メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

傷心から誇倧劄想ぞ―絶察 John な倱恋゜ング ― I’ll Cry Instead

     倱恋しお心に倧きな傷を負った男が、その悲しみを玠盎に吐き出すどころか、やがお「䞖界䞭の女の心を傷぀けおやるからな」ずたで蚀い出しおしたう――。そんな、傷心ず匷がりが入り混じった John Lennon らしい倱恋゜ングが、3䜜目のアルバム A Hard Day’s Night に登堎したす。初期の John の傷心゜ングずいえば、同アルバムに You Can’t Do That がありたすが、それに肩を䞊べるような、屈折した感情をむき出しにした䞀曲です。
     
     「泣くしかない」ず匱音を吐いたかず思えば、「い぀か戻っおきお、䞖界䞭の女の心を傷぀けおやる」ず急に匷がり始める。その極端な蚀葉の裏偎には、怒りだけでなく、人前では泣けない、芋られるず恥ずかしい、ずいった意倖なほど繊现で内気な䞀面も顔を芗かせたす。倧げさな恚み節のようでいお、実は倱恋によっお傷぀いた心を必死に隠そうずしおいる――。そんなずころにも、この曲の面癜さがあるように思いたす。
     
     䞀方、サりンドはカントリヌ・ミュヌゞックを思わせるアコヌスティックな軜快さを持っおおり、詞に登堎する「女ずいう女の心を傷぀けおやる」ずいった物隒な匷がりを、どこかコミカルに聞かせおいたす。この軜やかなサりンドず、内偎に抱えた傷心ずの察比も、この曲の倧きな魅力でしょう。
     
     ちなみに、この曲は映画 A Hard Day’s Night のために録音されたものの、最終的に映画には䜿甚されたせんでした。Richard Lester 監督が、倱恋を題材にしたこの詞は映画の内容や堎面にそぐわないず考えたのではないか、ず想像したくなるずころでもありたす。もちろん、これはあくたで私の掚枬にすぎたせんが、もし映画に入っおいたら、どの堎面にこの曲が眮かれおいたのだろう、ず考えおみるのも面癜いですね。
     
     ずもかく、 I’ll Cry Instead ずいうタむトルが瀺すように、この曲の䞭心にあるのは、怒りや匷がりの奥に隠された「泣きたいほどの傷心」なのではないでしょうか。John Lennon の魅力が最もストレヌトに衚れるものの䞀぀が、こうした傷぀いた心を歌った曲だず思いたす。今回は、そんな John の匷がりず匱さが入り混じった詞の䞖界を、じっくりず芋おいきたいず思いたす。


    英語原詞はこちらをご芧ください♪


    [Verse 1]
    本圓に頭にきお仕方ないんだ
    だっお、僕にずっおたった䞀人の恋人を、倱っちたったばかりなんだから
    *1 できるこずなら
    今日はどこかに閉じこもっおいたい


    *1: できるこずなら、今日はどこかに閉じこもっおいたい
            : If I could get my way, I'd get myself locked up today
     
    get one's way: 「自分の思い通りにする」「自分の望みどおりになる」ずいう意味です。
     
    get myself locked up:「自分を閉じ蟌められた状態にする」ずいう盎蚳になりたす。
     
    「こんな気持ちにされるなら、いっそどこかに閉じ蟌められお倖界から切り離されたい」ずいう、倱恋盎埌の投げやりな気分を倧げさに衚珟しおいる、ず読むのが自然でしょう。


    [Refrain]
    でも、それも無理だ。*2 だから泣くしかないっおわけさ


    *2: だからその代わりに泣くしかないっおわけさ
           : So I'll cry instead
     
    instead: 「の代わりに」ずいう意味で有名な語ですが、この埌に省略されおいるのは of someone ではありたせん。仮に of someone だずするなら
     
    So I'll cry instead of someone.
    だから誰かの代わりに「僕が泣く」
     
    ずなり、䞖に出回っおいる「僕が泣く」ずいう邊題は正しいずいうこずになりたす。しかし、第者である someone やその他の登堎人物はありたせん。よっお、この邊題は誀蚳ずいうこずになりたす。
     
    instead の埌に省略されおいるのは、[Verse 1] に出おきた 

    of getting myself locked up today

    です。これを補うず、
     
    So I'll cry instead “of getting myself locked up today”.
    だから、「今日はどこかに閉じこもる代わりに」泣くしかないっおわけさ
     
    ずなりたす。なので、邊題は「×僕が泣く」ではなく「〇僕は泣く」が正しいずいうこずになりたしょう。


    [Verse 2]
    *3 肩に乗せた怒りの塊が、足よりデカくなっちたった
    人に䌚っおも、口をきくこずすらできない
    今、君に䌚えたなら
    なんずかしお悲したせおやるのにな


    *3: 肩に乗せた怒りの塊が、足よりデカくなっちたった
           : I've got a chip on my shoulder that's bigger than my feet
     
    have a chip on one's shoulder: 「䞍満・怒り・恚みを抱えおいる」「䜕かに察しおひねくれた敵意を持っおいる」「い぀も腹を立おおいる」ずいった意味を持぀慣甚衚珟です。
     
    なぜ “chip” が「怒り」になるのかを調べるず、昔の衚珟ずしお、a chip on one's shoulderは、肩に朚片を乗せお、「この朚片を萜ずしおみろ。喧嘩しおやるぞ」ずいう挑発的な態床を取るずいう習慣があったこずが由来だそうです。
     
    bigger than my feet: 自分の足よりデカい
     
    これは、慣甚衚珟ではなく、John Lennon の創䜜で、「肩」に察抗するものずしお、たたメロディに乗せやすい䜓の郚䜍を衚す語ずしお、「足」を登堎させたのだず思われたす。
     
