
バナナカレー【ショートショート】
ー夜9時、アパートー
圭吾「…ねえ、なんでバナナ入れたの?」
沙良「え?」
圭吾「なんか甘い。フルーティー」
沙良「バナナ、入れた」
圭吾「うん。入れた味してる」
沙良「レシピに、書いてあった」
圭吾「どこの?」
沙良「“彼の胃袋をつかむ!愛されカレー”!!!」
圭吾「…なにそれ、気づいたら籍入ってるやつ?」
沙良「違う、けどまあ、恋愛ブログ。1位だった」
圭吾「…普通でよかったけどな」
沙良「普通って?」
圭吾「市販のルーだけ。にんじん、ごろごろ。豚さん、ごろごろ。あと、なんかちょっと焦げてるやつ」
沙良「焦げてるのは失敗じゃん」
圭吾「それがうまい日もある」
沙良「バナナ、嫌だった?」
圭吾「うーん……バナナ入れるくらいなら、聞いてほしかったかも」
沙良「嫌いじゃないよね?バナナ」
圭吾「嫌いじゃない、けど、一緒に食べると好きな味じゃないってことはあるでしょ」
沙良「……人、みたい」
圭吾「ん?」
沙良「嫌いじゃないけど、一緒はしんどいってやつ」
圭吾「バナナに謝って」
沙良「ごめんバナナ。でもなんか…ね。 いや、ごめんバナナ」
圭吾「……で、これ、バナナ何本入れたの?」
沙良「2本」
圭吾「そりゃ、インドが泣くわ」
沙良「……黙って食べて」