[#シロクマ文芸部]待つ時間
待つ時間、嫌い。私の思い通りにいかないのは、苦手。誰かに八つ当たりしたくなる。
待つ時間、好き。ご褒美を待っている。ママの「よし」が聞こえると、とても愉快で、誰かを思い切り抱きしめたくなる。
「待て」
目の前にご馳走があるのに、私の体はピッタリと固まって、食べられない。
大好きなお肉、お菓子。大好きな人に飛びつくのも「待て」の一言でお預けになってしまう。
我慢せずに飛びついたっていいのだけれど、無視をするとママが悲しそうな顔をするから、私は足にグッと力を込めて自分を押さえつける。
早く食べたいの、あの言葉を言って。
早く、抱っこして欲しいの、あの言葉を言って。
私はママの目をジッと見つめて、訴える。
体が震えて、牙がむき出しになるけど、私は笑ってる。
待つ時間、ママと私の二人だけの時間。
ねぇ、ママ。私、いい子でしょう。
ママの笑った顔が見たいの、だから私、我慢する。
待つ時間、ママの喜ぶ顔が待っている。
私はこの時間、少しだけ、好き。