
粗利を可視化する―「何が儲かっているか」を数字で言えますか
こんにちは、Ayaです。
前回は、どんぶり経営の正体と、MQ(粗利)=売上高−変動費という考え方をお伝えしました。今回はもう一歩踏み込んで、「自社のどの商品・サービスが、実際に儲かっているのか」を可視化していきます。
MG研修の場でも、この作業をやっていただくと「え、そうだったんですか」という声が本当によく上がります。長年経営されている方でも、感覚と実態のズレに驚かれることは珍しくありません。それだけ、「売れている」という感覚は強い思い込みを生みやすいということでもあります。
「売れている」と「儲かっている」は別物
経営者の方によくお聞きするのが、「うちの一番人気は◯◯です」という話です。もちろん人気があるのは素敵なことですが、ここで一つ立ち止まってほしいことがあります。
一番売れている商品が、一番儲かっている商品とは限らない
ということです。
たとえば飲食店で、看板メニューが人気だけれど原価率が高く、実は利益率の低い別メニューのほうがMQを稼いでいる、というケースは珍しくありません。士業の場合も、件数が多い業務ほど時間対効果が低く、実は件数が少ないサービスのほうが実質的な利益率が高い、ということがよくあります。
「よく出ているから安心」という感覚と、実際の儲けの構造は、必ずしも一致しないのです。
商品・サービスごとにMQを出してみる
やることはシンプルです。それぞれの商品・サービスについて、次の式に当てはめるだけです。
MQ = 売上高 − 変動費
これを商品・サービスごとに算出し、並べてみます。すると、感覚では見えなかった「本当の稼ぎ頭」が浮かび上がってきます。
異業種で見る「見えなかった稼ぎ頭」
飲食店の場合
ドリンクは原価率が低く、フードメニューより実はMQが高いことがよくあります。「フードで集客し、ドリンクで利益を積み上げる」という構造に気づくと、メニュー表の見せ方や接客での一言が変わってきます。
コワーキングスペース・場貸し業の場合
月額会員と時間貸し利用、どちらが儲かっているように見えるかは感覚だけでは判断しづらい部分です。稼働率や運営の手間まで含めて比較すると、思っていたのと違う結論になることがあります。
士業・コンサルの場合
単発相談と継続契約、件数ベースで見ると単発のほうが多くても、時間あたりのMQでは継続契約のほうが高いというケースが多く見られます。
簡単セルフチェック|あなたの「稼ぎ頭」、根拠はありますか?
一番人気の商品・サービスを、感覚で答えられる
その商品の変動費(原価・外注費など)を具体的な数字で言える
商品ごとのMQを比較したことは一度もない
「実は利益率が低い人気商品」がある可能性を考えたことがない
何にリソースを集中すべきか、迷いながら決めている
3つ以上当てはまる方は、「売れている」の感覚に頼りすぎているサインかもしれません。これは悪いことではなく、多くの経営者が同じ状態からスタートします。大切なのは、一度きちんと数字で照らし合わせてみることです。
数字で照らし合わせたとき、思っていた答えと違っていても、それを責める必要はありません。状況は常に変わり続けるものですし、今まで感覚に頼ってきたからこそ、ここまで事業を続けてこられた面もあります。次のパートでは、実際に商品ごとのMQをどう算出し、どう経営判断に活かしていくかを見ていきます。