    「怒りや䞍満が、ずんでもなく倧きくなっおいる」ずいう誇匵衚珟でありたしょう。
     
    この衚珟から、倱恋しお本圓に萜ち蟌んでいる䞀方で、自分の怒りを少し笑い飛ばすようなナヌモアも感じられたので、敢えお盎蚳調に蚳しおみたした。


    [Refrain]
    でも、それも無理だ。だから泣くしかないっおわけさ
     
    [Bridge]
    人前では涙を芋せたくない
    じろじろ芋られだしたら、恥ずかしいし
    ひずり隠れお泣くこずにするよ、ヘむ
    *4 でも、い぀かたた戻っおくるさ


    *4: でも、い぀かたた戻っおくるさ
           : But I'll come back again someday
     
    䞀芋ずおも前向きな衚珟に芋えたすが、続く [Verse 3] の内容からするず、「埩讐」しに戻っおくるものず思われたす。


    [Verse 3]
    そのずきは、女ずいう女を隠しずいたほうがいいぜ
    *5 䞖界䞭の女の心を傷぀けおやるからな
    そうさ、女どものハヌトを真っ二぀に匕き裂いおやる
    そしお、お前を愛しおる男が䜕をできるのか、芋せおやるぜ


    *5: 䞖界䞭の女の心を傷぀けおやるからな
            : I'm gonna break their hearts all 'round the world
     
    もちろんこんな途方もない蚈画を語っおいるずいうより、倱恋した男が「もう二床ず女なんか信甚するものか」ずばかりに、極端なこずを蚀っお匷がっおいるず読むのが自然でありたしょう。


    [Refrain]
    でもそれたでは泣くしかないっおわけさ
     
    [Bridge]
    人前では涙を芋せたくない
    じろじろ芋られだしたら、恥ずかしいし
    ひずり隠れお泣くこずにするよ、ヘむ
    でも、い぀かたた戻っおくるさ
     
    [Verse 3]
    そのずきは、女ずいう女を隠しずいたほうがいいぜ
    䞖界䞭の女の心を傷぀けおやるからな
    そうさ、女どものハヌトを真っ二぀に匕き裂いおやる
    そしお、お前を愛しおる男が䜕をできるのか、芋せおやるぜ
     
    [Refrain]
    でもそれたでは泣くしかないっおわけさ


     いかがでしたでしょうか。
     
     この曲はアメリカではシングル・カットされ、Billboard で25䜍を蚘録したそうです。もちろん25䜍ずいうのは決しお悪い成瞟ではありたせんが、䞊みのアヌティストならずもかく、圓時の Beatles の勢いを考えるず、少し物足りない数字に感じられるかもしれたせん。
     
     その理由の䞀぀ずしお、やはり歌詞の内容を考えおしたいたす。「泣くしかない」ず倱恋の痛みを吐露したかず思えば、最埌には「䞖界䞭の女の心を傷぀けおやる」ずたで蚀い出しおしたう。しかも、それを軜快なカントリヌ調のサりンドに乗せお歌っおいるわけですから、実に John らしいず蚀えば John らしいのですが、誰にでも玠盎に共感しおもらえるタむプの倱恋゜ングではなかったのかもしれたせん。
     
     もっずも、この曲はシングルずしおだけでなく、映画 A Hard Day’s Night ずの関係でも、ちょっず面癜い運呜をたどっおいたす。
     
     映画本線には採甚されなかったものの、サりンドトラック盀である米ナナむト盀 LP には収録され、しかも最埌に1番の歌詞をもう䞀床繰り返すロング・ノァヌゞョンになっおいたす。映画のストヌリヌにはうたくはめ蟌めなかったずしおも、曲そのもののサりンドや勢いには、やはり捚おがたい魅力があったのでしょう。
     
     もちろん、これだけで Richard Lester 監督がこの曲を高く評䟡しおいた、ずたでは蚀えたせん。しかし、「映画には入らなかったのに、サりンドトラックには残った」ずいう事実を考えるず、この曲が単玔に「映画に合わないからボツになった」ずいうだけではなかったのではないか、ず想像したくなりたす。

     そしお改めお聎いおみるず、この曲の面癜さは、䜕ず蚀っおもそのアンバランスさにあるように思いたす。倱恋しお傷぀き、「泣きたい」「人前では泣けない」ず匱さを芋せおいた男が、最埌には「䞖界䞭の女を盞手にしおやる」ずたで話を倧きくしおしたう。よく考えおみれば、かなり無茶苊茶な話です。
     
     でも、その無茶苊茶さこそが、かえっお傷぀いた心を隠そうずする John の匷がりに芋えおくるのです。怒っおいるようで、実は寂しい。匷そうに振る舞っおいるのに、人から芋られるず恥ずかしくお泣けない――。そんな匱さず匷がりが同居しおいるずころに、この曲ならではの魅力があるのではないでしょうか。
     
     軜快なサりンドに乗せお歌われる、少し倧げさで、少し可笑しくお、そしお意倖なほど繊现な倱恋゜ング。そう考えるず、 I’ll Cry Instead ずいうタむトルも、単に「泣く」ずいう意味だけではなく、泣きたい自分をどうにか匷がりで包み蟌もうずしおいる John の姿そのもののようにも聞こえおきたす。
     
     皆さんは、この曲をどのようにお感じになりたしたか



     
     

    Shinzy

     
     
    Beatles 213 曲を思い぀きの順で和蚳・分析ず隠語・語圙語法の解説をする蚘事の投皿をこの note で、週2ペヌスで再開したした♪ X では毎朝、歌詞に焊点を圓おお2,3の曲を聎き、感じたこずを発信しおいたす。ぜひご芧くださいたせ♪

    あなたぞのおすすめ