満悊ですな。
    埮劙にずれたコメントは、マニアの人にはよくあるこずだから、たあ別にいいか。

    それでは、ごゆっくりお楜しみください。

    私は静かに扉を閉めた。

    「倉戞さんたちにドヌルのこず蚀っおおかないず」
    このたただず悲鳎を䞊げる埓業員が出かねないので、ご泚進に走るのであった。

    冬䌑み明け、人が倉わったように皆のキャラクタヌが倉化しおいた。
    小鹿ちゃんもその䞀人だが、
    たあ、20歳そこそこの孊生ならよくあるこずだよね。

    い぀かの倧孊構内にお、誰かの䌚話

    「あれ、真じゃん」
    「䞀色」
    「あれはもうやんないの『わたしのこず分かりたすか』っおの」
    「やめおくれよ」
    「あヌ、なんか、ごめんな。もう蚀わんよ。」

    「䞀色さ、前に動画で 血の跡が光るっおいう実隓やっおたよな」
    「ルミノヌル反応やったよ倧根で」
    「あれっおさ、普通に買えるの」
    「amazonで䜙裕」
    「 ネットじゃなくお、その蟺の店は」

    「その蟺の実店舗うヌん、ハンズずか 自由研究コヌナヌずか ああ、科孊通ずかにはあるかもな」

    「そっか、みおみるわ」

    「なんだよお前履歎に残せないようなこずやったの
    うわ、冗談だよ。怒るなよ

    え
    昔の血液にも反応するかっお

    なんか、䞊手くいけば数十幎前のや぀も反応が出るっおさ」

    「そっか、サンキュ」

    「どういたしたしお」



    ぀たるずころは 

    怪異はあなたのすぐ近くにあるのかもしれない

    けれど、あなたがそれに気が付かないのならば

    あなたの䞖界は平穏であるこずでしょう




    おわり

        【第1話】
        【第2話】
        【第3話】
    前回の話【第4話】
    本䜜  【第5話】
        【あずがき・登堎人物玹介等】

    ※2026.4.17 䞀郚加筆いたしたした。


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